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ベテラン巡査長、裏切りのFascination MAXX

作者: ビートたかし(TAKASH)

アタシの名前はミホ。この春に湾岸署ビート二課に配属された新人巡査!

課長から落ちるカミナリはちょっと怖いけど、毎日頑張ってます><


「あ~!今日もいろんな書類を書いてばっかり~~~!早くアタシも現場でわる~い人をタイホしたりみんなに感謝されるようなことがしたいよ~~~泣」

それはいつもの昼下がり。アタシが溜まった書類にジタバタしていると、ベテランの先輩に1つ頼まれたの。(本名は忘れたけどチュンさんってみんな呼んでるよ☆彡)


『ミホちゃん、課長は今外出してるアルね?この封筒を課長に渡してもらえるアルか?』

「はーいチュンさん、わかりました!」

『実はその封筒に入っている書類はネ、課長が追いかけているホシについての機密資料アルよ。だから課長が戻ってきたら直接渡してほしいネ。”””ぜったい”””に中身を見ちゃだめアルヨ?』

「やだな~!もちろんですよ!」

『じゃ、頼むアルヨ』


(そういえば課長ってば、最近難しい顔してだれかとよく電話してたな~)

(絶対見るなって言われてたけど、特に封もされてないし・・・まぁちょっと見るだけなら・・・いいでしょ♡彡)


(なになに・・・ビートー教会・・・ 違法なビート指導で信者を集め、洗脳して多額のお布施を集めている・・・!)

(fmfm、アタシが潜入調査して情報を集めればきっとお手柄になるはず!)


というわけでさっそくビートー教会の勧誘してるっぽい人に話しかけさせて(自慢じゃないけどアタシはナンパにも慣れてるからね♡)さっそく潜入しちゃいました。

(これがビートー教会・・・みんな真剣に”先生”のお話を聞いている・・・)


『長年皆伝で苦しんでいる皆さんを救済するために私は降臨しました』

『冥をクリアするためにはまずは序盤でゲージをしっかり回復させることが大切です。序盤には464545という繰り返しが来ます。464545をしっかり意識して押すようにしましょう。ビーメン。』

「「はい!!」」

『464545!』

「「464545!」」

『464545!』

「「464545!」」

「先生!どうしても冥の前半が出来ません!」

『冥がどうしてもできない?そういうときはこの”癖を無くす魔法の秘薬”をなんと特別に200万円で販売しましょう』

「「欲しいです!」」「「わたしに下さい!!」」「「おれに売ってくれーー!!」」

(アタシはビートマニア?は全然わからないけど、なんだか不気味・・・)


別室で他の人から説明を受けた。

『ようこそこんにちは、きみがミホさんだね?ミホさんはビートはあまりやったことがないかもしれないけど、ビートー教会に入れば絶対に皆伝になれるよ!まずはこの”地力が上がる壺”を買うといい。本当は100万円だけど、入会特典で60万円に値引きしてあげる。もちろんローンが組めるよ、毎月1万円でたったの60回払い!毎日コーヒー1杯を我慢するだけで皆伝になれるんだ、もちろん買うよね?』

「え、、ええ・・・?はぁ・・・」

『じゃあここにサインして!』

(あーどうしよう!このままだと本当にわけわかんない壺を買わされちゃうかも><)

「ちょ、ちょっとアタシ、用事があるので、今日は帰ります!!!すみません!!!」

『あ!ちょっと!どこいくの!』(ガシッ)

「ア、アタシは本当は警察官なんだから!公務執行妨害ですよ!こーむしっこーぼーがい!だれかたすけてー!!」


その時、見慣れた顔のオジサンがやってきた。

『ミホちゃん、警察官は信用が第一。渡された書類を盗み見ちゃだめアルヨ』

「あ!チュンさん!!助けてください!」

『どうして私がここに居るのか分からないアルカ?』

「え・・・?」

『課長に封筒を渡すように頼めばその中をみてここにやって来ると思っていたアル』

「最初から・・・アタシをだますつもりだったのね・・・」

『そして君を人質に”稲妻刑事”をここで討つアル!』

「稲妻・・・刑事・・・?」

『お前には関係のない話アル、暴れると面倒だからこの薬で眠っていてもらうアル』

(こんな罠にひっかかるなんて・・・くやしい・・・)


ミホの意識はフッと途切れた。


(私はもともと華僑系マフィアの出身。素性を隠して警察官として働いていたが、ある日ビート闇金に借金を作ったことをきっかけに弱みを握られ、こうしてビートー教会の片棒を担いでいるアル・・・)

(課長はとっくに私の悪事に気づいているだろう・・・ここでミホを人質にヤツを討てば・・・”あの方”からも高く評価していただけるはずアル・・・!)

(さあ来い・・・”稲妻”・・・!)



「ちょっとー! 私の友達になにしてくれてんの!!!怒」

『!!?? お前は誰アルか!!??』

「私はミホちゃんの友達! 誰だか知らないけどアンタ絶対悪いやつでしょ!!!怒怒怒」

『よ、予定外の邪魔が入ったアル!ここはビートバトルでこの女を黙らせるアル!ここは私のホーム、自選曲なら絶対に負けることはないアル!』


ミホの友達と名乗る女は若く美しい女性である。前髪は姫カットとでも呼ぶべきか、イマドキなぱっつんヘアーだ(キューティクルでトゥルトゥル)。

対するチュンが選んだのはFascination MAXX―――。激しいソフランがプレイヤーを揺さぶる高難易度の一曲だ。


両者ビートイン。


(『最初の低速地帯、、ここにハイスピを合わせればそのあとでギアチェンが必要。一方でここを遅くすれば緑数字4倍もの遅さを克服しなければならないアル・・・』)

(『私が編み出した瞼SUDDENを食らえ!!!』)


チュンはまぶたを細めることで疑似的にSUD+を低い位置に設定し、最初の低速を突破しようというビーテク(ビートテクニック)だ。


「「うおおお!チュンのまぶたSUD+だー!!!」」

オーディエンスから大きな歓声が起こる!


