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1-物語: 昔々…カラスと魔女?

 むかしむかし、とても遠い国に王様がいて、その王には美しい娘がいました。彼女の美しさは、見た花さえ嫉妬でしおれさせるほどでした。ある日、王女の邪悪な継母が恐ろしい呪いを王女にかけました。王女は呪いのせいで自室に閉じこもり、悲しみに暮れて泣き続けました。すると突然、白い霧のように魔法の妖精のゴッドマザーが現れ、こう告げました。いつか若者が旅立ち、その呪いを解くだろう。なぜなら呪いを解けるのは「真実の愛」だけだからだ、と。そしてその後、二人はいつまでも幸せに暮らすだろう──と。時は流れて、ある日、若い勇者が王女のいる城に近づきました。若き英雄は山を越え、嵐に耐え、数々の危険を乗り越えて城にたどり着き、王女を救おうとします。城に着くと、まず継母に仕えるオーガたちと戦い、彼らを打ち倒しました。さらに進むと、継母は突如として強力な暗黒のドラゴンへと変身していました。戦いは苛烈を極めましたが、英雄は決して諦めませんでした。心の全てを込めてドラゴンと戦い、ついにとどめの一撃を放ってドラゴンを倒し、愛する者を救い出しました。ドラゴンを倒した後、英雄は王女の寝室へ向かい、一つの口づけで呪いを解きました。それから二人は「いつまでも幸せに暮らしました」──物語はそう締めくくられています。

 数年後のことです。


 そう遠くない村では、毎年その英雄の勝利と王女の救出を祝う祭りが開かれていました。村人たちは集まり、大きな祝宴を開き、遊び、音楽、魔法の見世物、そしてたくさんの美味しい食べ物で賑わいます。


 リュウガ:「おい、アキ!こっち来い!」


 アキ:「今行くよ!」


 リュウガ:(説明)身分:村人。幼い頃から物語の英雄のような伝説的な英雄になることを夢見ている。魔力:光。


 アキ:(説明)身分:村人。リュウガの親友。リュウガとは違い、アキには魔力がなく、それが人々の軽蔑を招いている。それでもリュウガは彼を信頼できる友として大切にしている。


 リュウガ:「見ろアキ、あの偉大な英雄の像、すごく飾り付けられてる。ああ、俺もあいつみたいになりたい!」


 アキ:「あ…うん。」


 リュウガ:「さあアキ、恥ずかしがるなよ。」


 アキ:「だって…リュウガ、俺たちはただの村人だ。どうしてただの村人が英雄になれるんだ?」


 リュウガ:「努力すれば何だってできるさ。俺は英雄みたいに勇敢になるまで諦めない。」


 アキ:「あ…うん…そうだね…」


(効果音)


 遠くからトランペットのような音が聞こえてきました。王女を呪いから救ったあの大英雄のパレードがやってきたのです。英雄とその妻は毎年この祭りの開幕に来ていました。


 リュウガ:「アキ、あそこ見て!大英雄と王女だ!そしてあそこにゴッドマザーもいる!」


 アキ:「王女…とても美しいね。」


 リュウガ:「もちろんだ。ブラックモア王国の王女だからな。物語では宇宙で一番美しいと言われてる。誰も彼女の美しさには敵わない。」


 パレードの後、英雄は志望する若者たちに向けて励ましの演説をするのが恒例です。


(作者の注:英雄の伝説的な演説を書く気力が出なかったので、ここは読者の想像に任せます。ただし、とても感動的な内容だったということだけは付け加えます。)


 リュウガ:(感動して)聞いたか、アキ?偉大な英雄の素晴らしい言葉を。ああいう人だから当然だ。


 アキ:「うん…リュウガ…君は必ずあの人みたいになるよ。君は勇敢で賢く、強い魔力を持ってる。俺とは違って、俺は呪われて生まれたんだ。」


 リュウガ:「アキ…そんなこと言うな!アキ、君は素晴らしい人間だ!だからこそお前は俺の親友だ!いや、親友なんてもんじゃない、アキ、お前は俺の魂の兄弟だ!」


 アキ:(少し赤面して)あ、ありがとう…。 (作者の注:勘違いしないでください、アキはただ褒められて照れただけです。)


