禁じられたDNA
この物語は、宇宙の戦いの物語ではない。
本当の戦場は、星々の間ではなく、人の心の中にある。
世界は光と闇に分かれているように見える。
だが、誰の心の中にも、その両方が存在している。
レオンという少年は、自分でも知らない力をその身に宿していた。
それは創造と破壊、希望と絶望に繋がる力だった。
彼は望んで選ばれたわけではない。
しかし、選ばれてしまった。
これは、戦争の物語ではない。
これは「選択」の物語だ。
憎しみを選ぶか、赦しを選ぶか。
力を選ぶか、愛を選ぶか。
そして――
一人の少年が、世界ではなく「心」を救おうとする物語である。
第4話 ― 禁じられたDNA
(Dai 4-wa — Kinjirareta DNA)
闘技場の中心に空いた巨大な穴は、砂と岩に飲み込まれるようにゆっくりと閉じていった。
空気にはまだ熱気と砂埃が残り、観客のざわめきが不安げに響いている。
次の瞬間、玉座の上から一つの影が跳躍した。
地面が大きく揺れ、着地したのはクリザーディアンの王――アリスだった。
彼は怒りに燃える赤い瞳で主催者の首を掴み上げる。
「き、貴様……!」
主催者は震えながら言葉を絞り出す。
「わ、私の責任ではありません!ですが必ず埋め合わせを――もっと強い戦士を連れてきます!あなたの娯楽に相応しい者を!」
その時、冷たい気配が背後から近づいた。
アリスの息子、イリスだった。
彼は落ち着いた表情で父に告げる。
「父上、離してください。犯人の見当はついています。」
主催者の目をじっと見据える。
「……おそらく、あなたの“私生児”ですよ。」
主催者は青ざめる。
「に、逃げた中に強い者はいたか?」
「は、はい……黒い獣に変身した少年がいました。クリザーディアンの力に似ていました。リー様も何度もここに現れ、戦士を買おうとしていました……」
イリスは王に向き直る。
「宴を終わらせる必要はありません。別の戦士を送らせましょう。あの“出来損ない”に時間を割く価値はありません。」
アリスは地面を見つめながら呟いた。
「……リー。いずれ必ず見つけ出す。お前も……お前の母もな。」
その頃、Xプリアン組織の医療室。
白い光に包まれた無機質な空間で、レオンと救出された戦士たちはベッドに横たわっていた。
機械の電子音が静かに響いている。
ララが軽い足取りで入ってくる。
「今日は大活躍だったみたいね。こんなに一度に連れてくるなんて。」
リーは短く答えた。
「仕方なかった。一人、検査してほしい。」
リウに向かって言う。
「九人は新兵の部屋へ連れて行ってくれ。」
戦士の一人がリーに近づき、感謝を伝える。
「ありがとう……あなた、アリス王の私生児なんだろ?反乱軍を作ってるって聞いた。」
リウは慌てて遮った。
「さあ、行くぞ!」
彼らは笑いながら去っていく。
レオンだけが残り、静かに周囲を見ていた。
医療室で、ララはレオンの診察を始めた。
「名前は?」
「……レオン。」
「種族は?」
レオンは少し迷う。
「地球……という惑星から来た。」
ララは首を傾げる。
「聞いたことないわ。きっと遠い場所ね。兄はどこであなたを見つけたの?」
「闘技場だと思う。」
ララは微笑む。
「兄が連れてきたなら、あなたは特別ね。」
レオンは真剣な表情で言う。
「……本当に特別かもしれない。」
ララは冗談めかして笑った。
「真面目すぎ。兄みたいにならないでよ?」
その時、背後から声がした。
「ララ、出てくれ。」
リーだった。
「はーい、堅物お兄様。」
彼女はレオンに笑いかけて部屋を出ていった。
ドアが閉まり、空気が重くなる。
リーが尋ねた。
「出身はどこだ?」
「……地球。」
レオンは、イエスの言葉を思い出していた。
“あなたを助ける者が現れる。彼は知らずに私のために働いている。”
その時、扉が開いた。
「リー!至急来て!」
ララだった。
会議室にはララ、母ローラ、そして組織長がいた。
ララが告げる。
「リー、規則違反よ。あなたはクリザーディアンを連れてきた。」
リーは反論する。
「違う。彼は普通じゃない。」
ララは画面を操作した。
DNA解析結果が表示される。
「この少年のDNAには……五つの元素すべてが存在している。」
部屋が静まり返る。
ララは小さく呟いた。
「カイロス神の……転生かもしれない。」
リーの顔色が変わる。
「……予言。」
ローラは険しい顔で言った。
「危険すぎる。この件は議会に知られてはならない。ここには置けない。」
リーは、かつてヴィデウの預言者に言われた言葉を思い出した。
――「特別な少年が現れる。彼の使命はお前よりも大きい。創造主は再び姿を現す。」
リーは何も言わず、新兵室へ向かった。
中では九人の戦士が談笑している。
レオンは黙って彼らを見ていた。
リーは心の中で決める。
(……当分の間、議会には知らせない。)
彼は静かに背を向け、廊下の奥へ歩き去った。
その頃、検査画面の中でレオンのDNAが光を放つ。
古代クリザーディアンの紋章が浮かび上がっていた。
物語は続く。
はじめまして。作者です。
私は子供の頃から、物語やアニメが大好きでした。
いつか自分の物語を作りたいと願っていましたが、絵を描く才能はありませんでした。
それでも夢を諦めたくありませんでした。
だから私は、別の方法でこの物語を形にし始めました。
この作品は、ただのバトル作品ではありません。
信仰、恐れ、孤独、そして希望についての物語です。
レオンは完璧な主人公ではありません。
弱く、迷い、恐れます。
ですが、それでも前に進もうとします。
もしこの物語が、あなたの心に少しでも何かを残すことができたなら、
それだけで私はとても嬉しいです。
読んでくださり、本当にありがとうございます。




