黒き天使(ブラック・エンジェル) 第二期 第37話
いつも『黒き天使』を読んでいただきありがとうございます!
トーナメントが近づく中、今回はレオンとリウの任務回です。
派手な戦いだけでなく、二人の信頼関係の変化も意識して書きました。
レオンは少しずつ「守られる側」から「共に戦う存在」へ、
そしてリウもまた、彼を認め始めています。
この戦いは単なる任務ではなく、
これから始まる大きな出来事への前触れでもあります。
それでは、第37話をお楽しみください!
夜のラヴォクは、死んだ星のように静まり返っていた。
かつて文明が存在していた痕跡はある。崩れた塔、砕けた石畳、風に削られた巨大な彫像の残骸。しかし今、この惑星には生命の気配がない。黒い山脈の間を、乾いた風だけが吹き抜けていた。
レオンは瓦礫の丘の上に立ち、遠くの地平線を見つめていた。
「……この場所、完全に滅びてるはずなのに」
低く呟く。
「エネルギーを感じる。しかも、あちこちからだ」
隣に立つリウは、目を細めたまま周囲を警戒していた。
「静かな場所ほど危険だ。準備しておけ、レオン。ここは“待ち伏せ”の匂いがする」
その直後だった。
――キィィン……
金属が擦れるような音が、廃墟の奥から響いた。
次の瞬間、影の中から四体の人影が現れる。
赤い光を宿した眼。無機質な体。関節から漏れる蒸気。
クライザード製の戦闘アンドロイドだった。
「来たな」
レオンの両手に炎が灯る。同時に、火の中へ雷の火花が混じり始める。
リウは一歩前へ出た。姿勢を低く落とす。
「二体は任せる」
「言われなくても!」
地面を蹴る音と同時に、戦闘が始まった。
レオンは炎と雷を混ぜた球体を作り出し、一直線に投げ放つ。
爆発。
二体のアンドロイドが同時に吹き飛び、空中で破砕する。火花と金属片が雨のように降り注いだ。
一方、リウの姿が消える。
次に見えた時、彼はすでに敵の背後に立っていた。
遅れて、アンドロイドの上半身が滑り落ちる。
「相変わらず速いな」
レオンが笑う。
「お前は加減しすぎだ」
リウは冷静に答えた。
しかし、その直後――
地面が震えた。
ゴゴゴゴゴ……
廃墟の中央が割れ、巨大な影が立ち上がる。
岩のような皮膚。黒い結晶に覆われた腕。圧倒的な質量。
クライザードの地属性将軍だった。
「侵入者め……ここラヴォクに来た時点で、貴様らの死は決まっている」
大地が盛り上がり、石の壁が二人を囲む。
レオンが炎で壁を爆破するが、次の瞬間、地面から石柱が突き上がり、彼の体を弾き飛ばした。
リウは高速移動で回り込むが、衝撃波に捕まり壁へ叩きつけられる。
「リウ!」
「……大丈夫だ」
血を拭い、立ち上がる。
「一人じゃ無理だ。合わせるぞ」
レオンは頷いた。
将軍が拳を叩きつけると、無数の石槍が空へ突き出す。
レオンは炎の外套を纏いながら空中を回転し回避する。
その隙に、リウが残像を残しながら結晶の腕を斬り裂いた。
しかし将軍はリウの首を掴み、そのままレオンへ投げつける。
レオンは空中で受け止めた。
「やるぞ!」
二人の気配が一つに重なる。
レオンの炎と雷が渦を巻く。
リウの霊力が龍の形を成す。
二つの力が融合した瞬間――
光が爆発した。
ラヴォクの夜空が昼のように照らされる。
将軍は膝をつくが、まだ立っていた。
「見事だ……だが、まだ終わらん」
大地が閉じ、巨大な岩の檻が二人を押し潰そうとする。
レオンの瞳が金色に変わった。
クライザードの力が解放される。炎と雷が同時に噴き上がる。
その瞬間、リウの姿が完全に消えた。
――次の瞬間、将軍の背後に現れる。
「終わりだ」
霊力の刃が胸を貫いた。
レオンの爆炎が同時に炸裂する。
将軍の体は結晶となって砕け散った。
静寂が戻る。
瓦礫の中、二人は肩を並べて立っていた。
「今回は信じてくれたな」
レオンが言う。
リウは空を見上げる。
「後悔させるなよ」
星のない夜空に、風だけが流れていた。
――だが、それは嵐の前の静けさに過ぎなかった。
(第37話・完)
第37話を読んでいただきありがとうございました!
今回はレオンとリウの共闘が中心でした。
リウはあまり感情を表に出さない人物ですが、実は作中でもかなり重要な立場にいます。
そして今回登場したクライザード将軍は、
実はこの後の展開にも小さく関係してきます。
物語はいよいよトーナメント編へ近づいていきます。
レオン、リー、そしてアレス――
それぞれの信念がぶつかる準備が整いつつあります。
ここから物語の流れが一気に動き始めますので、
これからも応援していただけると嬉しいです!
感想やブックマーク、本当に励みになっています。
いつもありがとうございます!
次回もよろしくお願いします!