 リュウガとアキはいつまでも最高の親友です。彼らは幼い頃、王国の学校で出会いました。リュウガは生まれながらにして村の中でも貴族の家系で、早くから注目されていました。一方アキは、母子家庭で魔力がないことから同級生にいじめられていました。


 数年前の回想―― 魔獣の神殿への遠足の場面です。


 生徒1:「リュウガ、あの獣に似てるぞ。」


 リュウガ(子供):「どれ?」


 生徒1:「あの大きなドラゴンだよ。」


 生徒2:「そうだよリュウガ、ドラゴンは強くてかっこいい、君みたいだ。」

 リュウガ(子供):「いい加減にしろよ、恥ずかしくなるだろ。」


 その一方で…


 いじめっ子1:「へへへ、リュウガはドラゴンみたいに強くて堂々としてる。お前は魔力も父親もいないガキだろ。お前の母親は村で一番身分が低いって噂だぜ。」


 いじめっ子2:「ああ、あいつは遊び女で男を誘惑してばかりだってさ。クソみたいな女だよ。」


 アキ(子供):「やめてよ!うちの母さんは魔力がなくても俺のことを大事にしてくれてるんだ!」


 いじめっ子1:「誰があんな庶子、魔力のないクズを愛するってんだ。アキ、俺はお前に似た動物を見つけたぞ。」


 いじめっ子2・3:「何だよ?ドロドロのスライムか?それとも醜いゴブリンか?」


 いじめっ子1:「違う、あそこにいるやつだよ。」(ゴミをついばむカラスを指差す)


 いじめっ子2:「カラスかよ?あれは魔獣でもないだろ。」


 いじめっ子1:「そうだ、カラスは普通の鳥だ。魔力だってないし、作物の害になる害獣だ。アキはカラスだ!」


 皆:「アキはカラスだ!アキはカラスだ!」


 アキは泣きながら崖の端まで歩いていきました。


 アキ(子供):(泣きながら)違う…僕はカラスなんかじゃない。誰にも愛されていないんじゃないか。僕はただの害獣なんじゃないか…。


 そのとき、リュウガがやって来てアキの隣に座りました。


 リュウガ(子供):「やあ、魔力のない子。」


 アキ(子供):「また僕をからかいに来たのか?魔力がないからって。」


 リュウガ(子供):「違うよ、ただ様子を見に来ただけだ。」


 アキ(子供):「嘘だ。みんな僕を笑うんだ。君だってあのやつらと同じように僕をいじめに来たんだろ。」


 リュウガ(子供):「あのやつらのことか?やつらに蹴りを入れてやったんだ。泣きながらお母さんのところに逃げていったよ。」


 アキ(子供):「なんでそんなことを?」


 リュウガ(子供):「人をバカにするのは良くないからだ。弱い者を守るのが英雄ってものだ。俺の夢は伝説の英雄になることだ。」


 アキ(子供):「へえ…」


 リュウガ(子供):「ごめん、夢の話になると熱くなっちゃうんだ。ところで君の名前は?」


 アキ(子供):「アキ…」


 リュウガ(子供):「俺はリュウガ。アキ、君は動物の面倒をよく見てるだろ。野良の動物を大事にしてるのを見ると感心するよ。」


 アキ(子供):「怖くないわけじゃないんだ。ただ…小動物が好きなんだ。特にウサギが。昔、母さんが少ない貯金でウサギを買ってくれたんだ。でも酔っ払いの浮浪者が盗んだ馬車で轢いちゃったんだ。」


