第94話「時間の重み」
こんにちは、作者です。
いつも『黒き天使(Anjo Negro)』を読んでくださり、本当にありがとうございます。
前回のエピソードでは、レオンとララの関係が大きく動き、二人は周囲の反対や偏見の中でも自分たちの想いを選びました。
しかし、戦いはまだ終わっていません。
今回のエピソードでは、第三フェーズの戦いが続きます。
アルファ組織の天才コンビ――リーとリウが戦場に立ち、その圧倒的な実力を見せつけます。
そしてその勝利の裏で、レオンとララの次の戦いも近づいています。
彼らが対峙するのは――「時間」を操る伝説の戦士たち。
それでは、第94話をお楽しみください。
闘技場の観客席は、試合が始まる前から熱気に包まれていた。
人々のざわめき、武器の音、エネルギーの輝き。
そのすべてが、これから始まる戦いへの期待を高めている。
観客席の一角。
レオンとララは並んで座っていた。
以前よりも二人の距離は近い。
しかしララの手にはホログラムタブレットがあり、すでに戦闘データを分析していた。
その時、廊下の奥から声が響いた。
「また俺たちと当たらずに済んだな!」
リウだった。
笑顔で歩いてくる。
「運がいいな、お前ら!」
レオンは少し笑いながら答える。
「運じゃないよ、リウ。」
彼は肩をすくめる。
「神様は、いつも一番いいものを最後に残しておくんだ。」
その瞬間――
バシッ。
ララがレオンの腕を軽く叩いた。
「レオン!」
彼女は真剣な顔で言う。
「集中して。」
タブレットを掲げる。
そこにはエネルギーの計算式と戦闘予測が表示されていた。
「忘れたの?」
ララは鋭く言う。
「私たちの相手は“時間の双子”。」
「リウたちの試合なんて、比べ物にならない。」
レオンは頭をかいた。
「はいはい……」
リーは腕を組んだまま、その様子を見ていた。
少しだけ微笑む。
そして――
彼の記憶が過去へ戻る。
幼いララ。
アルファ組織の廊下を走っていた。
彼女は包帯と薬を持っている。
傷だらけで帰ってきたリーの前に立つ。
「リー……」
小さな声で言う。
「戦うの、嫌い。」
彼女は彼の傷を優しく拭く。
「いつも怪我して帰ってくるから……」
現在へ戻る。
リーはララを見る。
今の彼女は戦士だ。
強く、冷静な戦略家。
リーは静かに思った。
(あの子が……ここまで来たか。)
その時。
闘技場の中央にホログラムが現れた。
実況者の声が響く。
「皆さん、お待たせしました!」
歓声が上がる。
「第三フェーズの次の試合が始まります!」
彼は手を広げた。
「アルファ組織の天才コンビ!」
「リー&リウ!!」
観客席が爆発した。
「リウ! リウ! リー!」
歓声が止まらない。
実況者は続ける。
「そして対するは――」
「黒魔術の天才、ガリレウ!」
「緑光の使い手、ゴン!」
闘技場の入り口から二人が現れる。
ガリレウは紫の鎧を着て、黒い杖を持っていた。
冷たい笑みを浮かべている。
隣のゴンは緑の鎧を輝かせ、自信に満ちた目をしていた。
四人は闘技場の中央で向かい合う。
沈黙。
砂埃が舞う。
ゴンが先に口を開いた。
「ホームだからって手加減はしない。」
彼はリウを見た。
「今日は、お前たちより俺たちが上だと証明する。」
ガリレウが杖を叩く。
「本物の魔法を見せてやる。」
リウは大きくあくびをした。
「長いスピーチだな。」
肩を回す。
「鏡の前で練習してきたの?」
リーは腕を組んだままだった。
「リウ。」
彼は静かに言う。
「早く終わらせろ。」
次の瞬間。
紫の爆発が走る。
ガリレウの魔法だった。
轟音。
しかしリウは軽やかに宙返りして避ける。
笑っている。
地面から緑の鎖が現れた。
それはガリレウの杖を絡め取る。
「いい杖だな。」
リウは言う。
「俺がもらってもいい?」
その背後。
ゴンが光の剣を作った。
「後ろだ!」
しかし――
地面の鎖が自動で動いた。
光の剣を止める。
リウは振り返る。
「言っただろ?」
彼は笑う。
「鎖の達人だって。」
観客席のリーは動かない。
腕を組んだままだ。
「勝負は決まった。」
ガリレウが怒り、紫の球体を空に浮かべた。
それは隕石のように降り注ぐ。
だが――
リウは手を振る。
地面から無数の鎖が生まれる。
「クラッシュ!」
鎖は球体を粉砕した。
さらにガリレウの手足を縛り上げる。
彼を空中へ吊り上げた。
「ば、ばかな!」
ガリレウが叫ぶ。
リウは指を立てる。
「俺と戦うときのルール。」
「地面を渡すな。」
ゴンが最後の攻撃を仕掛ける。
光の剣の雨。
リウは鎖で防ぐ。
一撃だけ、肩をかすめた。
リウは血を見て笑う。
「やっとか。」
「楽しくなってきた。」
そして――
巨大な鎖の槍が地面から突き上がった。
爆発。
ゴンは闘技場の外へ吹き飛ばされる。
ガリレウは気絶したままだ。
静寂。
そして――
歓声が爆発した。
実況者が叫ぶ。
「勝者――リー&リウ!!」
観客席が揺れる。
しかしリーは一歩も動いていなかった。
彼はただ言った。
「終わりだ。」
観客席。
レオンが笑う。
「すごいな。」
ララはタブレットを見ていた。
真剣な顔。
「油断しないで。」
彼女は言う。
「私たちの相手は“時間の双子”。」
その時。
闘技場の入口の影に、二人の姿が現れた。
時間の双子。
目が同時に光る。
ナレーションが響く。
「アルファの天才たちの勝利。」
「しかし次の試練は、すぐそこまで来ていた。」
レオンとララは立ち上がる。
闘技場へ向かって歩く。
その顔には決意があった。
――第94話・了――
第94話を読んでいただきありがとうございます。
今回はリーとリウの戦いでした。
二人の実力は圧倒的で、アルファ組織の強さを改めて見せる回になりました。
しかし、物語の本当の緊張はこれからです。
次に戦うのは――時間を操る「時間の双子」。
レオンとララにとって、これまでで最も危険な戦いになるでしょう。
また、本日公開したワンショット(短編)もぜひ読んでみてください。
キャラクター情報や設定、音楽などは作者ページにも掲載しています。
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ブラジルから、心を込めて。
次回もお楽しみに。




