第六章(3)
一応終了します。最終章は書き直す必要があり。それをする集中力はありませんので、機会がありましたら、最終章として掲載します。
小さなキャンパスの背景はすべて青、すべて顔の表情が違う。
すべてが怒り、憎しみ、疑念、笑いはあるが嘲笑。
一際目立つのは壁に掛けた清楚な白い衣服のもの。それは白装束に思えるのは自分でも怖い。
しかも同じ女性だが、すべての表情が冷たげで、目尻がつりあがっているような描き方は何かを示唆しているようで、胃のあたりに疼痛を感じる。
顔の角度は微妙に違うものの、すべて俺を見つめていて、おれは自分の腕でしかも何を描いているのか。しかも描き上げた絵をきれいに写真に残し、スクラップにまとめていた。それを取り出して椅子に座り、めくって悦に入る。抜けた髪の毛が頁ごとに挟まっている。自分の髪の毛ではない。長い髪の毛。
おれはそれを取り除きながら頁をめくる。
最後のページまで終わり、机の上に山になった髪の毛を見つめる。燭光が髪の毛を照らし揺らす。
怖くなって灰皿にそれらを移し、口を歪めて少し苛立ち気に紙マッチで火をつけて、燃やす。
まるで昔化学の実験で、鉄の綿を燃やしたようだ。
気のせいか腐ったような匂いが鼻腔を突く。
昔鉄を燃やす学校の実験を思い出した。スチールタワシが燃えているようにすべて燃えた。
灰かすだけが残るその灰皿を見つめている。
急に喉が締め付けられてむせた。
灰皿の灰かすが自分の顔にかかり、目が痛い。
慌てて手で拭き取り、気をとりなおし、スクラップをまためくる。
どういうわけか取り除いたはずの髪の毛がまたある。
めくっては一本一本机の上に積み重ねられていく。一枚づつめくりながら同じ所作を繰り返し、果てしない物語に思える。
それでもその所作を止めない。そういえば一度彼に見せたことがあった。驚いていたな。そんなに怖い絵に見えたのかね。
最後まで読んだ方がいましたらありがとうどざいます。なけなしの感謝です。