 リュウガ(子供):「それは可哀想に。でも、俺もウサギが好きなんだ。家にはたくさんいる。いつか見に来いよ。」


 アキ(子供):「本当に?」


 リュウガ(子供):「本当だよ。アキ、君はカラスみたいだよ。」

 アキ(子供):「わかったよ。君は僕をからかうために“カラス”って言ったんだろ。」


 リュウガ(子供):「からかってるんじゃない。褒めてるんだ。」


 アキ(子供):「褒めるってどういうことだよ。“カラス”って呼ぶのが褒め言葉になるのか?」


 リュウガ(子供):「カラスは世界でもっとも賢くて、勇敢で仲間に忠実な鳥の一つなんだ。」


 アキ(子供):(嬉し泣きして)ありがとう…。


 その時アキは喜びの涙を流しました。今まで誰にもやさしくされたことはなく、初めて褒められたのです。そこから二人の美しい友情が始まり、今も続いています。


 現代に戻って――


 リュウガ:「さあアキ、もっと近くに行って偉大な英雄をよく見よう。」


 アキ:「うん…」


 舞台上で英雄は民衆への感謝を述べます。


 英雄:「皆のおかげで、この王国を魔女どもという脅威から守ることができました。」


 魔女とは、心を持たない邪悪な魔術師のことで、数々の呪いの原因とされます。呪いとはこの世界の“災い”であり、その起源や危険性はよくわかっていません。ただし、魔女に呪われた者の人生は二度と同じではなくなる、ということだけは知られています。


 リュウガ:「うわ…魔女め!絶滅しちまえばいいのに!」


 アキ:「リュウガ、声を潜めて。」


 そのとき、英雄はリュウガに目を留め、彼を舞台に呼び上げました。


 英雄:「若者よ、こっちへ上がれ。」


 リュウガ(驚いて):「え、僕が?」


 英雄:「そうだ、上がってこい。」


 リュウガは胸いっぱいの嬉しさで舞台へ上がりました。


 英雄:「君の名前は?」


 リュウガ:「リュウガ・アインスレインです!大英雄様にお会いできて光栄です!」


 英雄:「会えて嬉しいよ、リュウガ。君はとてもエネルギッシュな若者だね。」


 リュウガ:「いつか、あなたのように素晴らしい英雄になります!」


 英雄:「そうか。それなら君は気高く力を持った者だと感じる。私は自分の剣と理想を継ぐ後継者を探しているんだ。リュウガ、私の弟子にならないか?」


 リュウガ:「本当に!」


 英雄:「本当だ。」


 その言葉にリュウガは大喜びしました。英雄の弟子になることは彼の夢への大きな一歩です。英雄の弟子になれば、若者たちが魔力を磨く大魔法学院“レイカーズフィールド”に入学できるかもしれません。そこは選ばれた者だけが受け入れられる場所です。しかし、それはリュウガが今の生活を捨てることを意味します。


 リュウガ:「それは素晴らしいです、大英雄様。でも…僕の友達アキも一緒に連れて行けますか?」


 英雄:「え?」


 リュウガ:「アキは世界で一番の親友なんです。もし僕が伝説の英雄になるなら、アキにそばにいてほしいんです。」


 英雄:「なるほど、大英雄は偉大な相棒があって初めて成り立つ。では“アキ”と呼ばれるその少年を連れてこい!」


 アキはそれを聞いて緊張で体が震えました。彼は人生で舞台に上がったことがなく、大勢の前に出るのは初めてです。


 アキ:「ぼ、僕…僕はアキ…僕はアキです、大英雄様…」


 おそるおそる舞台に上がり、英雄の前に跪きました。


 英雄:「ふむ、君がアキか。」


 アキ:「は、はい…。僕はアキです…。」


 英雄:「なるほど…。しかし、リュウガの横にいる魔力のない“クズ”は何をしているんだ?」


 アキ:(沈黙)


 英雄:「君の友は聖なる魔力を持っている。聖なる魔力を持つのは選ばれし者だけだ。お前のような取るに足らない臆病者は、友の大きな可能性をただ遅らせるだけだ。もし本当に友なら、できるだけ遠くに離れろ。わかったか?」


 アキ:「はい…。」


 英雄:「では視界から消えろ。汚らわしい路地に帰れ、ここから出て行け、この役立たずのガキ。」


 英雄の言葉を聞いたアキは泣き出しそうになりながらも、心の奥でそれが正しいと感じていました。自分はリュウガの足手まといなのだと。そうしてアキは家へ帰ることにしました。


