「混沌の呼び声
この物語を読んでくださり、ありがとうございます。
第10話では、レオンとカイロスの関係が大きく動き始めます。
力は祝福にもなり、同時に呪いにもなります。
自分の中にあるものが何なのか――それを知ることが、彼にとって最初の試練になります。
ここから物語は、外の戦いだけではなく、心の戦いへと進んでいきます。
どうか最後まで見守ってください。
第10話「混沌の呼び声」
K11の空は紫色からゆっくりと赤い朝日へと変わっていった。
浮遊する結晶と静かな山々が、異世界の聖域のように光を受けている。
レオンは深く息を吸った。
疲労は残っている。それでも、その目には決意が宿っていた。
リーは腕を組み、彼を見つめる。
「今日は少し違う訓練をする。」
短く間を置く。
「カイロスとの結びつきを深める。
……さもなければ、お前は飲み込まれる。」
レオンは地面に描かれたエネルギーの円の中心に立ち、目を閉じた。
精神を集中させる。
最初は静かだった。
だが次の瞬間――
彼の周囲に現れた金色のオーラが、突如として黒い炎へと変わる。
レオンの瞳が黄色に輝いた。
歯が鋭く伸び、指先は爪へと変形していく。
身体の輪郭が歪み、獣の影が浮かび上がった。
「やめろ……!」
レオンは叫ぶ。
「こんなの……望んでない!!」
リーが走る。
「レオン! 抑えろ!
お前はそれだけの存在じゃない!」
だが次の瞬間、レオンが襲いかかった。
轟音。
激しい衝撃波が谷を揺らす。
リーは回避するが、岩壁へ叩きつけられた。
血が地面に落ちる。
(自分自身に負けかけている……)
リーは歯を食いしばった。
レオンは膝をつく。
人間と獣の狭間で震え、獣の瞳から涙が落ちていた。
レオンの意識が途切れる。
闇。
再び、あの空間。
何もない黒い世界の中に、ひとつの影が立っていた。
リム。
「抗うな。」
静かな声が響く。
「だが、自分の使命を知らなければ……お前はそれに喰われる。」
レオンは叫ぶ。
「使命って何だ!
どうして俺なんだ!
こんな力、望んでない!」
その時――
背後に巨大な影が現れる。
黄金の瞳。
カイロス。
「お前は器か……それとも再生か。」
空間が震える。
「選べ、レオン。
時は近い。」
レオンは目を覚ました。
周囲は破壊された地形。瓦礫と煙。
汗が流れる。
「リー……」
かすれた声。
「もし俺が……英雄じゃなかったら?
ただの暴走する武器だったら……?」
リーは静かに答える。
「武器でも、人を守れる。」
彼はレオンの肩に手を置いた。
「目的を持てばな。」
レオンは立ち上がる。
目の前には滝。
水しぶきの向こう、彼の影は二つに割れて映っていた。
人間と、獣。
そして物語は、さらに深く混沌へと進んでいく。
第10話・完
第10話を読んでいただき、本当にありがとうございました。
この章では、レオンが「力を持つ意味」に初めて向き合いました。
彼はまだ英雄ではありません。
ですが、英雄とは最初から強い存在ではなく、迷いながらも前へ進み続ける者だと思っています。
これからリーとの関係、そしてカイロスの真実も少しずつ明らかになります。
次の話では、新しい出来事が彼らを待っています。
感想や応援をいただけると、とても励みになります。
また次の話でお会いしましょう!




