第百八十七話『ガマリエルの堕落』
どれほど強大な存在であっても、
真実の前では――崩れ落ちる。
そしてその後に残るのは、
裁きか、あるいは赦しか。
崩壊した神殿。
空気にはまだ熱が残っていた。
瓦礫の中。
レオンは立っていた。
その姿は揺れている。
だが、目はまっすぐだった。
ガマリエルが前にいる。
翼は裂け、呼吸は乱れている。
それでも――立っていた。
「……終わりだ」
レオンが踏み込む。
剣を振る。
ガマリエルが杖を構える。
だが――遅い。
斬撃が届く。
光が弾ける。
衝撃。
すべてが白に染まる。
――静寂。
瓦礫が落ちる音。
レオンの体が崩れる。
膝をつく。
呼吸が荒い。
その体は、人の姿へ戻っていた。
「……はぁ……」
倒れる。
だが、その顔には――笑み。
ララが駆け寄る。
抱きしめる。
「レオン……!」
涙が溢れる。
「終わった……!」
ナンドとジラが近づく。
レニは少し離れて見ている。
静かに。
だが――確かな敬意を込めて。
一方。
ガマリエル。
地に伏していた。
翼は破れ。
動けない。
「……認めぬ……」
声が震える。
「私は……神だ……!」
その瞬間。
空気が変わる。
周囲のエテルノたちが、ゆっくりと膝をつく。
そして。
声を上げる。
「赦しを……!」
一人。
また一人。
やがて――全員。
「どうか……お赦しください……!」
その声は震えていた。
後悔。
涙。
真実。
別の次元。
静かな場所。
イエスがそれを見ている。
ヴァンダーが呟く。
「……これが」
イエスは微笑む。
「父の御業だ」
その瞬間。
空が開く。
光が降りる。
無数の存在。
黄金の輝き。
静かに舞う。
まるで祈りに応えるように。
ナンドが息を呑む。
「……すげぇ……」
ジラの目が揺れる。
レニも言葉を失う。
その光の中で。
地面が裂ける。
深い闇。
そこから――鎖が現れる。
巨大な鎖。
ガマリエルを絡め取る。
「やめろ……!」
叫ぶ。
暴れる。
「私は神だ!!」
鎖が締まる。
引きずり込む。
「誰も……!」
声が消える。
闇に飲まれる。
完全に。
地面が閉じる。
――静寂。
すべてが終わる。
光が残る。
優しい光。
温かい空気。
エテルノたちは泣いている。
だが――それは絶望ではない。
安堵。
希望。
ララがレオンを支える。
ナンドが笑う。
「……最高だな」
深く息を吐く。
「こんな仲間に出会えるなんてよ」
レニが小さく言う。
「……悪くねぇ」
ジラは静かに空を見る。
その目に、迷いはなかった。
やがて。
エテルノの長が近づく。
頭を下げる。
「……感謝する」
声は低い。
だが、確かだった。
「我らは……やり直す」
レオンは立ち上がる。
ふらつきながらも。
頷く。
その時。
空が歪む。
遠くに――黒い渦。
ナンドが顔をしかめる。
「おい……またかよ」
長が言う。
「急げ」
真剣な声。
「二分だ」
振り返る。
そこには――
新しい船。
美しく、強い光を放つ。
「受け取ってくれ」
レオンが見つめる。
そして、頷く。
「……行くぞ」
全員が乗り込む。
ララ。
レニ。
ナンド。
ジラ。
そして――レオン。
船が浮く。
加速。
闇へ。
突っ込む。
光と闇が交差する。
――消える。
その後ろで。
エテルノたちが見ている。
涙を流しながら。
希望を胸に。
ナンドの声が響く。
「家族だな」
レオンは何も言わない。
ただ、前を見る。
その先に。
まだ終わらない戦いがあると知っているから。
第百八十七話を読んでいただき、ありがとうございます。
ついにガマリエルとの戦いが決着を迎えました。
力ではなく、信仰と意志、そして絆が勝利を導いた戦いです。
エテルノたちは赦しを受け、新たな道へと進み始めました。
しかし、物語はまだ終わりません。
新たな舞台、新たな脅威がすぐそこまで迫っています。
次章へ――。