「その程度で差が付けられると思った?」

『なんだと!?』

「私みたいなビューティレディはそんなかっこ悪い技は使えない」

「でも私には姫SUD+があるんだよ♡彡」


対する女は深めに首を傾け上目遣いすることで自らの姫カット(トゥルトゥルぱっつん)を垂らし、文字通りの”壁”を視界に作ってみせたのだ!

もちろん、これは帽子のツバをソフランで使うような不正行為にはあたらない。その理由は以下の3つである。

1.自分の身体を使った行為で他のモノに頼っているわけではないから(まぶたSUD+が許されるのも同じ理屈である)

2.真剣な上目遣いでの打鍵の姿が美しく、これを禁止する必要がないから(むしろ加点要素)

3.何よりもレディの身だしなみについてとやかく言うのは野暮だから


「「うおおお!この女も負けてないぜーーー!!!」」

一層ヒートアップするオーディエンスたち!!!


『くそっ・・・序盤で差が付かないなんて・・・しかしこの後のストップ&ゴー地帯で差をつけるアル!!!』

FAXX前半の重要地帯、一瞬だけ減速するフレーズにさしかかる!

『リバース腰SUDDEN!!!』

チュンは腰を丸め、顔を下方に位置してプレイし、減速するタイミングで起き上がる!そうすることで一瞬だけノーツが減速するタイミングにおいても、目とノーツの間の相対速度が保たれ、速度変化に惑わされることがないのである!

これこそがチュンの編み出した特殊相対性理論!!!


「「うおおおお!!!必殺のリバース腰SUDDENだーーー!!!」」


「その程度の子供だましで、私のビートを破ることなんて、できない」

そういうと女はビーティング中にも関わらず、目をつぶった―――

「「「真・心・眼 ―♡―マシンガン―♡―」」」


目をつぶりながら、しかし確実にピカグレを積み重ねる美しいビーティング。女の全身から放出される溢れんばかりのビーラ(ビート・オーラ)が遠目にもはっきり伝わる。女の美しい姿勢、サラサラの髪、そして打鍵。オーディエンスのリアルグルーヴゲージはMAXXに達したのだ!!!―――



☆★☆BATTLE RESULT☆★☆

Fascination MAXX(Another)


チュン

・通常スコア(技術点)9割8分8厘(MAX-31)

・リアルグルーヴゲージ(芸術点) 良


ミホの友達の女

・通常スコア 9割9分8厘(MAX-6)

・リアグル 優


ビートランク

甲 友達の女

乙 チュン


―――よって勝者は友達の女―――!



「「うおおおお!!!だれだかわかんねえけど、FAXXでチュンを破るなんて、なにものだーーーー!!!??」」

『ま、まさか、、、この私がFAXXを選曲して負けるわけがーーー!!??』

「自己紹介が遅くなりました、私の名前はミネルヴァ、人呼んで女王ミネルヴァ。アングラ死天王をやらせてもらってます♡ でもおじさんだって名乗ってないでしょ、人に名前を聞く時には自分から先に名乗らないと、ダメだよ☆彡」

『アングラ死天王の・・・紅一点・・・氷の女王ミネルヴァと呼ばれた女が・・・こんな小娘だったとは・・・』

『だがお前をこの場で殺せば口封じは容易いアル―――お前ら!全員でミネルヴァを取り押さえるアル!!!』


「往生際がわるい!怒」

そういうとミネルヴァはオーディエンスに振り返りウインクをした。

―――トキメキLOVE光線。ミネルヴァのビートに魅了された男たちはチュンの命令に反してチュンを取り押さえた。

『ぐわーーーーお前らやめるアルーーー!!!』

「わたしはミホちゃんを助けに来ただけ、あとはし~らないっ☆彡」


数分後・・・

「お前の仕業であることはハナから分かっていた、、、どのみち”アングラ七武海”に消される命だ、大人しく逮捕されれば命だけは助かるぞ」

『稲妻!!!よく来てくれたアル!!!命は・・・命だけはタス・・・ケ・・・』


ボン!!!


チュンが命乞いをした刹那、なんとチュンの身体は内側から闇のビーラが膨れ上がって消し飛んでしまった。

(人の命をなんとも思っていない、”ヤツ”らしいやり口だ・・・)

(だが俺は・・・もう誰も・・・俺の部下を死なせはしない・・・)

(ミネルヴァ・・・このような形で借りを作るとはな・・・)


―――そのころ、地底にて

「ハーデスさん?いいんすか?地上の争いごとに、”死天王”が首を突っ込んで」

『我々は秩序を排し混沌を旨とする存在。地上で如何なる争いが有ろうと雖も、介入する義理や義務など毛頭無い。』

『一方で他の死天王を止める理由も無い。』

『自由こそ力、力こそ自由なのだから―――』



あいたたた、、頭がいたい・・・

ん~~~?ここは・・・公園???あれ?アタシってばさっきまで何してたんだっけ・・・?

もしかして巡回中に居眠りしちゃったの??!

やっばー!早く戻らないと、また課長に怒られちゃう汗汗汗


『おいミホ!お前どこほっつき歩いてんだ!お前みたいな新米は、家庭用1000回やってから出直してこい!!!』

「か、かちょ~~~!? ><泣」


今日も課長のカミナリがミホちゃんに落ちるのだった。


To beat continued…

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