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日本におる外国人二人やで

序章

まず最初に伝えておきたいのは、このアイデアは本当に自然に生まれたってこと。

最初は『キョウトのユメ』を本にしようなんて、まったく考えてなかった。


もともとは、シンプルで楽しいラブコメのマンガにするつもりだったんだ。

でも、5年前からこの話を少しずつ考え始めて、途中で何度もストーリーを変えてきた。

そして2025年になって、なんとなくこのプロジェクトの“非公式な第二版”みたいな形で、また描き始めたんだ。


気づけば、スライス・オブ・ライフ的な要素や、ちょっと深めのテーマも入ってきて。

だったらいっそ、本としてまとめてもいいんじゃないかって思ったわけ。


この作品では、ちょっと深いテーマについて読者と一緒に考えていけたらと思ってる。

でも、最初に思い描いてた「昔ながらのマンガらしさ」もちゃんと残すつもり。

イラストも入れるし、笑えるシーンもある。


ただ、以前より少しだけ落ち着いた語り口で描いていこうかなと思ってるんだ。


挿絵(By みてみん)


日本におる外国人二人どす


4月17日

わくわく感ははっきりしてましたわ — 日本に来てまだ数日しか経ってへんのどす。先生に教室で紹介されたとき、グガが思ってたんとは違う感じやったんどすわ。親しみやすいんでもわくわくするんでもなくて、教室のみんなから疑わしい目で見られてましたわ。

初めての授業の日は、ほとんど学校を歩き回ってただけで、みんなの視線がずっとついてきてましたわ。グガは優しい女の子、美香ちゃんとだけ話してましたわ。

言っときますけど、わては海辺の町の人間どす。地元では、地区と地区をつなぐ橋の上から見る景色が一番好きやったんどす。東には海が見えて、西には川やマングローブ、遠くには山々があって、ほんまにきれいな夕焼けどす。

(場所の参考はブラジルのエスピリトサント州南部にあるイタペミリム川の河口どす。)

ここには海はないけど、琵琶湖の夕焼けはわての故郷に負けへんくらいきれいや。遠いけど、ここがわての家のように感じますわ。地下鉄の路線がたくさんあって、商店もいっぱいあって、人もおしゃれにきちんとしてはります。お金があったら毎日でも通いたい場所がありまして、それが茶屋どす!ほんまに素敵で、すごく落ち着くんどすわ。清世さんちゅう、礼儀正しくて優しいおばあさんとも友だちになりましてな、その店の和菓子は今まで食べた中で一番おいしいんどす。

でも今は2日目の授業で、グガは超わくわくしてますわ!

マテウスの考えは飛んでいってしもて、教室の真ん中でグスタボが話しかけてきてはりましたわ。その時、田中先生が言うたんどす:

「明治維新は、日本にとって大きな転換点やったやろ?さて、明治天皇が正式に即位された年、誰か覚えてるか?」

すぐに一番前の席の女の子が答えはりました。

みんなじっと彼女を見つめてますわ。教室ではすごい存在感があって、次の生徒会長選挙の有力候補どす。

生徒たちはヒソヒソ言うてます:

「彼女、どの科目でも一番成績ええんやで。」

「次の選挙、絶対勝つやろな。」

「ほんま、あの子すごいわぁ。」

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


鈴音はマテウスを一方的にじっと見つめてはります。教室中の人が驚いてざわついていますわ。

「こいつが新しい外国人どす。」

「もう自分のことえらい思てるわ。」

特に、教室の後ろの男子がその答えに怒ってはりましたけど、マテウスは全然気にしてへんのどす。


「マテウス、その答え、どないしてそんなにぴったり出てきたんや?」— グガ。

「もう4月の後半や。先生が昨日このへん読んどくように言うてはったんや」— マテウス。

「いつからそんなに詳しなったんや?それ、もともと俺のキャラやったのに〜」— グガが笑いながら言うた。

「せっかくここまで来たんやし、ちゃんとやろ思てるんどす。ていうか、ここはラブコメのアニメちゃうし。何より歴史の勉強がめっちゃ好きやねん」— マテウスは軽く言うたけど、顔は真剣どした。


グスタボはその言葉にちょっと驚いて、落ち着かへん感じどした。


授業はそのまま進んで、やがて休み時間になりました。


女の子が二人の机に近づいてきて言いました:

「こんにちは!」

「あ、お前か!」— グガ。

「うん、昨日はありがとう」— 美香が感謝の気持ち込めて言うた。


その瞬間、グガの記憶がよみがえりました。昨日、美香のリュックから落ちたキーホルダーを拾って渡そうとしたけど、日本語がぐちゃぐちゃになって、ちょっと変な喋り方になってしもたんどす。


「お前の喋り方、おもろいなあ〜!」— 美香。


マテウスは笑いました。


「ほんで、あんたは外国人ナンバー2やね!」— 美香が冗談ぽく、でも失礼にならんように明るく言うた。


「マテウスと申します。どうぞよろしく、美香さん!」— マテウス。


「えっ、あんた、喋り方、めっちゃ日本人っぽいやん!しかも京都弁やで?ちょっと、千夏!鈴音も来て!」


美香が鈴音を呼んだとき、鈴音はちょうど教室から出ようとしてはりました。


「もうええわ、美香。鈴音は今、忙しいんやろ」— 千夏(美香の友達)。


教室の男子たちがその会話にイライラしだしたようで、三人がグガとマテウス、美香たちの近くに来ました。


その中の一人(さっきマテウスの歴史の答えに怒ってた男子)が言いました:

