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フェアリーテイル・トレック  作者: 片桐奈海
第2章 恋と魔術とレベル上げ
17/28

9

ドイル視点。

説明回です。


 ドイルは驚いていた。

 現役を退いてからはずっとロンバルディア城で新たなバスターとなるべき人材を見極めてきた。数多くの人材を見てきたが、コレは、と思う人材にはなかなか巡り会えないものである。そんな中でも、コレは、と思えたのはレッドとクラウスだった。

 ドイルがトラブルバスターとしてそろそろ限界が近いと思い始めたときに出会ったのがレッドだ。彼に並々ならぬ才能を感じたドイルは、自分の後継として彼を鍛えることにした。そして充分に独り立ちできるまでに育てた時、ドイルは現役を退いた。

 しかしロンバルディア王国の国王はドイルがトラブルバスターを引退し、その力を埋もれさせることを良しとしなかった。

 それから、ドイルの『視出みいだす者』としての生活が始まった。

 しばらくして出会ったのがクラウスだ。それまで幾人かのバスター候補を視てきたが、こいつならばやれる、と胸を張って言えるような人材は片手で数える程度だった。

 しかし、クラウスの瞳を視て、能力を感じ、才能を感じ、ドイルはレッドと会ったときのことを思い出した。

 その時から何年経っただろうか。もちろん、彼らだけでなく他にも才能ある若者たちを視てきた。レッドとクラウス同様にトラブルバスターとしての活躍ぶりは国中に広まっている。

 彼らには十人十色の様々な才能が隠されていた。それを見出して覚醒させる助けをするまでがドイルの役割だ。


 そして目の前の少女も、コレは、と感じる何かを持っている。


 ドイルは彼女に、レッドとも違う、クラウスとも違う才能を感じたのだ。

 そもそもトラブルバスターの多くは男性だ。女性がいないわけではないが少ないのが現状だ。

 ドイルが『視出す者』になる前はトラブルバスターになりたいと城に志願すれば、見習いには誰でもなれた。しかし、その中の多くの人々はバスターとしての才能に欠けていた。

 そういう人達は、自分の力を悟りトラブルバスターの道を諦めるか、モンスター達に淘汰されるか、小物だけを相手にしてバスターとして生きるか。そうして、職業としては危険な認識が高まっていった。

 そうなると、女性のなり手はあまりいない。

 女性にも才能がある者はいるのに、それに気付かないのは勿体ない。と、ドイルは現役の頃から感じていた。

 人体には多かれ少なかれ魔力が存在するとされている。その中でも、女性は男性に比べてヒーラーとしての魔力が強いと言われている。

 幼い頃、転んでぶつけた膝を優しくさする母の手に痛みが和らいだ経験がある者が多いだろうが、それも女性のヒーラーとしての力の所以といわれている。

 もちろん魔力の種類はそれだけではなく、様々な力が存在する。知られていないものもあるかもしれないほどである。

 そして稀に、人よりも魔力を多く持って生まれる者がいる。

 そういった者は大概、生まれつき身体が弱かったり、先天的な重篤な病気を持っていたりするために短命である。

 ドイルは長く生きている間でそういった人に会ったことがあるが、どの人もどこか儚げで脆そうな雰囲気だった。そして、人とは違う何かをまとっていた。

 後々考えてみると、まとっていた何かは身体に収まりきらない魔力だったのだろう、と思う。

 力は時に残酷なものである。

 そんな並外れた魔力を目の前の少女から感じるドイル。

 それなのに、彼女は今まで見てきた誰よりも明るく元気そうにしている。

 病気なんて知らないかのように。

 だが、彼女は自分の持つ魔力に気付いていない。気付いていれば、きっと魔術を学ばされていただろう。そしてモンスターとの戦いで使用していただろう。

 しかし、なぜ今まで魔力に気付かずにいたのか。ドイルはどうしても理解できなかった。


 この世界の人間は生まれてからちょうど22ヶ月目の日、必ず魔力をはかられているというのに。

 何らかの方法で魔力を隠されていたのだろうか。

 この世界で魔力持ちは重宝されるため、それを隠したい両親が何らの方法を使ったのか。

 そんな方法があるとは聞いたことがないが、そうでもしないと辻褄が合わない。


 だが先ほどのゴーレムとの戦いで、彼女の魔力はその力を持て余すように一瞬だけ顔を出した。

 剣撃波に混ざり、ヒットの瞬間に一瞬だけ。

 それを視たドイルは、彼女の魔力が隠された何かから出ようとしているのではないかと感じた。

 だからドイルは彼女に尋ねた。


「 力を解放すれば更なる高みに行ける可能性を秘めておる。どうじゃ、力を解放してみんか?」

実は、花梨はMP限界突破のチートキャラでした!

乙女ゲームのヒロインは魅了チャームの魔法を使ってるとしか思えない時がありますよね。

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