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第五話「風の律者と奏でる誓い」
翌朝、フィリナは俺の隣で草の上に寝転んでいた。
「そなたの音、心に届いた。あれほど美しい即興は初めてじゃ」
「俺は……音楽で生きてきた。たくさん舞台に立って、でも、誰かに届いてる気がしなかった。だけど……昨夜は、違った」
「この世界は音がすべて。そなたの音が、この世界を変える」
その言葉に、俺は決めた。
「フィリナ。俺、ここで生きていくよ。もっと音を知りたいし、奏でたい。そして……この世界を、守りたい」
「ならば、契約を交わそう。わらわは律者として、そなたを守る。そなたの音が響く限り」
彼女が手を差し出す。俺はその手を握った。
「じゃあ、まずは……一緒にセッションしようぜ」
空に、二つの音が溶け合う。
——新たな冒険の、序奏が響いた。