第30話 「Color00任務 ― 後編」
読者の皆さま、いつも『黒天使ユニバース』を読んでいただきありがとうございます。
Color00編は今回で完結です。
レオンにとって初めての「守れなかった戦い」を描きました。
力があっても救えない現実――それが彼の成長のきっかけになります。
ここから物語はさらに大きく動き始めます。
それでは本編をお楽しみください。
燃え上がる都市の中央で、レオンとクリザードの将軍が向かい合っていた。
空は赤く裂け、地面は雷のように震えている。
熱風が砂を巻き上げ、二人の間を吹き抜けた。
「退け、人間」
将軍は炎をまといながら低く唸った。
「この星はすでに滅びる運命にある」
レオンはゆっくりと拳を握る。
「――それでも、守る」
次の瞬間、地面が爆ぜた。
将軍の炎の衝撃波が一直線に襲いかかる。
レオンは片手をかざした。
「土よ――!」
大地が隆起し、巨大な岩壁が炎を受け止める。
だが、熱で溶け始める。
レオンはすぐに動いた。
「風!」
身体が一瞬で加速し、将軍の背後へ回り込む。
爪に雷を纏わせ、振り抜いた。
しかし将軍は振り向きざまに拳を叩き込む。
衝撃。
レオンの身体が地面を滑り、瓦礫に激突した。
「甘い」
将軍が炎を集束させる。
巨大な火柱が空へ立ち上がった。
レオンは立ち上がる。口元から血が流れていた。
「……まだだ」
彼の周囲に、五つの光が巡る。
火。水。土。風。雷。
五元素が同時に渦を巻いた。
将軍の目が細まる。
「貴様……」
レオンは踏み込んだ。
水で炎を押し返し、風で間合いを詰め、雷で動きを封じる。
最後に、土の拳が将軍の胸へ叩き込まれた。
轟音。
将軍は膝をついた。
沈黙。
レオンはゆっくりと歩み寄る。
爪を振り上げ――止まった。
「……」
将軍が見上げる。
「なぜ殺さない」
レオンは小さく首を振った。
「俺は……お前たちと同じにはなりたくない」
その瞬間だった。
地面が崩壊した。
轟音とともに都市が沈み始める。
核エネルギーが暴走し、地割れが広がる。
将軍は立てない。
レオンを見つめたまま、崩落へ飲み込まれていった。
やがて、完全に姿が消えた。
レオンは目を閉じた。
「レオン!!」
ララの叫びで我に返る。
建物が次々と崩れていた。
「脱出するぞ!」
リウが子供を抱えながら叫ぶ。
レオンは地面に手をついた。
「壁を作る!」
岩の壁が落下物を防ぎ、ララが剣で道を切り開く。
リウは次々と住民を運び出していく。
炎、瓦礫、爆発。
彼らは必死に走り続けた。
ようやく全員が船へ飛び込む。
ハッチが閉まり、船は上昇した。
宇宙へ出た瞬間だった。
惑星Color00が、静かに裂けた。
光が広がる。
世界が崩壊していく。
船内は沈黙に包まれた。
ララが涙を流す。
「……助けられなかった……」
リウは窓を見つめたまま言う。
「このままじゃ……どの世界も同じ運命になる」
レオンは拳を握る。
何も言えなかった。
次の瞬間――
惑星が、光となって消えた。
しばらく後。
宇宙空間に残った残骸の中へ、二つの黒い船が現れる。
スピルリアンのアンドロイドだった。
無機質な目で周囲を観測する。
瓦礫の中から、光が脈打っていた。
惑星の核。
一体が箱を開く。
もう一体が核を収容する。
「……核、回収完了」
「クリザードはまだ理解していない。これは子供の問題ではない」
箱が閉じられる。
空間が歪み、彼らは消えた。
そこには、ただ星の塵だけが残った。
第30話を読んでくださり、本当にありがとうございます!
今回のエピソードは、勝利でありながら敗北でもある物語です。
敵を倒しても、世界は救えない――その現実がレオンの心に大きな影を落とします。
そして最後に登場したスピルリアン。
彼らの目的は「子供」ではなく「惑星の核」であることが示されました。
この謎が、今後の物語の核心になっていきます。
作者ページでは
・キャラクター設定
・ワンショットストーリー
・『黒天使ユニバース』楽曲
も公開していますので、ぜひご覧ください!
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次回もよろしくお願いします!




