20/42
第二十話「クレシェンド・アーク、空を翔ける島」
飛空艇での移動中、雲の切れ間から現れたのは、巨大なハープのような形をした島だった。
「浮いてる……というか、響いてる?」
島は風の音を反射し、空気全体が共鳴している。
その中央には、空に吊るされたホール——エコー・シアターがあり、スコアの断片が保管されているという。
が——
「ようこそ。空の支配者がお待ちかねよ」
空中に現れたのは、無律協会・三女、シェル・ノイズ。
「ルゥちゃん、心臓の代わり、要る? あたしが作った“擬似拍動機”があるから」
「ふざけるな……!」
ルゥが一歩前に出るが、やはりリズムがぶれる。
その隙を突かれ、彼女は一瞬で倒れ込んだ。