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第七話「ビートと旋律の共鳴」
ルゥは無口で不器用だけど、音には正直な子だった。
彼女は語らず、叩く。感情を音で伝える。それが彼女の流儀だ。
「ドラムの音、こんなにあたたかいとは思わなかったな」
「リズムは心臓と同じ。止まったら、終わりだ」
短い言葉に、重みがある。
その夜、彼女の演奏で焚き火がゆらいでいた。土音には、守る力がある。だから彼女は、村を音で守っているのだという。
「ルゥ、俺たちと一緒に来てくれ」
「……考えとく。お前のトランペット、悪くなかったしな」
小さく笑ったその横顔に、フィリナが目を丸くしていた。
「笑った……! ルゥが笑ったぞ!」
「やかましい」
どこか姉妹のような二人を見ながら、俺は確信した。
——この旅は、音の出会いの旅だ。