B級映画
レシートに書かれた
メモ書きを
クシャクシャにしては
ゴミ袋へ捨てる
西日の当たる部屋は
黄緑色のカーテンで
遮られていた
キッチンの椅子には
誰かが座った跡
今では誰かの跡
作り終わった味噌汁
換気扇は消えていた
いきなり鳴った炊飯器の音
普段と変わらないから
手探りに
普段と変わらない行動を探した
息を吐けば白い息
息を吸えば
語るに落ちる
広がる終わり
オリジナルの痛みは
誰も言葉にしない
我関せずで
知らないふりは
枯れ木のようだ
細い木々が
露呈しては
雪を纏う
あの景色に
取り残される
そのままになった椅子に
夕食を準備して
そのまま座って
食事をする
どんな時でも腹は空くと
知ってはいたが
それを感じる事は少ない
淡々と過ぎる時間に
響く咀嚼音
部屋の明かりで
明確になった黄緑色のカーテン
目の前の固形物が無くなれば
器を片付ける
一つ一つを決めていくのは
いつ以来だろうか
悟るに終わる
過ぎて遠く
オリジナルの痛みは
誰も表に出さない
我関せずで
知らないふりは
布団の中みたいだ
自らの温もりを
気に入り
時間を祓う
あの景色に
取り残される
白い蛇が
思い出を擦り抜けて
あれを殺せなかった人は
ストーカーになり
あれを殺した人は
普通に戻った
白い蛇が
睨みつける勢いは
想いの強さ
あれを殺しながら
人は生きていく
白い蛇の皮は
高く売れる
本当に高く
売れるのだ