第五章 プロモーション (促進) 6
グラニュウの持つ拳銃から放たれたのは、シャボン玉のような泡だった。
拳銃から作られた泡の大きさは、手の平くらいのサイズで、風になびかれるかのように、こちらへフワフワと飛んでくる。
「黒幕はお前なのか。俺達が共存できる選択肢はないのか?」
シャボン玉を避けることは容易だった。速度は遅いので、当たるわけがない。
朱里の両親に、上の者とのコンタクトを依頼してあったのだが、このグラニュウが上の者だという可能性もある。
「冥土の土産教えてあげるわ。この国を治めしは、我が四天王よ。我らの決定は絶対で、絶大な支配権を誇示しているわ。我らの存在を知る者は一部の上層の者達だけだけどね」
四天王……つまり、グラニュウをはじめ、あと三人の強敵がいるとういのか。この国を裏で納める四天王。彼らを全て葬れば、その時こそ真の自由を手に入れる時がやってくるのかもしれない。
ポン・ポン
シャボン玉は次から次へと放たれる。速度はゆっくりなのだが、数が異様に増えてきた。
俺は、シャボン玉の攻撃をよけながら、部屋の中央へと進んだ。そんこには大きなテーブルが置いてあり、そのテーブルの背面には、俺の愛用の拳銃『ナイン』が隠してあるはずだ。
玉を避けるフリをして、机の下へと滑り込む。
シャボン玉は、机に当たって割れた。割れたシャボン玉の中からは液体が流れ出し、その液体に触れたものは瞬く間に溶けだしたのである。これがグラニュウの攻撃の正体だ。
俺は、机の下に隠してある『ナイン』を取り出し、グラニュウへと向けた。
「馬鹿ね。そんなものが通用すると思っているの?なぜ私たちが四天王と呼ばれているかわかる?あなたたちとは次元が違うのよ」
グラニュウは、シャボン玉を自分の足元へと並べ始めた。シャボン玉は壊れず、上へ上へと積み上がって行き、やがて塀のようにグラニュウを守る。
ダン
試しに打ってみたが、彼女の言うとおり、弾丸はシャボン玉に当たり、その内用液により溶かされてしまう。
そして、壊れたシャボン玉の位置には、すぐに違うシャボン玉が補充され、隙はない。
その上、壁のなかからシャボン玉がこちらへと向かってくる。まさに完璧な攻撃だ。
武器などは役に立たない。
常識では考えられない攻撃、これが四天王の実力なのか。
「さあ、そろそろ終わりにしましょう」
グラニュウは、シャボン玉の壁の向こうから、シャボン玉の連射を始めた。