 リュウガ:「アキ、英雄は何て言った?」


 アキ:「何も。リュウガ、僕はもう行くよ。幸運を祈ってる。」


 リュウガ:「大英雄様、どういうことですか?」


 英雄:「君の友を君と一緒にレイカーズフィールドに連れていって英雄にするよう勧めたんだが、彼は自分には無理だと言って断ったそうだ。」


 リュウガ:「本当に?すまない、アキはいつもそんな風に自分を卑下してしまうんだ。彼は見かけ以上に能力があるのに。」


 英雄:「気にするな。ところでリュウガ、私の弟子にならないか?」


 リュウガ:「うーん、答える前に考えさせてください。まずアキと話したいんです。彼は悲しそうでしたから。」


 英雄:「心配するな。私の魔法の連絡先を渡そう。答えが出たら連絡してくれ。」


 リュウガ:「わかった!」


 リュウガがアキを追いかけると、ゴッドマザーが英雄に近づいて囁きました。


 ゴッドマザー:「あの子、本当に素質があると思う?」


 英雄:「お前は観客を微笑ませていればいい。お前はゴッドマザーで、私は王女を継母から救った英雄だ。」


 ゴッドマザー:「ふふっ…まあいいけど、もしことがまずく運んだらどうなるか覚えておいてね。」


 英雄:「心配するな、すべてうまくいく。だってこれこそ“いつまでも幸せに暮らしました”の物語なんだから。」


 やがてアキは自宅へ戻りました。


 アキ:「ただいま。」


 家の中は閑散としていて、テーブルには一枚の紙が置いてありました。


「遅くなる。仕事が山積みだ。夕飯は倉庫にあるから温めてね。—母より」


 アキ:「いつもこんな感じだよな…」


 アキは一人でした。母は働きづめで彼らを養っていましたが、金はいつも不足していました。アキには兄弟も父もおらず、父が誰なのか誰も知りません。母は謎めいた孤独な女性と見られ、ある日突然妊娠したことで村人の噂の的になりました。生まれたとき、魔力のない子を母が捨てるだろうと噂されましたが、彼女はそんなことはせず、愛情深くアキを育てました。それでも人々はアキをいじめ、彼らをさげすんだのです。アキは英雄の言葉を思い返しました。


「聖なる魔力を持つ友のそばにいるようなゴミは何の価値もない」 「お前のような役立たずは友の可能性を遅らせるだけだ。もし本当に友なら遠くへ行け。」


 アキ:「英雄の言う通りだ。僕はリュウガのじゃまなんだ。」


 そのとき一羽のカラスが窓に止まりました。


 カラス:(カーカー)


「カラスは世界で最も勇敢で賢い鳥の一つだ。」


 アキ:「僕も君みたいになりたいな。小さな問題を解決できるし、仲間が危ないときは襲ってくる相手に立ち向かう。ほとんど何も怖がらない。僕は何もかも怖くて、みんなに馬鹿にされる。リュウガはいつも僕を助けに来てくれる。(泣きながら)僕はただの厄介者で、価値のない人間なんだ。」


 リュウガ:「アキ、そんなこと言うな!」


 アキ:「リュウガ?」


 リュウガは突然現れて、アキの言葉を聞いていました。彼は開いていた別の窓から忍び込んでいました。


 リュウガ:「アキ、君は素晴らしい人だ。優しくて、トラブルに巻き込まれず、誠実で忠実だ。だからこそ俺の親友なんだ!」


 アキはリュウガの言葉に励まされ、気持ちが楽になりました。


 アキ:「ありがとう、リュウガ。」


 すると突然、魔女警報の鐘が鳴り始めました。どうやら村に魔女が現れたようです。


 村人たち:「助けて!助けて!」


 魔女:「プアハハ、人間ども、苦しめ!」


 火属性の魔女:「ディスコ・インフェルノ!」


 リュウガは勇敢に村へ駆けつけ、住民を避難させる手伝いを始め、アキも彼に付き添いました。


 リュウガ:「行こう、アキ。村の人を助けよう。」


 アキ:「あ…うん。」(リュウガが助けを求めるのは分かるが、僕は臆病だ。僕らは全く違う。彼はいつも人を助ける。本当に英雄が彼を弟子にしたくなるのも納得だ。僕だったら物語の冒頭で死ぬ友役かもしれない。もし僕が主人公でも、結末はきっと悲劇だ。)


