アンジョ・ネグロ 第二部 ― 第26話「王の道」
前書き:
第26話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
今回はリーに焦点を当てたエピソードになります。
これまであまり語られなかった彼の覚悟、そして背負っているものの重さが描かれます。
レオンたちが大会へ向かう中、別の場所ではもう一つの戦いが始まっていました。
「王になる」という言葉の意味を、少しでも感じていただけたら嬉しいです。
赤い月が、巨大な惑星を照らしていた。
鉱物に満ちたその星の表面には、クライザディアンの巨大基地がそびえ立つ。
生きているかのように脈動する防壁と、無数の砲台。
その崖の上を、一人の男が歩いていた。
リーだった。
風が彼のマントを引き裂き、黄金の瞳が闇の中で光る。
(もし私がこの重さを背負えなければ――レオンに平和は訪れない)
彼は基地を見下ろす。
(この星よ、証人になれ。私が流す血の証に)
警報が鳴り響いた。
侵入者を感知したのだ。
基地の門が開き、兵士たちが雪崩のように現れる。
狼のような姿を持つクライザディアンの戦士たち。
「単独で侵入だと?」
隊長が笑う。
「狂っているか、自殺志願者か」
リーは剣を抜いた。
黒い炎が刃を包む。
「後者ではない」
一瞬。
刃が振り下ろされる。
血が弧を描いた。
戦闘が始まる。
リーは廊下を突き進む。
斬撃、爆発、悲鳴。
彼の動きは止まらない。
倒れる兵士の数が増え続ける。
基地の奥。
骨と鉄で作られた玉座の間。
そこに、巨大な影が立ち上がった。
赤い毛並み、燃える瞳。
クライザディアンの将軍だった。
「貴様が裏切り者の王子か」
リーは笑う。
「裏切り者ではない」
剣を構える。
「お前たちの終わりだ」
火と火が激突する。
将軍の拳がリーを壁へ叩きつける。
柱が砕ける。
リーは血を吐き、しかし立ち上がる。
「いい力だ……だが足りない」
彼は一瞬で距離を詰めた。
剣が将軍の胸を貫く。
炎が内部から爆発した。
将軍は崩れ落ちた。
だが終わりではない。
出口には、数百の兵士が待っていた。
リーは深く息を吸う。
「来い」
血に濡れた剣を握る。
「今日、私は死と踊る」
再び戦いが始まる。
斬撃が閃き、地面が赤く染まる。
彼の体は傷だらけになっていく。
それでも、前へ進み続けた。
やがて――
誰も立っていなかった。
燃え上がる基地。
リーは剣を地面に突き立て、旗を残す。
「父上……」
静かに呟く。
「まだ私を疑うか。
私は戦士では終わらない。王になる」
彼は空を見上げる。
「もしここで倒れても――
私の名は、後継者の道を開いた者として残る」
血と涙が頬を伝う。
「その時、分かるはずだ……
あなたの息子は失敗していない」
炎の中、彼は一人立っていた。
――王の道は、すでに始まっている。
第26話 終わり
後書き:
第26話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
この回では、リーがなぜそこまでして戦うのか、その理由と覚悟を描きました。
彼の行動は時に危険で無謀に見えるかもしれませんが、すべては未来へ繋げるための選択です。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しめるように、
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