エピソード192「信念」
正しさとは、何だろうか。
守るために戦うのか。
勝つために壊すのか。
選択はいつも、簡単ではない。
その一つ一つが、
未来を変えていく。
そして今――
彼らは、それぞれの「答え」に向き合う。
シーン1 — 航行
宇宙を滑るように、船は静かに進んでいた。
コックピットの中。
ナンドは副操縦席に座り、興味津々にパネルをいじっている。
「いや〜…何回乗っても慣れねぇな、これ」
彼は苦笑しながら言った。
「全部高そうで、触るのちょっと怖いわ」
操縦しているのはレニ。
その表情は真剣だった。
どこか、考え込んでいるようでもある。
しばらく沈黙が続いた後、レニが口を開いた。
「ナンド…」
「勝利の“代償”って考えたことあるか?」
ナンドは首をかしげる。
「代償?」
レニは視線を前に向けたまま続ける。
「戦争で…敵を一度で全滅できるとしたら」
一瞬、間が空く。
「その代わりに、何十億の命が消えるとしても…やるか?」
コックピットに静寂が落ちる。
ナンドはゆっくりとレニを見る。
「何十億って…」
口笛を吹く。
「スケールでかすぎだろ」
少し考える。
「……いや」
短く答えた。
レニが目を向ける。
「なんでだ?」
ナンドは軽く笑った。
「それ、勝ちじゃねぇよ」
椅子に体を預ける。
「ただの大量殺戮だろ」
彼は指を立てる。
「レオンがよく言うんだよ」
「“本当の勝利は、人を壊すことじゃない”って」
少し照れくさそうに笑う。
「一歩ずつでもさ、ちゃんと前に進む方がいい」
「時間かかるけどな」
沈黙。
レニは窓の外、星々を見つめる。
その言葉が、心の中で反響していた。
だが――
別の記憶が浮かぶ。
燃える空。
崩れる都市。
黒炎の民――
彼の種族。
スピルリの支配を拒み、滅ぼされた過去。
「……」
ナンドの声が戻す。
「おい、どうした?」
レニは静かに答える。
「少し考えてただけだ」
前を向く。
「世の中には…選べない奴もいる」
ナンドはすぐに言う。
「いや、ある」
「選択はいつだってある」
レニは何も言わなかった。
だが――
彼の中の答えは、すでに決まっていた。
シーン2 — 護衛任務
別の星系。
青い空の下、穏やかな惑星が広がっている。
宮殿の廊下を、レオン、ララ、ジラが歩いていた。
ララがため息をつく。
「お母さん、ちょっと大げさすぎるよねこの任務」
レオンが笑う。
「ただの護衛だろ?」
ジラは腕を組む。
「ここ最近の戦いに比べたら…休暇みたいなもんね」
扉が開く。
女王が護衛に囲まれて入ってきた。
鋭い視線が三人を見据える。
「あなた達が護衛?」
レオンが前に出る。
「はい」
女王は少し眉をひそめる。
「…随分若いのね」
ジラが軽く笑う。
「若い?」
レオンを指差す。
「この人、一人で軍隊壊したことあるけど?」
「おい、ジラ…」
レオンが苦笑する。
女王は驚いた表情になる。
「本当なの?」
ララが肩をすくめる。
「長い話になります」
護衛の隊列が街へと進む。
すると――
物陰から数人の襲撃者が飛び出す。
「止まれ!!」
武器は粗末。
動きもバラバラ。
レオンがため息をつく。
「…マジか」
ジラが指を鳴らす。
「私、右行くね」
ララが一歩前に出る。
次の瞬間。
ドンッ
バキッ
ガシャッ
数秒。
それだけだった。
襲撃者たちは全員地面に倒れていた。
女王は言葉を失う。
「……もう終わったの?」
ララが振り返る。
「軽かったですね」
ジラが笑う。
「運が悪かったね、あの人たち」
レオンが肩をすくめる。
「まあ、被害なくてよかった」
シーン3 — 予感
基地。
リウは一人、座っていた。
静かに。
考え込むように。
ジュンが隣に座る。
「今日、変だよ?」
リウは息を吐く。
「少しな」
「何を考えてるの?」
沈黙。
リウは空を見上げる。
「未来だ」
ジュンが不安そうに見る。
「悪い予感?」
リウはすぐには答えない。
ただ、静かに言う。
「……わからない」
ジュンは微笑む。
「じゃあ、一緒に確かめよう」
リウは小さく頷いた。
カメラがゆっくりと引いていく。
その頃――
遠く離れた宇宙のどこかで。
オーディンの計画は、確実に進行していた。
静かに。
確実に。
破滅へと。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
今回はそれぞれの「信念」に焦点を当てた回でした。
同じ戦いの中でも、選ぶ道は人によって違います。
そしてその違いが――
やがて大きな衝突へと繋がっていきます。
次回から、物語はさらに緊張感を増していきます。
ぜひ引き続き応援よろしくお願いします!
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