3. 全自動お掃除ロボット?
「ピッ!」
「ピポピッ!」
「ピッピピピ!」
…あれ?目覚ましアラームの設定してたっけ?
耳元で聞こえる電子音を止めるべく、うつ伏せに寝たまま腕を動かしていると、ひんやりとして硬い感触の何かに手のひらがぶつかった。
スマホ…にしてはデカいな…目覚まし時計?こんなの持ってたかな…ん?
馴染みの電子機器とは異なる感触に、違和感を感じつつ顔を上げて見ると、手の先には高さ二十センチくらいの円柱型ロボットが置いてあった。
…なんだこれ?ル○バか…?
前世で大ヒットしたお掃除家電を彷彿とさせる形状に、思わず見入っていると「ピッピッ!」という電子音を鳴らしながら、左右に動き出した。
…なんなんだ…この状況…
状況が全く理解できないことへのイライラで軽い頭痛を覚えると、そのタイミングで、ふっ…と思い出した。
《…困ってる事があってね…》
《…転生先の担当者に聞いてね…》
そうだ。チャラ男に有無を言う間もなく転生させられたんだった。ということは、ここが俺の転生先か…?
「ピ!ポピピ!ピッッ!!」
「あー!もう!うるさいなぁ!」
鳴り止まないどころか、だんだん大きくなる電子音にイラついて、つい叫んでしまった。なんだ?なんなんだ?俺が何かしたか?何が言いた……はっ!?
ここは、おそらく転生先。
転生先の担当者に聞けと指示された。
目の前にロボット?がウロウロ。
何かを訴えるように大きくなる電子音。
…まさか…目の前のルン○が“担当者”なのか…?!
突然の事態に混乱した俺は無意識に、長いサラリーマン生活で身につけた“とりあえず挨拶と名刺交換”をするべく、瞬時に立ち上がっていた。
そして、上着の内ポケットに常時装備している名刺入れを出そうとワタワタしてると、円柱型ロボットは俺の足元まで近づいて停止した。
…はっ!待て待て。いくら異世界とはいえ、さすがにルン○が担当者ってことは無いだろ…落ち着けよ…俺…
時間の経過と共に、少し落ち着きを取り戻した俺が、あまりにもぶっ飛んだ自身の思考と、体に染みついてしまった一連の動作への恥ずかしさで凹んでいると、足元からカメラのフラッシュのような閃光を受けた。
「おおっ!?」
顔をしかめつつ足元を見ると、ロボット上面の中心から出ている500円玉くらいの太さの光が、のぞきこんだ俺の額を照らしていた。
「ん?どうして光ってるんだ?」
発光元を見ようと、かがみこんだ次の瞬間「どごっ!」という鈍い音と同時に後頭部に凄い衝撃を受けた。
「~~~~!!」
あまりの激痛に、声にならない悲鳴をあげながら涙目でゴロゴロと転がっていると、呆れたような、何か変なモノを見たような、そんな表情を浮かべている金髪少女と目があった。
「あなた…なにしてるの?」
それは俺も知りたい。