表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FANTASY OF OWN LIFE  作者: 矢吹さやか
2/24

#002

 その日の授業が終わるのを、今か今かと待ち続けた俺たちは、HRが終わって直ぐに学校を出た。

 件のアトラクションは、学校から比較的近い繁華街の一角に建てられた。何でこんなところ何だろうとは思ったが、このフィーバー振りを見ると、地域振興にも役立っているように思える。

 うんうん、次の選挙にはこのアトラクションを誘致した政党に入れることにしよう。大人は地域の活性化に貢献すべきだからな。


 受付にある掲示板を見ると、本日の待ち時間は200分らしい。平日の夕方でこれとか、どうなってんだ?世の中は暇な人だらけか?


 聡が受付に行き、ゴールドカードを提示する。

 受付のお姉さんが何か聡に話しかけ、こちらを見る。自分も受付に行き、紹介者であることを確認してもらう。


「中川様、南郷様、ようこそいらっしゃいました。こちらのゴールド会員様用のドアからお入りいただき、係の者の案内に従ってくださいませ。」


 俺たちは、案内されたドアを潜り、部屋に入る。

 係の人と思える女性スタッフが、そこで待っていた。


「いらっしゃいませ。『FANTASY OF OWN LIFE』へ!このアトラクションは、ご利用いただく皆様に、本当の楽しさ・喜びを体験いただきます!当店のご利用が初めての方は、南郷様でよろしいですね!最初に、システムの説明をいたします。」


 と、案内係の女性スタッフは話し始めた。

 ストレートロングヘアで、スタイルバツグン。胸もしっかり主張していて、腰のくびれもはっきり。モロ好みだっ!って、ナンパに来ている訳ではないので、大人しく話を聞くことにする。帰りにでも連絡先を聞いてみよう。うん、また来るかもしれないしね。


「当店では会員様にVRヘッドギアを装着いただき、こちらのリラックスシートにお座りの上、プレイしていただきます。プレイの内容ですが、ファンタジー世界の体験で、主にプレイヤーが、予め選択なされました職業で、VR世界の住人になりきり、ロールプレイする、というものです。」


 ふむふむ。ファンタジーが冠についてるから当然だな。でも、ロールプレイ?時間が掛かりそうだな。時間大丈夫なのか?


「選択いただける職業は、次の6つです。」


 6つか。最低6回は楽しめるってことだな。

 女性の話では選べる選択肢は、


 戦士:剣を振り回し、ガンガン的を倒す肉体派。少々刺激が強い演出がある。

 モンク:己の肉体を駆使して、的をノックアウト!ケンカに強くなった気分が味わえる。

 竜騎士:ドラゴンライダー。槍を装備して、空からドラゴンと共に敵を叩きます。ジェットコースター気分も味わえて、一石二鳥。

 召喚士:自分の思い描く魔獣を使役して、敵を倒す。自らは戦場から離れて、全体を見ながら戦闘をする。

 魔導士:極大殲滅魔法が使える。戦局を一転させる切り札的存在。呪文の詠唱が長く、直接戦闘には向いていない。

 弓兵:目指せ!ファンタジー世界のロビンフッド!矢の本数制限がない。攻撃力は高いが、外れる確率も一番高い。


 と、いうことだ。


 因みに何を選んでも構わないらしい。料金も同じだそうだ。一番人気は空も飛べるドラゴンライダー。二番人気は、魔導士らしい。


「料金説明をしておきますね。料金は後払いで、お帰りの際出口係員にお渡しください。現在80%OFF期間中ですので、一回あたり1000円となります。」


 安い。通常だと5000円か。なかなか微妙にかかる金額だな。ホイホイと来れる場所でもなさそうだ。ちなみに今回はエントリーコースということで、15分のコースのようだ。

 後は、30分のノーマルコース。60分のスペシャルコース。120分のエグゼクティブコースで、それぞれ8000円、15000円、25000円だそうだ。

 そんなの時間かかるコースがあったら、そりゃ並ぶわな……。

 何人が同時に入れるんだろうか、この建物。結構大きそうだけど。


「さて、職業を選んでいただく前に、皆様の職業適性をお調べいたします。」


 このチェックは選択する際の参考にできるという。ヘッドギアを被り、頭全体を走査するだけらしい。こんなもので何かわかるのか?走査後、ヘッドギア画面の基本ステータス画面に結果が表示されるとのことだ。

 検出された俺のパラメータは次の通りだった。


 力:963

 体力:752

 精神力:1524

 筋力:852

 素早さ:1246

 集中力:1024

 指導力:1312

 知識量:2167


 何か偉い偏りがある。だいたい、知識量と体力の差は何だ?頭でっかちだったか?俺。いや、知的な才能に溢れている、という訳か。でも体力なさすぎだろ、これ。


 ヘッドギアを被ったまま、女性の声を聞く。

「適性が表示されましたら、システム内のダイアログに表示されております『次へ』を選択します。選択は頭でその位置を押す、ということをイメージするだけでできます。次は職業の選択です。」


 戦士:力+体力+筋力

 モンク:素早さ+力+体力

 竜騎士:体力+精神力+指導力

 召喚士:集中力+指導力+精神力

 魔導士:精神力+知識量+集中力

 弓兵:集中力+素早さ+筋力


 それぞれの合計値で最も高いものから、適性があるらしい。最初の値が100%、2番目が80%、3番目が60%に換算されて、表示される。


 体力が入ってるやつは話にならないな。

 やはりここは厨二心(いや、立派な大人なんだが、遊びなんだから少しくらいいいだろ?)をくすぐる魔導士がいいんじゃないか?召喚士は次の楽しみにしておこう。いや、大学入ってからの話だからな。今日だけだぞ、息抜きは。


 声だけで聡に何の職業を選択したのか聞いてみた。

「俺は竜騎士だ。バーチャルとはいえ、空飛べんだぜ!選ばない手はないだろ。」

 うん、何とかと煙は高い所が好きだというしな。

 俺は密かに高所恐怖症の気がある。高いところはバーチャルでも勘弁して欲しい。


「職業をお選びいただけましたら、アトラクションのスタートになります。職業のスキルの使い方、発動の仕方などは皆様のアバターが知っていますので、説明を省略させていただきます。」


 まぁ、色々ありそうだし、聞いてたら何時間もかかりそうだな。


「では、お待たせいたしました。アトラクションを開始します!開始後はバーチャル世界内のキャラクターの指示に従ってミッションをこなしてください。用意はいいですか?Ready……Good Luck!」


 女性の掛け声と共に、俺は意識を失った、ように感じた。


次回は7/10配信予定です。

もし奇特にも目にとめてくれた方、ご感想などありましたらお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