アンジョ・ネグロ 第二部 ― 第25話「飢えの星」
前書き:
第25話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
今回は大会編の合間に描かれる特別な任務の回です。
戦闘ではなく、人を救うこと、希望を取り戻すことに焦点を当てました。
レオンがどんな信念で行動しているのか、そしてララがそれをどう感じ取るのかが描かれています。
いつもとは少し違う雰囲気のエピソードですが、物語にとって大切な意味を持つ回です。ぜひゆっくり読んでいただけたら嬉しいです!
訓練室に、衝突音が響いていた。
レオンのエネルギーの爪が閃き、ララの生み出した黄金の槍とぶつかる。
金属のような音が空間に反響した。
二人とも息を切らしている。
汗が床に落ちる。
それでも目だけは真剣だった。
「ララ」
レオンが息を整えながら言う。
「リーに勝ちたいなら、力だけじゃ足りない。心で戦え」
ララは小さく笑った。
「あなたが言う?
宇宙の半分を背負ってる顔してるのに」
一瞬、二人の間に柔らかな空気が流れる。
だが――
扉が勢いよく開いた。
「レオン!ララ!」
士官が飛び込んでくる。
「緊急任務だ。評議会の承認が出た。
行き先は……“飢えの星”」
静寂が落ちた。
その星は、死んでいた。
地表はひび割れ、川は干上がり、街は崩れている。
風が砂を巻き上げるだけの世界。
人々は痩せ細り、力なく座り込んでいた。
希望という言葉が存在しない場所だった。
レオンとララが降り立つと、子どもたちが遠くから見つめる。
恐れと、ほんの少しの期待。
レオンはゆっくり歩み寄る。
一人の弱った子どもの前に膝をついた。
持ってきたパンを差し出す。
「……大丈夫だ」
優しく言う。
「創造主は、あなたたちを忘れていない」
老人がかすれた声で言った。
「何度も聞いた……
その神は、我々が滅びる時どこにいた?」
レオンは立ち上がる。
「ここにいた」
静かな声。
「あなたたちが諦めないのを待っていた。
私は、そのことを伝えるために来た」
人々の目に、揺らぎが生まれる。
ララが袋を開ける。
中には金色の種が入っていた。
「まずは信じて」
彼女は言う。
「一緒に植えてください。
これは生きるための第一歩です」
人々は戸惑いながら種を植えた。
だが――何も起きない。
落胆が広がる。
その時、レオンが地面に手を置いた。
「あなたたちは踏み出した。
あとは、創造主の応えを待とう」
大地が震える。
乾いた土が閉じ、緑の芽が顔を出す。
やがて一面に広がっていく。
歓声が上がった。
人々は膝をついた。
「神だ……!」
レオンは叫ぶ。
「違う!」
彼は首を振る。
「神は一人だけだ。
私はただの使いだ」
涙を浮かべて続ける。
「創造主は、あなたたちが再び助け合うことを望んでいる。
私は命じられたことをしただけだ」
沈黙の後、人々は互いに抱き合った。
家族が手を取り合い、子どもたちが笑う。
歌声が小さく広がる。
ララはその光景を見つめていた。
(彼は……戦わずに救う)
胸の奥が温かくなる。
(もしかしたら、宇宙に必要なのは力じゃないのかもしれない)
夕日が地平線を染める。
レオンは空を見上げる。
「創造主は、あなたたちを見捨てない。
だから……あなたたちも、諦めないで」
新しい緑が広がり始めた星を、二人は静かに見つめていた。
第25話 終わり
後書き:
第25話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
このエピソードでは、力による勝利ではなく「希望」や「信仰」をテーマに描きました。
大きな戦いが近づく中で、レオンがなぜ戦うのか、その理由が少し伝わっていれば嬉しいです。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しめるように、
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