通ぶって知ったかぶりをするのはみっともないよ
高校時代のある日、友人と三越の中にあったそば屋で昼食を摂ったんです。
私も友人もざるそばを注文しました。
くっだらない話をしているうちにそばが運ばれてきて、私たちは箸を取りました。
友人が言います。
「そばはさぁ、つゆの中にいきなり薬味を全部入れるんじゃなくて最初はそばだけで食べるんだよ」
へぇ、そうなんだぁ。
私はそんなことナノ単位で考えもしませんので既につゆの中には薬味のネギとワサビが全部それはもう欠片すら残さず投入されています。
何なら唐辛子まで入れちゃってます。当時は辛いのが好きだったので。
友人はそばを少しだけ取ってつゆにチョンとつけてから食べました。
「こうやってさぁ、少しずつ取ってちょっとだけつゆにつけて食べるのが通なんだよ。ドボンと一度に沢山入れちゃったらつゆの味しかしなくなるだろ? つゆは濃いからさぁ、つけ過ぎるとそばの味が負けちゃうんだよ」
ふむふむ、そうなんだぁ。
既に私のつゆの器にはざるそば一枚の三分の一が入っていました。
ちょっと多かったらしくつゆが零れてしまっていますがそんなもんは些細なことです。
友人は優雅にそばを少しずつ口に運んではろくに咀嚼もせずに食べ勧めていきます。
「そばはさぁ、よく噛んで食べたら駄目なんだよ。そういうのは無粋って言うかさぁ、わざわざそばを不味く食べているのと一緒なんだよね。特にざるとかもりは喉越しが肝心って言うかさぁ」
ほうほう、つまりそばはカレーと同じで飲み物感覚にしろと。
私はモグモグとそばを食べながら友人の話を拝聴します。
私の友人はさすがと言うか知らないことは何もないと言うか凄いと言うかセンスあるって言うかそうなんだぁっていつも感心させてくれる貴重な存在でした。
彼のいろんなエピソードは今でもネタとして面白可笑しく有効活用させてもらってます。
友人とは高校に入学してすぐに仲良くなったのですが、一ヶ月もしないうちに「この友人関係は(高校を)卒業するまでだからさぁ、そのつもりでいてくれよ」と言われまして実際卒業したら縁が切れました。
あいつ、どんなステルス機能を有していたのか本当に姿を消したんですよ。
今はどこで何をしているんですかねぇ?
案外、異世界転移をして美人で巨乳の女神様からチート能力をもらって可愛い女の子たちとキャッキャウフフしながらダンジョン探索とかしているのかもしれません。
ほいで「これこれはさぁ」って通ぶって知ったかぶりを披露しているんですよ、きっと。
あれ、正直その場に一緒にいたくないレベルでみっともないから止めさせたかったんですけど最後まで直りませんでした。
これ読んでいる皆さんは通ぶって知ったかぶりをするのは止めましょうね。
本人は楽しくなれてもまわりの人はあんまり楽しくないはずですから。
ではでは!




