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白夜

作者: 黒猫

白夜


北欧の街には夜が明けない極夜というものがあると友人から聞いた私は、とある北欧の街を訪れた。

まだ太陽が出ている。しかし妙に静かであった。

朝早くに来てしまったのか、それのもこの街の人々が昼間まで寝ているのか。通りには人の姿はなく、中央の広場に一つの街灯とベンチがあるだけだった。

私は長旅で疲れていたので、そこで少し休むことにした。

ベンチに腰掛け、腕時計をみる。午前二時を指すその針は、今は真夜中であると言っていた。この明るさで真夜中などありえない。きっと壊れてしまったのだろう。私は一息ついて歩きだした。今日の宿はどうしようか。極夜とやらはどこで見れるのだろうか。そんなことに期待し胸を躍らせながらしばらく歩くと、街の住人であろう一人の男を見つけた。

失礼、何故こんな明るく天気のいい日だと言うのに、誰も外に出ていないのですと尋ねると、男はそれは今が真夜中だからだと言った。夜にしては明るすぎませんかと私が聞くと

今日は白夜、太陽が沈まない日なんだよと男は笑った。

なるほど今日は白夜で太陽が沈まぬ日なのか。腕時計は壊れていなかったようだ。しかし、友人が言っていた極夜とは結局どこに行けば見れるのだろうか。私は男に極夜という、夜が明けない日があることをご存知ですかと聞くと、それは冬になればこの街でも起こる。でも今は夏だから極夜にはならないんだと言った。

確かに友人がこの街を訪れたのは去年の冬のことだった。

私は男と別れ、再び歩く。この街はなかなか面白い。今日は明るく静かな夜を楽しもう。街は昼のような明るさにつつまれている。

今日も太陽は沈まない。

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