 二人が村に着くと、リュウガは伝説の英雄が魔女と戦う姿を見つけました。

 リュウガ:「見ろアキ!伝説の英雄だ、すごい!」


 アキ:「え、うん。」(すごいよ。彼は全力で戦ってる。王女も彼を支えている。リュウガと同じように強い魔力を持ってるんだろう。もし僕にもそんな力があれば、仲間を守れるかも。)


 英雄は戦場の中でリュウガに気づき、彼に頼みます。


 英雄:「おお、リュウガ!会えて嬉しい。ちょっと手伝ってくれ。あの路地で避難が必要な人がいるんだ。助けてやってくれ。」


 リュウガ:「もちろんだ!行くぞ、アキ!」


 アキ:「うん…」


 リュウガが人々の避難を手伝いに走り出すと、英雄はアキに近づき、耳元で囁きました。


 英雄:「言っただろう。魔力のない役立たずはリュウガの道を邪魔するだけだ。あいつから離れろ。お前はここから逃げて二度と戻ってくるな。リュウガにはお前が泣きながら逃げ出したとでも言っておこう。」


 アキは英雄の言葉に打ちひしがれ、家へ帰るために人目を避ける近道を取りました。彼は自分に言い聞かせます。


「カラスのように勇敢なら、リュウガの後を追って英雄の言葉なんて気にしないだろう。でも僕はそんな勇気はないんだ。」


 そのとき、近くで物音がして、好奇心から見に行くと、そこには幼い見た目の少女が倒れていました。紫の髪、アメジストとサファイアが混ざったような瞳、魅力的な姿。アキは直感で彼女が魔女であると気付き、慌てます。


 アキ:「まさか…彼女は魔女だ。何かされる前に逃げなきゃ!」


 しかしその少女から血のような赤い液が流れていました。


 アキ:「彼女、出血してる!負傷してるのか?違う!お母さんが言ってた、女の人は月に一度血が出ることがあるって。きっとそれだ。よし、逃げよう。」


 彼は一度逃げようとしたものの、やがて勇気を振り絞り、着ている服の一部を裂いて少女の傷を包み、背中に担いで自分の家まで連れて帰り、手持ちのもので手当てをしました。しばらくして少女は意識を取り戻します。


