第五章 プロモーション (促進) 2
何故二人が一緒にいるのか。面識などあるはずがない。
「予想以上ね」
ジェネは以前と変わらぬ口調で、こっちを見据える。空爆も戦車も彼女の仕業だとういうのか。
よく見ると、破壊した戦車の破片にはEPIの文字が書いてある。つまり、彼女の戯言に使われたということだろう。
「ま、この程度であなたを仕留められるとは思ってないわ」
この国で随一の大金持ちの一人娘が、いったいどのような要件でこような非常手段をとったというのか。
「これで、上も動かざるをえなくなるでしょう」
続けるジェネの話の意図がつかめない。
ダン
ジェネと話している途中に、リコが引き金を引いた。
「兄さん……。腕が鈍ったか」
銃声は俺の方だ。リコより一瞬早く引き金を引いた。リコ相手に、急所を外している余裕はない。
その場にリコは倒れこんだ。
以前の俺ならば、よくて相打ちだっただろう。
訓練の成果なのか、オンコジーンの異変なのか、とにかくリコよりも腕が上だったことは確かだ。
「あの時、あなたに渡した物が、オンコジーンという物だったなんて……。私にも責任はあるわね」
リコが打たれても、ジェネは微動だにしない。両手を上に挙げたまま、じっとこちらを見つめている。
「分かるように説明してくれ」
最後のオンコジーンを合わせる瞬間は、隠しカメラによって、お偉いさん方に見られていたという。
そして、彼等の指示で、オンコジーンがどのような物で、どのような力を発揮するのかを見物することにしたというのである。
今まで3年もの間、誰の干渉も受けてこなかったのは、そういった経緯だったのだ。
だが、ジェネは反対した。
一刻も早く対処しなければ、手遅れになると。
そして、彼女のできる最大限の力を集結して今回の計画を立てたのだという。
「何故リコを巻き込んだ」
弾丸はリコの心臓を貫き、息はない。
血は継ってないとはいえ、同じ兄弟として育てられた兄を殺さなければならなかった。
「彼が協力してくれなかったら、私一人じゃここまでできなかったわ」
リコが協力した。つまり、爺の命令なのだろう。爺の指示ということは、その上からの指示。
つまり、ジェネがいう『上の者』の仕業なのかもしれない。
「でも、ルイ。あなたたちって、もっと野望とかないの? 国を治めたいとか、頂点に立ちたいとか。二人で毎日野良仕事ってどうなのよ。せっかく、奇跡とやらを手中に収めたのに、まったく宝の持ち腐れね」
気付かなかったが、監視はされていたようだ。当然といえば当然だが。