魔物と実戦!
『ソナー』
極小のオーラを自分を中心に広域に発する。
一定以上のオーラを持つ対象に当たると反射し戻ってきて、対象の場所を知ることができる自作の探知型の魔法だ。
屋敷を覆う結界の近くにいる魔物を発見する。
『エクスアナライズ』
魔物の強さは305レベル。
炎属性のオーラを持ち、肉体の強さもオーラの強さもバランスが良い。
力試しをするには、丁度良い相手だ。
ソナーによる探知では運よく付近に他の魔物は探知されなかった。
俺は結界の外に出た。
実に転生初日以来、数か月ぶりだ。
結界の中より、わずか一歩外に出ただけで空気が変わった。
それまで感じていた実家のような安心感から一転して張り詰めた空気に身体が緊張する。
空気だけじゃない、身体が、いやオーラが変化を感じ取っていた。
超分析の能力が自動的に状況を分析する、いま俺が受けているのは魔物が発している探知系の能力だ。
魔物もの突如結界の中から現れた俺の存在に気付いたのだ。
『セキュア』
自動的に情報隠蔽系スキルのセキュアが発動する。
こちらの強さや能力を相手の鑑定系スキルから隠すスキルだ。
これで、相手の魔物は俺の情報を得られない。
視覚情報でしか判断するしかなく、中肉中背の人間はひ弱なただの餌にしか見えないだろう。
魔物は二足歩行で突撃してきた。
大きく振り上げた腕で殴ってくる。
肉体強化を最大化、身体を覆うオーラを最大放出。
ガッ
繰り出された拳を腕でガードする。
衝撃はあったものの、全然痛くも痒くもない。
魔物は驚いたような反応をしたあと、次々と殴りと蹴りの殴打を繰り出してきた。
その全てをガードで受け止める。
一方的にボコボコに殴られているような絵面だろうが、ダメージは一切なかった。
この一発一発の攻撃が元の世界だと、建設重機でコンクリートの建物を壊す程度の重さがありそうだ。
逆に、殴り続けていた魔物の腕が傷付き腫れあがっている。
魔物は俺の両腕を掴むと、身体をのけぞらせるように反動をつけ。
頭突きを繰り出してきた。
これは、そのまま受けたら危険かもしれない。
オーラを頭部に集中させる。
ガンッ
頭と頭が衝突し鈍い音がする。
「痛っ」
結構な衝撃と痛みに思わず声が漏れる。
魔物の方はというと、白目を剥いて痙攣しながら後ずさっている。
地面の石につまづき転倒。
口から泡を吹いて痙攣を続けている。
俺は倒れた魔物の上に跨ると拳を上げた。
オーラを集中させて、殴る。
ゴッ
殴った顔が半分吹き飛んでしまった。
勿論魔物は即死だった。
オーラへと還元され、俺に吸収されていく。
350レベルに到達した自分の力試しは、まずまずといった結果だった。
305レベルの相手なら正面対決でも、全力を出していればほぼノーダメージで倒すことができる。
約一か月前に、俺が250レベルの時に315レベルの魔物を相手にした際にセレスティが例えた赤ん坊と大人の差というのがよくわかる。
修行のかいあって、俺はここまで強くなったのを実感できた。
最初に魔物に襲われ、ゾウと蟻程の圧倒的な差が有り(蟻だけに)。
そんな魔物が巣食う森の中にポップしたと知ったときの絶望感ときたら半端なかった。
ようやく、ロールプレイングゲームの最初の町から外に一歩足に出たようなものだが。
そういえばそうなのだ、転生して早数か月経つが、まだ現状は最初の一歩を踏み出したに過ぎないのだ。
大きな一歩ではあるが、所詮はまだ一歩目でしかない。
先が思いやられて、真っ向勝負の初勝利なのに気が重くなってしまった。
今の戦闘は力試しということで、全力の肉体強化とオーラ放出で迎え撃った。
しかし、全力を出して戦える時間はまだそんなに長くもたない。
肉体強化もオーラ放出も調整しながら戦わないと、すぐにガス欠状態になってしまうだろう。
ベストなのは、常時ソナーを放出しながら敵の位置を把握しながら進軍し、発見した魔物をエクスアナライズで分析し、相手のレベルに合わせて、肉体強化とオーラ放出量を自動調整できるようにできればよし。
よしというか、それができないとこの森の突破が不可能なわけで。
自動調節に必要な戦闘データの蓄積の為に、手ごろな魔物との戦闘を暫く行った。
全身を鱗で覆われた、トカゲのような魔物、リザードマンとの戦闘中。
リザードマンが長い尻尾を振り回してきた。
『危険度レベル中、対応します』
視界にそのような文章が浮かんだ。
リザードマンの尻尾が雷を纏っていた。
直撃すると感電による火傷と麻痺系の効果があるようだ。
軌道上の左手にオーラが集中され、絶縁系の効果を発揮している。
尻尾攻撃を鷲掴みにして止める。
絶縁処理のおかげで、雷属性の効果が無効化された。
尻尾の付け根に向かって手刀を繰り出す。
手刀がヒットする瞬間に肉体強化レベルが引き上げられ、オーラ量も増えさらにオーラの形状が鋭利なものとなっている。
手刀で尻尾を一刀両断する。
尻尾を斬られたリザードマンだが、それに臆することなくこちらの喉元に噛みついてくる。
トカゲの尻尾きりとはまさしくこのことか。
あんぐりと口を開け、そこに凶悪な牙が並んでいる。
避けずにそのまま噛みつかせる。
先端の尖った牙が、俺の肌を食い破る…ことはなく、逆に牙が砕けた。
インパクトの瞬間に、防御力を最大にした、俺の防御力がリザードマンの噛みつきの攻撃力を上回った結果。
カチカチのものを噛んでしまったリザードマンは反射的に離れようとする。
隙だらけのボディにパンチを食らわせる。
リザードマンは吹き飛んで、そのままオーラ化していった。
魔物との戦闘を繰り返していくうちに、戦闘データが蓄積してきた。
魔物の繰り出してくる攻撃に合わせて、必要な防御力を自動的に発揮。
攻撃時も同様に、自動で最適な攻撃力を放つようになった。
例えば敵の攻撃の攻撃力が100だったとすると、直撃する前あたりから着弾地点の周囲の防御力を200にする。
敵の攻撃によるダメージは無し、それどころか逆に攻撃部位にダメージを与えて先ほどのリザードマンの牙のように破壊できるかもしれない。
攻撃の際は、敵の防御力を超える攻撃力を瞬間的に出力する、という単純な動作だ。
流石に攻撃も防御もギリギリだと不意な計算外が起こると危険なので、十分な余力を持たせてはいるが。
それでも常に全力を出し続けるよりは、かなり消耗を抑えられるようになり継戦時間は飛躍的に伸びた。
更に経験を積んで、戦闘データが蓄積されればまだまだ改善と伸びしろはある。
加えて、この戦闘訓練の間で俺のレベルも350から380まで上がった。
そろそろ、森の攻略に向けた準備フェーズに移っても良いかもしれない?
ここまでご視聴、本当にありがとうございました。
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