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第二十一話「空の旋律と命のビート」
「くそ……!」
俺とソラは協力し、空気の流れに音を乗せて、彼女から距離を取った。
「ルゥの音を取り戻すには、“空の旋律”を完全に鳴らすしかない!」
エコー・シアターの奥にあったのは、風の音を記録した風鈴型スコア。
俺はそれをトランペットに結合し、《アルト・ストーム》を発動。
風圧と圧縮された音がぶつかり、シェルのノイズ結界を破壊した。
「ギィッ……! そんな、風と音の融合なんて……!」
彼女は音に飲まれ、虚空へ消えていく。
その瞬間、ルゥの鼓動が静かに、しかし力強く戻っていった。
「……聞こえる。また、あたしのリズムが、あたしの中で鳴ってる」