 アキ:「大丈夫ですか?」


 するとその少女は突然、蔓の魔法でアキを締め上げ、問い詰めます。


 魔女:「お前は誰だ?何をした?」


 息が詰まりそうになりながらも、アキは事情を説明しました。


 アキ:「怪我をしているのを見つけて治療しに連れてきたんです!母さんが常備してる救急キットを使って治しました!」


 魔女はアキを放し、平然と礼を言いました。


 魔女:「…ありがとう。」


 アキ:「え?」


 魔女:「すまないが、私は行くよ。あの男に見つかったら、君に危害を加えるかもしれない。」


 アキ:「あの男?」


 家の外で物音がし、あの村を襲っている魔女が現れました。


 火の魔女:「ローズの魔女、そこだろ?逃げ切れると思ったか?英雄を振り切るのは大変だったが、やっと見つけた。」


 アキは混乱しました。同じ魔女同士なのに敵対しているのです。


 ローズの魔女:「ここは私の場所よ。あなたに見つかったくない。」


 アキ:「でも、ここは僕の家なんだけど…」


 ローズの魔女:「どこへでも行けばいい。ええと…デンマークとか。」


 アキ:「この話にデンマークなんて出てこないよ!」


 ローズの魔女:「じゃあK**** H*****に行けばいい。」


 アキ:「お前は本当に変わってるな!」


 ローズの魔女:「どこに行こうと構わない。ここであの女に見つかって傷つけられるのは嫌なの。あなたは命を救ってくれた。お礼がしたいの。」


 彼女はアキが手当てした箇所に触れました。


 アキ:「待って、まだ傷が癒えてない。行けば死ぬかもしれないよ。」


 ローズの魔女:「構わない。あの女が私を殺したところで彼女に利益はない。」


 ローズの魔女は家を出て、もう一人の魔女と戦い始めました。


 火の魔女:「やっと出てきたな、ローズの魔女。」


 ローズの魔女:「何が目的なの?」


 火の魔女:「お前を捕まえるよう命じられていた。必要なら力づくでも連れて行けと。」


 ローズの魔女:「なら殺して連れていけばいいじゃない。何を臆しているの?」


 火の魔女:「残念ながら、生かして連れて行けと言われている。そうでなければここを焼き尽くすところだ。」


 ローズの魔女:「お願いよ、ディスコ。あなたはいつも燃やして解決しようとするんだから、恥ずかしい。」


 火の魔女:「くそっ!何を言うんだ!命じられたのは生かして連れて行くことだ!良い状態で連れて行けとは言われていない!」


 そこから魔女同士の戦いが始まりました。火の魔女は炎の術を放ち、ローズの魔女はそれを受け止め反撃します。力の差は明白で、回復途中のローズの魔女は徐々に追い詰められていきます。ディスコ(火の魔女)は隙をついて有利に立ち、何度かの攻撃でローズの魔女を追い詰めました。


 火の魔女ディスコ:「ほら、弱ってきたな。これで終わりにする。」

 ディスコは奇妙な剣を取り出し、ローズの魔女を突き刺そうとしました。すると突然、家から飛び出したアキがローズの魔女をかばい、剣は彼の身体に突き刺さってしまいます。


 ディスコ:「このガキは何だ?どうせその犠牲は無駄だ。すぐに死ぬだろう。」


 ローズの魔女:「な、なぜあなたは…!」


 アキは地面に倒れ、死の淵にいました。走馬灯のように人生がよぎり、彼はこう考えます。


「こうして僕は死ぬのか。僕は一度も勇敢になれなかった。もっと力があれば…。リュウガのように魔力があれば、あの魔女を倒せただろう。僕の死は意味がないんだ。あの魔女は生き残る。僕の犠牲は無駄だった。どうしても、ただ一度でいい、勇敢になりたい!」


 そのとき、アキの頭の上に何かが乗っているのを感じました。カラスです。


 アキ:「カラスが僕の上に?死体をついばみに来たのか?カラスってそんなことするのかな…」


 周りを見ると、彼は家の外にいるようでしたが、周囲の空気がどこか変でした。


 アキ:「ここは外か?傷は?胸を刺されたのか?」


 すると、謎めいた人物がアキの前に立ちました。


 アキ:「あの…あなたはシニガミですか?僕は死んだのか…?」


 シニガミ:「見よ…」


 アキ:「え?」


 シニガミ:「見よ…」


 大量のカラスがアキを取り囲み、シニガミはアキの首を掴んで言いました。


 シニガミ:「見て、私を…」


 そして羽の竜巻が起こり、羽がアキの身体にある全ての穴に入り込みました。シニガミは叫びます。


 シニガミ:「見て、私を!」


「一度呪われると…お前の人生はもう同じではない。」


 その瞬間、アキの体は不思議な姿で立ち上がりました。火の魔女とローズの魔女は、目の前で変わった彼の姿に驚愕します。


 ディスコ:「な、何だと!?お前、ガキは死んでいるはずだ!何が起きた!?」


 ローズの魔女:「あの剣…ただの剣ではない。私たち魔女を制圧する器具だ。私たちには麻酔ダーツのようなものだが、人間に刺さると別の作用がある。通常なら刺された人間は即死するはずだ。でも噂で聞いたことがある。死よりも恐ろしい可能性──おそらく一千万分の一、あるいはそれ以下の確率で『呪われる』ことがあると。簡単に言えば…」


「その少年は魔女(魔術師)になってしまった。」


 カラスの魔術師:「アキ。」


「前にも言った通り、もしこれが童話の主人公なら…その物語はおそらく『悲劇』になるだろう。」


 つづく…


 作者の注:感想をください。(物語は再執筆するかもしれません。文章がやや弱いと感じています。)


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