自動織機 唯我独尊の道
ユタカGとエリオットとの攻防戦の裏話
自動織機の近年の惨めな姿を拝見して残念で残念でならず、論評する。
なぜこんな状況になってしまったのか。どこで判断を誤り、間違った道を歩みはじめたのか。100年の輝かしい歴史のある会社がこんな形で終わってしまうと思うと本当に残念だ。こんな結末になったのは昨今の自動織機の経営者の責任だ。佐吉翁、芳年さん、磯谷さん、それに社員、OBに対して恥ずかしくないか。
それにしても今回のTOBはひどいスキームだ。ユタカ自動車次期社長の今氏が考えたようだが。こんな人物がユタカの社長に昇格するとは皮肉なこと。ひどいというのは、自動織機に将来にわたり多額の借財を押し付け、ユタカ自動車は何ら痛まず、メリットばかり。親不孝の息子が母親を虐待しているようなもの。自動織機は今後何十年もの間、借金返済に追われ、資金が枯渇し成長が見込めない。たとえそれ以上に利益が出てもユタカ自動車に優先株の配当として吸い上げられてしまう。優先株についてユタカの財務担当は8%以上の利回りがあるから儲かってしょうがないとコメントしているようだ。ユタカが得をして自動織機が大損するスキームになぜ同社の経営者や社外取締役までも賛同するのか理解できない。自動織機の役員は会社に対して忠実義務があることを忘れている。
更にユタカ自動車は優先株にせざるを得ない理由を開示せず、世間をごまかしている。照夫氏や今氏は「ユタカが前面に出ることはよくない、グループ全体で自動織機を支える」と説明しているが真の理由を明かしていない。優先株でない議決権のある普通株で引き受けると自動織機はユタカの子会社となり、会社法の規定により自動織機が保有するユタカ自動車株9%以上をすぐに、または事前に処分しなければ会社法違反になる。子会社は親会社株式を保有してはならないのだ。
しかしユタカはこんなことは絶対にしたくないのだろう。今回のTOBが自動織機が保有するユタカ株9%以上を守ることが最大の目的だからだ。普通株で引き受けたとたん守るべきものを失ってしまうという本末転倒の結果を招くから。だから優先株で引き受けるのだ。
自動織機はなぜこんなひどいプランに乗るのか。そんなにエリオットなどのアクティビストが怖くてユタカの庇護が欲しいのか。情けない。
自動織機にはこんな悪辣なTOBを受け入れずとも、自主独立の素晴らしい道があるではないか。保有するユタカ、通商、電素、愛新などのグループ株をあえて10%ディスカウント(各社が行う自社株買い)の大損をしてまでも処分するのではなく、株式市場で適時適切に処分すれば5兆円もの資金が入る。LF、物流、ロジスティクスの成長資金にまわせばバラ色の将来がある。それなのにこれを自ら放棄する選択をしている。これだけ潤沢な資金がはいれば独立独歩の成長路線を歩むことができるはず。自動織機にとってモビリティなど関係ないのだ、ユタカ自動車に任せておけばよい。長草工場、碧南工場、東知多工場などの自動車部門は分社化して全てユタカに返せばよい。これでまた資金が入る。上場のまま、更に進歩する世界一のロジスティクス企業という選択肢があったはず。この道は社員にとっても望む姿だ。TOBプランは自動織機を借金づけで借金地獄におとしめ、結果、成長できない停滞企業に成り下がってしまうリスクが高い。こんな会社では社員の昇給もない。労組が反対しないのも理解できない。会社は社員に十分説明しているのか疑わしい。
自動織機役員はRSなどで相当数の自社株を付与してもらい、今回のTOBに応募することで多額の利益を得たはずだ。ワクワクして株を処分し売り抜け喜んでいる姿が想像できる。A級戦犯である役員を利し、社員を苦境におとしめる全く不当なプランなのだ。
一般株主も騙している。社外取締役で構成する特別委員会を立ちあげ、検討を重ねたという姿を装っている。特別委員会および取締役会の「本公開買付けに応募するか否かについては当社の株主の皆様の判断に委ねる」は株主をバカにしている。株主が応募するかどうかを判断するのは当たり前のことでこんな表明ならいらない。何のための社外取締役か。TOBに賛成か反対かの二者択一だけだ。株主のために働かないボードメンバーは不要であり、さっさと高額な報酬を返上して退任すべき。
昨年9月末の中間配当を突如止めたのも株主に対して背任行為だ。毎年3月末株主で、6月の定時株主総会で議決権を持つ株主は当然9月末の中間配当も期待している。まともな会社なら株主に長く株を保有してもらうことを望む。しかし、何の前触れもなく突如、無配にしてしまった。株主に無配だからさっさと出て行ってほしいと公言しているようなものだ。こんな株主を大切にしない会社は一刻も早く上場廃止した方がいいかもしれない。きっと非公開になればやりたい放題。エンジン不正のような不祥事がまた起きないことを願う。最小限、世を騒がせ、迷惑をかけないようにしてもらいたい。
最後に照夫氏と今氏に騙されていないか。もう一度、自動織機の将来のため、原点に立ち返り考えなおした方がいい。




