アンジョ・ネグロ 第二部 ― 第22話「ヴァロンの挑戦」
前書き:
第22話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
ついにアルファ組織に評議会のメンバーが訪れ、物語は新たな局面へと入ります。
今回は戦闘ではなく、対立・信念・そして新たな試練の始まりを描いた回です。
レオン、リー、ララそれぞれの立場や想いが少しずつ動き出します。
特に最後の提案――大会が今後の大きな転機になりますので、ぜひ注目して読んでいただけたら嬉しいです!
アルファ組織の上空から、ゆっくりとカメラが降りていく。
訓練場ではエージェントたちが動き回り、普段と変わらない日常が広がっていた。
――しかし、その空気はどこか重い。
今日は評議会の者たちが訪れていたからだ。
廊下では、アルファのエージェントたちが小声で囁き合っている。
「本当に来たのか……」
「ヴァンダー本人だって……」
緊張は隠しきれなかった。
会議室。
楕円形の大きな机の周りに、各組織の代表と評議員が座っている。
静寂を破ったのは、ロード・ヴァロンだった。
彼はゆっくりと前へ歩き出る。
「こうして全員が集まったことを嬉しく思う」
低く落ち着いた声。
「私が旅に出ている間に、五千近くのエージェントが移籍したと聞いた。理由は――リーが総監督になったから、だそうだな」
空気が張り詰める。
彼は報告書を机に放り投げた。
「リーの手元には百人しか残らなかった。
それが、数週間で千二百人になった。
だが支払い記録は百人分のみ……説明してもらおう」
沈黙。
やがてリーが立ち上がる。
「私は一度、諦めかけていました」
視線が集まる。
「しかしレオンに励まされた。
彼の故郷では“イエス”という救い主を信じている。私は祈り……応えられた」
彼は続ける。
「レオンとララが任務に赴き、契約を得た。
その支援によって組織は立ち直った」
その瞬間、ディリオが机を叩いた。
「ありえん!資金の横流しだ!
独自に任務を行うなど規則違反だ!」
空気が荒れる。
するとラウラが立ち上がった。
「違います」
彼女の声は怒りを含んでいた。
「レオンは殺さなかった。
相手の理由を聞き、救ったのです。
あなたたちの憎しみのように、私たちは腐りません」
彼女は続ける。
「私は母であり……暴君の王の妻でもある。
それでも、私たちは信念を曲げない」
室内は完全な静寂に包まれた。
ヴァンダーが口を開く。
「なるほど……では、救った七百人の女性たちはどうする?」
リーは答える。
「彼女たちはここに残ることを望んだ。
報酬はいらない。ただ、居場所と戦う理由を求めている」
その時、ロード・ヴァロンが微笑んだ。
「ならば決めよう」
全員が彼を見る。
「この場で――大会を開く。二人一組の戦いだ」
ざわめきが走る。
「そして優勝者は、私と戦う」
空気が凍る。
「私を倒した者を、私の右腕とする」
別の代表が慌てて立ち上がる。
「うちには戦える者がいない……」
リーは静かに言った。
「ならば、代表を貸そう。レオンだ」
視線が一斉に集まる。
ロード・ヴァロンが笑う。
「君と組むのではないのか?」
リーは首を振った。
「違う。
彼は――私が最も戦いたい相手だからだ」
一同が息を呑む。
ディリオが嘲笑する。
「その弱そうな少年が?」
ヴァンダーはレオンをじっと見つめる。
「……リーと同じ目をしているな」
夕方。
アルファの中庭。
レオンは一人、座っていた。
沈む夕日が赤く照らしている。
ララが隣に座る。
「昨日のこと、気にしてるの?」
彼は目を逸らす。
「違うよ……ただ」
言葉が続かない。
そこへ三人の男が現れる。
先頭の男が笑う。
「仲の良いことだな」
ララが立ち上がる。
「ダリアム……帰って」
空気が一変する。
静寂と緊張が場を満たした。
レオンは拳を握る。
大会が始まる。
そして、彼の心の中にも――
新しい炎が灯り始めていた。
第22話 終わり
後書き:
第22話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
いよいよ大会編が始まります。
それぞれのキャラクターの成長、関係性、そして隠された力が少しずつ明らかになっていきます。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しめるように、
作者ページにて追加コンテンツを公開しています:
・世界観音楽(テーマ曲/挿入歌)
・外伝ワンショット(短編ストーリー)
・キャラクタープロフィール(設定資料)
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