「マジかよ。なんでそんな人気者が、こんな外国人どもと絡んでんねん?」


「やめとき、泉!」— チカがイライラして言うた。


「おっ、チカちゃんまで?やめとけって〜」— 泉が皮肉っぽく言い、他の男子たちがニヤニヤしてました。


泉がグガの髪を引っぱったその瞬間、マテウスが彼の手首を掴んでギュッと力を込めて睨みながら言いました:

「かかってこいや、このアホ!」(ポルトガル語で)


泉はびっくりして手を放しました。


ちょうどそのとき、先生が戻ってきて授業が再開されました。


「この犬っころが……」— 泉はボソボソ言いながら教室を離れていきました。


日が暮れると、授業が終わります。学校の中庭は桜でいっぱいで、景色はやさしいピンク色どす。


マテウスは窓からその京都の学校の景色を見てため息をついているようどす。


「なあ、マテウス、先生の部屋にこの書類持っていかなあかんさかい、先に行ってくれてええよ」— グガ。


二階の階段を降りると、マテウスは鈴音とばったり出会います。鈴音は冷たく、目を逸らさずに通り過ぎ、マテウスはなぜか気圧されてます。


突然、鈴音が足を止めて言いました:

「うちは失敗せえへんよ。またあんたに負けるわけにはいかへん」


鈴音はそのまま歩き出し、マテウスはなんでそんなに敵意があるのか分からんまま立ち尽くしてます。


「もしかして、うちが一番になろうとして返事した思われたんかな…?」


マテウスは足元に紙が落ちているのに気づきました。


「明治維新の復元、十九章、勉強すること」


それは鈴音のファイルから落ちたんかもしれへんと思い、彼は彼女のあとを追いかけました。

挿絵(By みてみん)

学校を出ると、マテウスは鈴音が眼鏡をかけたスーツ姿の年配の男性と話しているのを見ました。彼らは校舎の出口の近くにおりました。

マテウスは小走りで近づき、声をかけました:

「おーい、鈴音!」

鈴音は驚きました。その声で自分の名前、いや下の名前を呼ばれるのは初めてどした。

「なあ、それ、あんたのやろ?そのメモ…勉強のために書いたんやろ?心配せんといてな、わては競争するつもりはあらしまへん。ただ歴史の科目が好きなだけどす」— 無邪気にマテウスは場を和らげようとしました。


一緒にいた男性はあまりいい顔をせず、眼鏡の奥から真剣な目で彼を見ました。

鈴音は眉をひそめて言いました:

「“鈴音”と下の名前で呼ぶ子は誰や?見たことないわ。この子はうちらとは違う感じやな」— 少し冷たく男性は言いました。


「すみません、お父さん。この子は新入生なんどす」— 鈴音。


「お父さん…?」— マテウスはすぐに敬意のこもった呼び方だと気づきました。彼は敬意を重んじる文化を学んでました。


マテウスはすぐに男性に深くお辞儀をし、挨拶しなかったことを謝りました。


すると、グガと美香がやって来ました。

「ああ、今日はおじさんが鈴音を迎えに来たんやな」— 美香は親しげに言いました。


「美香、お前は宿題しに家に帰らなあかんやろ」— 男性は真面目に言いました。


「ええやん、おじさん、あとでやるさかい、心配せんといてな」— 美香はちょっと照れながら冗談を言いました。


「なんで下向いてんの?」— グガ。


「もうええわ、別にこんな紙持ってこなくてもよかったのに」— 鈴音。


「ほな、行こか、鈴音」— お父さんは車に乗りながら呼びました。


「はい、お父さん。ほな、またね、美香」— 鈴音。


「バイバイ!」— 美香。


車に乗る前に、鈴音は振り返って言いました:

「必要ないなら話しかけんといてな。呼ぶなら“清水塚キョウミズカさん”にしてや」


「わかったわ」— マテウスは状況を理解しました。


「うわ〜、お前何したんや?」— グガ。


美香は気まずそうに笑いました。

「心配せんといてな。あのおじさんは昔気質やけど、ほんまはええ人やねん」


清水塚キョウミズカ…?」— マテウスはつぶやきました。


清水塚キョウミズカの家はな、京都だけやのうて、日本全国でも有名なんや。あの家の寺は三百年以上の歴史があって、この辺で一番大きいんやて。それに鈴音のお父さんはその寺の住職で、日本中にある三つの大きな織物工場の社長でもあるんや。しかも、京みたいな伝統品を作る小さい機織り店が何百軒もグループに入っとるんよ」— 美香。


「え?そんなに金持ちなん?」— グガは驚きました。


「そうやで、めっちゃ金持ち。でも、おじさんは派手なことが嫌いでな、控えめにしとるんや」— 美香。


マテウスはため息をつきました。

「これがほんまの“違う世界”っちゅうやつやな……」


「そうやで、めっちゃ金持ち。でも、おじさんは派手なことが嫌いでな、控えめにしとるんや」— 美香。


マテウスはため息をつきました。

「これがほんまの“違う世界”っちゅうやつやな……」

みなさん、すべてのイラストをアップロードすることはできませんでした。そして最初に言っておきますが、かなり頑張って描いています。でも、何年かぶりに絵を描き始めたので、成長のペースは子供の頃のようにはいきません。それでも、この物語に込めた感情やテーマが読者に伝われば嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします!



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