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響け、異世界のラプソディ  作者: ばんばん
第四章《エンディング・フィールド》
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第二十四話「沈黙の狩人」

 《エンディング・フィールド》を歩く時間は、異様に長く感じられた。


 空はずっと同じ鉛色。どれだけ進んでも、風景は変わらず、灰の地面と黒ずんだ岩の影が続くだけだった。


 「……ソラ、この道で合ってるのか?」

 俺が問いかけると、彼女は首を横に振った。


 「“道”なんてものはない。ただ、スコアの気配がかすかに感じられる……そんな気がして、進んでいるだけ」


 それだけが頼りだった。


 歩を進めていくと、岩陰の向こうから小さな“音”がした――ような気がした。


 「……今、何か聞こえなかったか?」

 ルゥが眉をひそめる。


 全員が動きを止めた。

 沈黙が広がり、世界から色さえ奪うようだった。


 ……そのとき。


 「——ッ!!」


 突然、ミーレが飛び込んできて、俺の肩を押し倒す。


 直後、俺たちがいた場所に、黒い影のような“何か”が通り過ぎた。


 空気が震えた。けれど、“音”は出なかった。

 音すら殺すその存在は、まるで空間の断片だった。


 「気をつけて……! あれが、“沈黙の狩人”よ」


 ミーレが呟いた。


 「音じゃない、“気配”を狩る化け物。目も耳も持たず、ただ“違和感”に反応して襲ってくる……!」


 息を呑むことすら、恐ろしくなる。


 音を出すわけにはいかない。けれど、何もせずにいれば、いつかあいつに“気づかれる”。


 この大地に潜む、最初の“試練”が牙を剥いた。


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