第七話 始めてのメイク・ラブ
真理奈が料理の腕を
副店長の佐藤に見出されて認められた夜。
夜遅くなってしまった真理奈、
自宅には帰らずに香津美の家に泊めてもらう。
真理奈を自宅のゲストルームに案内して、
おやすみを言ってドアを閉じる。
香津美は自分の部屋に入るとパジャマに着替える。
ベッドに入って目を閉じるが
真理奈の顔がチラついて眠れない。
真理奈の方も何度も寝返りをうつが
香津美のことを考えてしまう。
愛し合う二人は眠ろうとしても
相手が気になってなかなか眠れない。
そんな二人の頭の中にエンドレスラブの歌が流れる。
やがてお互いにベッドを抜け出してリビングルームに向かう。
二人はそこで偶然出くわした。
「真理奈。」
彼女の人影に気づいて香津美は真理奈を呼んだ。
「香津美クン。」
先にリビングルームにいた真理奈は
香津美の声に振り向いた。
どうしてここに来たのかは分からないが
呼びよせられるようにして二人はここに来てしまった。
リビングのミニコンポで音楽をかけた。
元から入っていたCDから流れた曲は
エンドレスラブだった。
「あっ、さっきこの曲僕の頭の中で流れてた。」
「わたしもさっきこの曲聴いた。」
偶然は重なるものなのかもしれない。
「ねえ真理奈。こんな時間にどうしたの?」
香津美は真理奈にきいた。
「なんだか眠れなくて、ここに来たの。
香津美クンこそどうしたの。」
「真理奈のこと考えていたら
眠れなくなって寝顔を見たくなったんだ。」
「やだ、もう。寝顔だなんて、
何真剣な顔して言ってるの。」
恥ずかしがる真理奈の言葉を止めて香津美は言った。
「ふざけないで聞いてれ。
僕前から真理奈のことが好きなんだ。」
突然真剣な顔で話す香津美。
真理奈は香津美にそう言われて
急にその場から逃げ出したくなった。
香津美は逃げ出そうとする
真理奈のその手を掴んで引き戻した。
真理奈の顔に自分の顔を近づけると言った。
「真理奈は僕のことどう思ってる。
好きかい?それとも嫌いかい?」
真理奈は目をつぶり
少し時間を置いて目を開くと勇気を出して言った。
「好きよ。最近まで気づかなかったけど。」
香津美は真理奈を抱きしめキスしようとした。
真理奈は目をつぶりその瞼が、
緊張のあまり引きつっている。
「わはははは。真理奈可愛い。
顔が引きつってる。」
「何よ、ちょっとは期待してたのに。」
目を開けて真理奈は少し怒ったように言った。
その口を黙らせるように
香津美は真理奈にキスをした。
キスしている間、
外は静かだった。
やがてキスをやめると
真理奈の手を引いて
笑顔で香津美は自分の部屋に連れてゆく。
真理奈をベッドに座らせると、
さっきのキスの続きをした。
香津美は優しく
真理奈の着ているものを脱がせてゆくと、
自分も裸になり、
真理奈の居るベッドに潜り込んだ。
愛する二人はその夜、
始めて愛し合った。
「真理奈、心から愛してるよ。
この体のすべてで愛してる。」
「わたしもよ。」
真理奈は香津美に優しく微笑んで言った。
汚れなき 優しい心のままで
僕を抱きしめておくれ
君の優しい瞳の奥に
思い出がたくさん隠れてる
ガラスのような心 傷つきやすく
僕たちは愛していた人に
街の片隅でやっと会えた
諦めずに僕は君を抱きしめた
愛する気持ちを二度とは語れない
僕らは一人で二人なんだ
僕らは一人ではいられない
僕は君を離さないさ
温かいベッドの上で、
二つの体がひとつになった夜。
喜びは喜び、
悲しみは悲しみと、
素直に感じることが出来るようになった二人だった・・・。
いつも何かに優しくなれる二人でいようと誓った。
いつまでもいつまでも愛し続ける二人でいようと誓った。
アフリカの星が天から二人を見守っていた。
最高のカップルと呼ばれた眩しい日々。