アンジョ・ネグロ — 第五季 第200話「戦うと決めた者たち」
人は選ぶ。
戦うか。
逃げるか。
目を背けるか。
だが――
本当に大切なのは、
「何のために戦うのか」だ。
K11の森は、完全な闇に包まれていた。
光が消えている。
いや――
飲み込まれている。
エージェントたちのライトは機能しているはずなのに、その光は数メートル先すら照らせない。まるで闇そのものが意思を持っているかのようだった。
ざわめきが広がる。
「何だこれは……!」
「視界が効かない!」
混乱。
恐怖。
その時。
静かな声が響いた。
「落ち着けよ」
間。
「ただの影だ」
闇が動く。
流れるように。
そして、その中から一人の少女が現れる。
ジラ。
彼女の瞳は、紫の月光のように輝いていた。
周囲には濃密な影のエネルギーが渦巻いている。
「ちょっと遅れちゃったかな」
彼女は軽く笑った。
その直後。
地面に衝撃が走る。
THUD
重い着地音。
ナンドが現れる。
首を鳴らしながら周囲を見渡す。
「……すげぇ人数だな」
軽く肩を回す。
「でもまぁ、問題ないか」
レオンが小さく笑う。
「遅いぞ」
ナンドは笑い返す。
「ヒーローは遅れて来るもんだろ?」
――――――――――
包囲は崩れていない。
だが――
空気が変わった。
ナンドが周囲を見渡す。
「で?」
腕を組む。
「誰か説明してくれよ」
「なんで組織が内戦してんだ?」
ララが即答する。
「兵器よ」
その声は重い。
「Xprianが作った」
一歩前に出る。
「クライザドを消すための兵器」
静寂。
「惑星ごと」
ナンドの目が見開かれる。
「……は?」
ジラの表情も変わる。
「それで……裏切り者扱い?」
レオンが頷く。
「俺たちは止める」
母艦を指す。
「あの中から始める」
沈黙。
ナンドはゆっくりと周囲を見る。
武器を構える仲間たち。
震える者。
怒る者。
迷う者。
そして――
口を開いた。
「クライザディアンと戦うのは構わない」
数人が反応する。
だが彼は続ける。
「戦争だからな」
「倒さなきゃいけない時もある」
一呼吸。
「でもな」
その声が変わる。
「数十億を殺すのは戦争じゃない」
静寂。
「ただの虐殺だ」
空気が止まる。
ナンドはレオンを見る。
「お前らが止めるんだろ?」
一歩踏み出す。
「なら――」
拳を握る。
「俺たちが道を作る」
ジラが微笑む。
「やっと本気出せるね」
――――――――――
戦闘開始。
一瞬だった。
「撃てぇ!!」
無数のエネルギー弾が放たれる。
森が爆発に包まれる。
だが――
ジラが手を上げる。
影が広がる。
地面から、空間から、無数の分身が現れる。
「どれが本物だ!?」
混乱。
一人のエージェントが攻撃する。
だが、すり抜ける。
次の瞬間、背後から衝撃。
BOOOOM
闇の波が爆発する。
数人が吹き飛ぶ。
同時に――
ナンドが突っ込む。
速度が異常。
一瞬で敵陣中央へ。
拳を叩きつける。
CRASH
衝撃波が広がる。
敵が宙を舞う。
炎が放たれる。
だがナンドは止まらない。
炎がすり抜ける。
「効かねぇよ」
消える。
次の瞬間、背後。
一撃。
敵が吹き飛ぶ。
さらに複数の剣が襲う。
ナンドは正面から突っ込む。
連撃。
破壊。
圧倒的。
一方、ジラは空を見上げる。
両手を広げる。
雲の隙間から、月光が差し込む。
その光が――闇に変わる。
巨大な黒槍が形成される。
そして――
降り注ぐ。
CRASH
CRASH
CRASH
戦場が崩壊する。
エージェントたちが後退する。
――――――――――
レオンがララを見る。
「今だ」
ララが頷く。
二人は走る。
ナンドの声が響く。
「早く行け!!」
敵を掴み、投げ飛ばす。
「ここは任せろ!」
ジラが巨大な影の壁を展開する。
「時間はあまりないよ!」
闇が道を遮断する。
――――――――――
走りながら、レオンは振り返る。
戦う仲間たち。
数に押されながらも、立ち続ける姿。
拳を握る。
「終わらせる」
ララが横で答える。
「この戦いを」
森が終わる。
その先にあるもの。
巨大な金属構造。
組織の母艦。
警報。
赤い光。
無数の兵士。
レオンは立ち止まる。
瞳が黄金に変わる。
五つの元素が彼を囲む。
炎。
風。
水。
雷。
土。
ララが隣に立つ。
「準備は?」
レオンは前を見る。
「行くぞ」
カメラがゆっくり上昇する。
戦場。
巨大母艦。
月。
そして――
突入しようとする二人。
戦いは、次の段階へ。
――続く。
正義は言葉で決まらない。
選択で決まる。
そして今――
彼らは選んだ。
次回、ついに侵入開始。




