アンジョ・ネグロ 第二部 ― 第28話「鍛錬と血」
『ブラックエンジェル・ユニバース(Anjo Negro)』へようこそ!
今回のエピソードは、これまでとは少し雰囲気が違います。
レオンとララは大会に向けて成長し続けていますが――
その裏側で、もう一人、誰にも知られず戦っている者がいます。
リーです。
英雄とは、必ずしも勝つために戦う存在ではありません。
時には、誰かの未来の道を切り開くために戦う者もいます。
この章では、その“影の戦い”が描かれます。
それでは、どうぞお楽しみください!
滝の音が谷に響いていた。
岩壁に打ちつける水しぶきの中、レオンは立っていた。
体中に打撲と切り傷。呼吸も荒い。
彼の周囲で、水と雷の力が揺れている。
「……くっ!」
水を操ろうとした瞬間、雷が暴走する。
衝撃が走り、レオンは後方へ吹き飛ばされた。
地面に倒れ込む。
「はぁ……はぁ……」
ララが近づく。
「レオン、五つの元素は“目覚める”だけじゃだめ。
制御しないと意味がない」
彼は苦笑する。
「分かってる……でも体が耐えない」
ララは彼の手を取った。
「それでも進むしかない。
あなたの隣で戦うなら、私も止まらない」
彼女は剣を抜いた。
一閃。
巨大な岩が真っ二つに裂ける。
再びレオンは立ち上がる。
水と雷を同時に扱おうとする。
失敗。
再び吹き飛ばされる。
それでも――彼は笑った。
二人は倒れ込みながらも、互いを見て頷いた。
同じ頃、各組織でも準備が進んでいた。
剣を研ぐ者。
魔法を鍛える者。
連携を練る者。
大会へ向けた空気が高まっていく。
ダリアムとドリアも訓練していた。
激しい衝突。
拳が岩を砕く。
「リーさえいなければ……!」
ドリアの目に憎しみが宿る。
「レオンもだ。
あの裏切り者を皆の前で叩き潰す」
大地が爆ぜた。
一方――
暗い惑星。
資源基地の奥、牢獄の廊下に足音が響く。
リーだった。
既に剣には血が付着している。
門を守る兵士が叫ぶ。
「侵入者だ!」
次の瞬間、首が宙を舞った。
戦闘が始まる。
リーは止まらない。
斬撃。
貫通。
骨の砕ける音。
包囲されても、彼の速度は落ちない。
目が黄色に染まる。
半獣化したクライザディアンの姿。
兵士たちは恐怖する。
だが――遅い。
次々に倒れていく。
廊下は血に染まった。
やがて、二百の兵士は誰一人立っていなかった。
リーは牢へ向かう。
剣を振るい、鉄格子を破壊した。
中から、捕虜たちが現れる。
怯えた目。
しかし彼を見て、希望が宿る。
リーは何も言わない。
ただ、出口へ歩く。
彼らはその背中についていった。
外へ出た瞬間、リーは振り返る。
基地を見上げる。
剣に力を集める。
大地が震える。
「……終わりだ」
彼は跳躍し、斬り下ろした。
巨大な衝撃。
基地が真っ二つに裂ける。
爆炎が夜空を染めた。
炎の中、リーは歩き出す。
顔には血が付着していた。
彼は剣を地面に突き立て、血で文字を書く。
「アリス……お前の時代は終わる」
赤い空の下、彼の影が伸びる。
遠くで、解放された捕虜たちがその姿を見つめていた。
リーは振り返らず、炎の中へ消えていく。
第28話 終わり
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
第28話は、第二シーズンの重要な転換点となるエピソードです。
これまで物語はレオンの成長を中心に進んできましたが、
リーもまた、誰にも見えない場所で大きな重荷を背負っています。
主人公が前に進めるのは、
誰かが闇の中で戦っているからかもしれません。
もしこの物語を気に入っていただけたら、ぜひ作者ページもご覧ください。
・キャラクタープロフィール
・『Anjo Negro』の楽曲(オープニング曲を含む)
・世界観を補完するワンショット作品
すべて作者ページに掲載されています!
次回、いよいよ大会が始まります。
そして、新たな同盟と対立が動き出します。
これからも『ブラックエンジェル・ユニバース』をよろしくお願いします!




