逆転の火蓋
第28話をお読みいただきありがとうございます。
ついにリーが総局長に就任し、ララの結婚も阻止されました。
希望が見えたのも束の間、闇で蠢くダリアムとカイロスの影……。
急展開を迎える物語を、どうぞお楽しみください!
第28話:逆転の火蓋
組織のメインホールには、重苦しい沈黙が満ちていた。誰もが息を潜め、沈黙を破ることを恐れている。玉座に鎮座するロード・ヴァロンの瞳は、鋭い刃のように居並ぶ者たちを射抜いていた。
その傍らには、毅然と立つリー。そして足元に視線を落とすララの姿がある。
「決まりだ」
ヴァロンの重厚な声がホールに響き渡る。「本日より、リーが新たな総局長となる」
その瞬間、前総局長ドリアの顔が屈辱に歪み、握りしめた拳から骨の鳴る音が響いた。だが、ヴァロンの宣告は止まらない。
「そして、明確にしておく……ララとダリアムの婚姻は、これを禁ずる」
場内に衝撃が走り、影の中でざわめきが広がった。ヴァロンは重いマントを翻しながら立ち上がる。
「私の命に背く者は、何人たりとも反逆者と見なす」
希望の灯火
訓練エリアの冷たい廊下に、リーの足音が響く。
広大な訓練室の中央では、レオンが肩を落とし、荒い呼吸を繰り返していた。彼の脳裏には、いまだにカイロスの囁きや、闇から伸びる無数の手の悪夢がこびりついている。
「レオン……」
リーの声に、レオンは力なく顔を上げた。
「ララとダリアムの結婚はなくなった。ロード・ヴァロンが禁じたんだ」
一瞬、時間が止まった。レオンは何度も瞬きをし、脳がその言葉を理解するのを待っているようだった。
「……もう一度、言ってくれ」
「本当だ」リーは口角をわずかに上げた。「終わったんだ」
その瞬間、レオンの瞳から疲弊が消え、猛烈な意志の光が宿った。彼はゆっくりと立ち上がり、地を強く踏みしめた。
「……そうか。なら、ここからは本当の特訓だ」
解放された力
そこからの特訓は、これまでのものとは別次元だった。
拳と拳がぶつかり合う衝撃音が、訓練室の壁を震わせる。レオンの動きには、魂を取り戻したかのような躍動感があった。彼の体からは、時折激しいエネルギーの火花が散る。
腕を組み、その様子を見守るリーは心の中で呟いた。
(この少年……守るべき理由を見つけた時の強さは、誰にも止められないな)
入り口の影からその光景を見ていたララは、誰にも気づかれぬよう小さく微笑むと、静かにその場を後にした。
忍び寄る邪悪
日没後。西棟の湿った薄暗い廊下を、ダリアムが重い足取りで歩いていた。その背中からは、どす黒い憎悪が溢れ出している。
「勝ったつもりでいるのか……」
ダリアムが呟いた瞬間、彼の影が不自然に歪み、巨大なカイロスのシルエットが浮かび上がった。歪んだ影は、まるで生きているかのように不気味な囁きを繰り返す。
「レオンめ……受けた屈辱のすべてを、必ず償わせてやる……」
点滅する照明。闇の中から響く、人間のものではない異様な呼吸音。
本当の戦いは、まだ始まったばかりだった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ついにレオンに笑顔(と闘志)が戻りました!
しかし、追い詰められたダリアムが何を仕掛けてくるのか……。
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