表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/29

第四話

さて、今俺は異世界にいるわけだが・・・

俺の記念すべきスタート地点は、森の中だった。

マイナスイオンたっぷりなその空間に、俺は和んだ。

ふと振り返ると、ドアはもう消滅していた。

空を見上げながら、俺は思った。


これからどうしよう・・・


いつも通り直感に従って行動してもいいがここは異世界。

とりあえず一歩間違えば死ぬと考えて差し支えないだろう。

となると少しは考えたほうがいいか。

まず・・・なるべく正確な地図。後は金。

装備は・・・・

そこまで考えがいたって、俺は初めて自分の服装を見直した。

学校帰りの制服のままだった。

・・・まあこれも結構動きやすいし、なんだかんだで軍服にちょっと似てるこの服好きだし、

いっか。

武器はこの刀で十分だろう。持ってみて分かったがこの刀、かなり長くて重い。

普通、精神の具現化うんぬんの武器って「意外と軽い」のがセオリーだと思ったが・・・

まあ、これだけ重さがあれば当てるだけで切れちゃうだろう。

一応剣道初段持ってるし、扱えるかな。


考えがある程度まとまった俺は、ぶらぶら森の獣道を歩き出した。


・・・2時間ぐらい経ったかもしれない。いや、もっとかも。

帰宅したら玄関に腕時計を置くという普段の習慣をこれほど憎んだことは無かった。

「もし今時計はめてたら、今何時かぐらいは分かったのによぉぉぉぉぉ!」

つまるところ、俺は道に迷っていた。


こうして えいゆうは たびだっていった・・・「完」


なーんて、洒落になんねぇ・・・この状況、水も食料も無い。どうしようもない。

途方にくれた俺は傍の朽木に腰掛けた。

なんか足のたくさんある虫が側を這い回っていたがそれすらも気にならなかった。

自暴自棄になった俺は、いつの間にかこころに浮かんだことを言葉に出していた。


「そうさ・・・俺には普通気づかないような『異能』がある。それに気づいたのは

最近だったけどな・・・ここで俺を死なせたら、損すんぜ・・・」


俺は息を大きく吸い、いるのかどうかも分からない存在に向かってつぶやいた。


「神サンよぉ」


・・・俺が言い終わった直後だった。

「たぁ〜すけてぇ〜くださぁぁぁい」


お?

おおお?

英雄の出番か!?

よっしゃ、いっちょやってやるぜ!


・・・・なんてことはそのとき全然考えて無かった。ただ人が近くにいるということに

安心してそちらの方にダッシュしただけだった。


声を上げた人間は案外近くにいた。

そこには中世に出てくる兵隊のような格好をした男が3人いて、

1人を取り囲んでいた。

その人物がこれまた・・・・

「か、かわええな〜・・・」

美少女だった。

こげ茶色のロングヘアー、それに覆われたぬけるように白い顔、大きくちょっと潤んだ目、

そして水色のワンピース。

文句のつけようが無いくらい完璧だった。

その姿にしばし見とれたあと、素早く脳を回転させた。

・・・とりあえず今の出来事で分かったことは「言葉が通じる」ということ。

言語から学ばなくちゃならなかったらどうしよう、

と本気で心配してたので、これは大きかった。

あと男達の格好からどうやら中世ちっくなファンタジーの世界だ、ということ。

敵が銃持ってバンバン撃ってきたらどうしよう、とこれまた心配してたので、これも解消。

と、そんなことを考えてたら男達が俺に気づいた。

「ん?なんだい君は?」

リーダー格の男がしゃべりかけてきた。

「いえ・・・別に、通りかかっただけですが、悲鳴が聞こえたような気がしまして・・・」

「おや?私達には聞こえなかったよ。ここは鳥が特別多く生息する地域だし、聞き間違えじゃないかな?」

・・・え、まじっすか?

そうなると俺は穴にもぐって窒息死しなくちゃいけないほど恥ずかしい思いをしたことになりますけど・・・

と、そうこうしているうちに美少女が助け舟を出してくれた。

「ち・・・違います。私が歩いてたらこの人たちが取り囲んで・・・その・・・・

く、口に出すのも恥ずかしいようなことをさせようと・・・」

「っ、馬鹿、言うなっ」

おっとお?

今の呟きは少女の言った事の肯定の返事として受け取っていいのかな〜

「そいつは見過ごせませんね。別に女なんていくらでもいるわけですし、ここは素直に

退いたほうがいいんじゃないですか?ロ・リ・コ・ンさんよぉ」

「んだと・・・!てめぇもういっぺん言ってみろ!」

「どこの誰だか知らないが、答える義務は無いよな」

その言葉にキれたリーダー格は腰の剣を抜くと俺の頭を切りつけようとした。

俺は手の中にあの鋸に似てる刀を出現させそれを受け止めると、ふとした悪戯心からこう言ってみた。

「今俺が刀抜いたのが見えたか?これが俺とお前達との差だ。死にたくなけりゃとっとと

失せな!!」

俺かっこいい〜、とちょっと思った。

案の定、本気で俺が刀を「抜いた」のだと勘違いした男達は真っ青になりながら互いに目配せしあって、ぱっと身を翻して森の闇に消えていった。

闘えなかったのは残念だったが、なんだかんだ大人3人相手はきついだろうし、これでよしとしよう。と考えてると・・・

「あ、あの・・・」

と例の美少女が話しかけてきた。

顔がにやけないように注意を払って俺は答えた。

「なんでしょうか?お嬢さん?」

「旅の方・・・ですか?もしそうなら・・・助けていただいたお礼をしたいので・・・

家に来ていただけませんか?」

よろこんでぇ!!と言いたかったが・・・

「お気持ちはありがたいですが、私はただの通りすがりです。お邪魔したら家族の方にご迷惑をお掛けしますよ。」

「いえ、両親とは今別れて暮らしてるので大丈夫です。」

危ねーなおい。

「そうですか・・・それならお言葉に甘えて・・・」

地図と食料はこれで解決かな〜とか思いつつ、俺は美少女の案内で森の奥へと入っていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「英雄になろう」に投票 ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