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フェアリーテイル・トレック  作者: 片桐奈海
第2章 恋と魔術とレベル上げ
13/28

5

読んでいただいてありがとうございます。

1日遅れてしまいました…。

ですが皆様のおかげでPVが10000を超えました!

本当にありがとうございます!


「ただのコスプレだな、わたしが着ると……」

 確かにゲームヒロインが着ていたときは可愛かったはずなのに、鏡の向こうで同じような服をきている自分はどこか違う。

 上はインナーに白いブラウスのようなシャツ、レザーのベスト、その上からポンチョ風の紫色のジャケットを着ている。

 下はオフホワイトのショートパンツからややムッチリした太ももが出ていて、レザーのニーハイブーツのおかげで絶対領域なるものができていた。武器を支給された後は太ももにそれぞれ魔銃とマガジンのベルト付きホルダーを着ける予定だ。

 これって、旅団の看板娘に似てるな。と花梨は思う。

 ショートパンツなだけに動きやすいし、ジャケットがあれば防寒にもなる。

 機能的には女性の戦闘服としては良いだろう。だが、いかんせん花梨からすればただのコスプレにしか思えないのが玉にきずである。

 横を見ると、そこにはガッチリし過ぎることなく綺麗に筋肉の付いた均整のとれた肉体が2つ。

 2人には聞こえないように花梨は毒を吐く。

「イケメンのくせにイケボディまであるなんて、なんかムカつく……」

 まったくの逆恨みである。


 一揃えの装備を手に入れた花梨は、装備屋から事務所への帰り道で道行く人に見られているような気がしていた。

 えぇ、えぇ、どうせわたしにはこんな可愛い服似合いませんよーだ。

 心の中でブツブツと文句を唱えるが、視線が止むことはない。

 見たことのない新参者が町でも有名なトラブルバスターと一緒にいるのだから当たり前である。

 トラブルバスターというのは決して汎用な職業ではない。

 まさしく選ばれた強者のみがなれる仕事だ。

 そのトラブルバスターが町にいるのならば、有名にならないわけがなかった。

 事務所の階下の酒場に着いたときも、女を連れてきた、と騒いでいた人がいたくらいである。あっという間に町には噂が広まっていた。

 しかも、戦うための服に身を包んだ花梨を見た人々には更なる噂が飛び交うこととなるだろう。

 花梨は、自分がオタクであるため好奇の視線を浴びることにはなれていたつもりだが、どうにも居心地が悪い思いをしていた。

 いつも向けられる類の視線とは種類が違うように感じていたからだ。

 侮蔑や嘲笑のような視線は何度か感じたことがあった。イベントに行く途中の駅や電車で、大量の缶バッチやガチャガチャのプライズのキーホルダーがついたバッグを見た人はたいてい一瞬そんな目をしていた。

 でも、今あるのはどちらかといえばゴシップを見る目。


「大丈夫か?」

 レッドは怯えるような雰囲気の花梨に気付いて声をかけた。

 先程まで装備屋でブツブツと文句を言っていたのが嘘のように、周囲を警戒するかのごとくキョロキョロ視線を動かしはじめたためだ。

「なんか、見られてる」

 おどおどと答える花梨はまるで捕食者に睨まれた小動物のようだ。

「まぁ、気にすんな」

 ポンと軽く叩くように花梨の頭に手を当てたレッド。

「その内、町の連中も気にしなくなるさ」

 そう言い、レッドはいつものニヒルな笑みを浮かべる。

 レッドもクラウスも、自分達が目立つ存在だということを理解したうえで気にしていない。目立つということはトラブルバスターになろうと思ったときから分かりきっていたからだ。

 レッドは果たさなければならない目的があってトラブルバスターとなった。その為には目立とうがそんなことは関係ない。

 それよりも気にしなければならないのは、強くなるということだけだ。

 たとえどんなモンスターでも討伐することができるように。


 だから、自分から戦うと言った少女のことは気に入った。

 なのに今は周りを気にしてビクついていることに少し腹が立つ。

 あんたもオレと同じ強さを求めてるんじゃないのか?と思ってしまう。

 なのに口から出た言葉は思いとは逆で、励ますものだった。

 自分でも何故かは分からない。

 そして、まだビクビクしている花梨を見て思いつく。


 そういやオレ、小動物好きなんだよな。特に、追い詰められて格上に牙を向くような部類のが。


 そして、再びニヒルに笑う。

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