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第四章 イニシエーション(開花)  6

 さて、これでオンコジーンを全て手に入れたわけだが、どのようにしてルイを助け出すかが問題だった。

 処刑執行まであと五日。

 おそらく、六つのオンコジーンを合わせる時、何かが起こるのであろう。

 オンコジーンを二つ三つと合わせるとそれらは融合するのである。それぞれの持つ凹凸がなくなり、ひとつの板となる。

 これをルイの前で完成させなければならない。何とかしてルイと接触する期会を作らなければならなかった。

 今完成させてしまって、私が奇跡の当事者になってしまっては、ルイは救えないのかもしれないと考えた。


 私は再度、栗夏と連絡を取った。

「お願いがあります。死刑囚と、最後に話をすることは許されませんでしょうか」

 先日の出来事の後、初めての栗夏との会話だった。

 受話器の向こうでの栗夏の様子はわからないが、素直に返事をもらえた。


「あなたがそれを望むのでれば、そのように」

 彼の心境の変化は分からなかったが、とにかく、処刑の前に話をする期会を許されたのだ。

 これで万事整った。

 処刑の一時間前、処刑台の上での接見だった。場所はどこでもよかった。すべてはオンコジーンの奇跡にかけるしか、もう方法は残っていないのだから。

 もし、失敗したら。もし伝説などがなかったら。そう考えると、怖くて震えが止まらなかった。だが、もう信じるより道はない。あとは野となれ山となれだ。


 オンコジーンが手に入り、安堵していた所へ、アデポネから呼び出しの連絡があった。普段、彼女から呼び出されることは滅多にないことだったので、不思議に思い彼女の部屋へと出向いた。

 彼女は、住み込みで働いているので、同じビルの中に住んでいる。


「どうしたの?急に。トラブルでもあった?」

 アデポネに招き入れられ、ソファーへと腰掛けた。彼女はそわそわと落ち着きがない様子だった。


「これを見て。サイモシンに無理を言って入手したんだけど……」

 そう言って彼女が持っていたのは、血液検査の結果のようなものだった。

 難しい記号が並んでいる検査結果を見ても、何のことか分からない。


「それがどうかしたの?」

 それは、ルイのものだった。

 彼の採血の結果が何を意味するというのか。

 もうすぐ処刑される人の採血結果など、誰が興味を持つというのであろう。

 それに、結果が悪かったとして、いったい何を伝えたいというのか、アデポネの意図が全く分からなかった。


「順を追って説明するわね」

 彼女の話では、ルイが『異人血』の持ち主であるというのである。以前、地下組織での一件で捕えられ、人体実験にされる時、もしかしたら『異人血』を持っている可能性があると疑われた故に抹殺されるはめになったというのだ。『異人血』の検査には三週間ほどかかるのだが、今回はっきりとその結果が出たというのである。


「ちょっと、待って。それじゃ、公開処刑の本当の目的は、誘拐と結婚式の妨害という第一級の国家犯罪ではないというの?」

 あくまで、公開処刑は建前なのである。

 アデポネはコンピューターに忍び込み、ルイの機密ファイルを見つけたというのである。

 さらに、検査結果まで見せられては、信じないわけにはいかない。

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