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ブラック・エンジェル・ユニバース  作者: Leon Black Angel


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83/403

黒き天使 第三章 – 第83話 「師の遺志と雷鳴の蝕」

第三章、第83話です。

トーナメントは進み、今回は「師と弟子」の物語を描きました。

強さとは何か。

受け継ぐものとは何か。

戦いの中で失われるものもあれば、残るものもあります。

少しでも感じていただけたら嬉しいです。

死の惑星K11。

闘技場は再び歓声に包まれていた。

砂嵐のような熱気が空気を震わせ、エネルギーの松明が空を照らす。

次なる戦いは――世代の衝突。

古き時代を生き抜いた者と、これから未来を背負う者。

西側の入場口から、白髪と白髭を揺らしながら一人の老人が現れた。

ガエル。

その皮膚に刻まれたルーンが淡く光る。

盲目の瞳でありながら、彼の存在は重い。

その隣に立つのは、若き弟子リュン。

両手の短剣を軽く回し、不敵に笑う。

東側のゲートが開く。

黒いマントをまとったジーラ。

その背後で雷を帯びた男、ラガーが拳を鳴らす。

「始め!」

合図と同時にリュンが消えた。

風を裂く音。

ラガーの頬に一筋の傷が走る。

「速いな、坊主!」

だが次の瞬間、地面を叩く雷撃。

衝撃波がリュンを弾き飛ばす。

ガエルが静かに手を上げた。

「静寂の幻影。」

闘技場に無数の分身が現れる。

だがジーラは冷たく呟いた。

「月は幻を嫌う。」

黒い球体が広がり、闇が降りる。

幻影は消えた。

リュンが背後から斬りかかる。

しかし月の陣が彼の足を拘束する。

「甘い。」

雷が迫る。

その瞬間、黄金の障壁が展開される。

ガエルの命を削る防御。

雷が炸裂し、闘技場が揺れる。

血が、ガエルの目元から流れ落ちた。

(まだだ……)

蝕雷エクリプス!」

闇と雷が融合する。

巨大な雷槍が形成される。

リュンが叫ぶ。

「師匠!!」

限界を超えた速度。

緑の光となって闇を裂く。

だが。

雷槍が障壁を貫いた。

爆発。

静寂。

砂煙が晴れた時。

リュンは倒れていた。

短剣は砕けている。

ガエルは膝をつき、微笑んだまま意識を失う。

ジーラが見下ろす。

「才能はある。」

「だがまだ“影”だ。」

「勝者――雷鳴の蝕!」

歓声が爆発する。

観客席。

ララが静かに呟く。

「命を削って守ったのね……」

リウは拳を握る。

「……あの弟子は終わってない。」

レオンは黙ってリュンを見つめる。

(速さだけじゃない)

(守る覚悟が……足りない)

高座から、ロード・ヴァロンの笑い声が響く。

「古き者は消える運命だ。」

その時。

医療班がガエルを運び出そうとした瞬間――

リュンの指が、わずかに動いた。

誰も気づかないほど小さく。

だが確かに。

彼の瞳が、一瞬だけ開いた。

その奥にあったのは――

恐怖ではなく、怒り。

闘技場の空に残る人工の蝕が、ゆっくりと揺らいだ。

(続く)

第83話を読んでくださり、ありがとうございます。

今回は派手な勝利ではなく、敗北の中にある継承を描きました。

師の背中を見て育つ者。

守られた者が、いつか守る側になる日。

このトーナメントは単なる力比べではなく、それぞれの信念が交差する舞台です。

ブラジルで仕事をしながら少しずつ書き続けています。

応援や感想がとても励みになります。

次の戦いも、どうぞお楽しみに。

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