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JK4

7月20日 晴れてた 気温27℃


 今日から夏休み。

先生と交換日記を続けることはできそう。

 

 うーん。


 課題より日記の方がなんにも書けないよ……。


--------


AIは人間か!


AIは人間に決まってる!

先生たちがAIって言われてるのは大人だからってだけ! 全然人間と変わんないし、違うところ見つける方が無理!

もしだよ? もし高校生の中にAI高校生が混ざってても絶対わかんないじゃん! 普通に友達になって一緒に遊ぶもん。

あと、人間を作ろうと思ってできたのが今のAIなんだから! それが人間じゃないってこと自体がもう変! 私も思います!(これは同感!)

それに愛する気持ちは相手を人間だと思わないと絶対に生まれないと思います。

その人とずっと一緒にいたくて、子どもも作りたくて、最期は一緒に死にたいですっていうこと。同じ人間同士じゃなきゃ絶対にそんなこと思えない! 

 だからAIは人間だと思います。 

--------


◆ ◆ ◆


「佐藤マリンさん」


「な、なんでしょうかか!」


「299字です」


「え」


「299字なんです」


「……」


 いやいやいや。まさかぁ。


「惜しかったですね」


「うっ……うぅ……」


「どうして泣いているのでしょうか」


「先生の課題できなかったから……ぐすん……もう交換日記できないと思って……」


「いえ別に1文字足りなかったことなど大した問題ではないのです。ただ一定量書いて欲しかっただけですので」


「じゃ、じゃあ!」


「問題ありません。明日からも交換日記を続けましょう」


「やった!」


 良かったあああああああああ!!

 って先生は真面目だけど融通が利かない人じゃないって私がよく知ってることじゃん!

 先生もそれならそれで300字なんて言わなきゃいいのにぃ。


「非常にわかりやすくて良い文章ですね」


「ほんとですか!?」


「どこが佐藤マリンさんの意見で、どこが引用されたものか、がわかりやすいという意味です」


「……」


 先生が鋭すぎるだけに決まってるっ! その辺はバレない様にちゃんと意識して書いたはずなんだから。


「良いでしょう。2つ目の課題は来週に出します。どうも課題を出すと日記の方が疎かになってしまうみたいですね」


「色々考えちゃって日記どころじゃなかったです……」


 頭パンクして昨日だけで脳内の無機AIを7回も再起動しちゃった。

 先生に課題出されてから、日記のこと全然考えられなかったし。


「私は日記も楽しみにしているので、是非両立出来ることを願いま…」


「ほんとですか!!」


「え、ええまぁ……」


 ド直球に思うこと口にするのが先生の良い所だと思う。

 なら私も日記頑張らなきゃね。


「とにかくです。今日から1週間は日記をお願いします。課題のことは考えず、佐藤マリンさんが楽しそうにしている夏休みの日記をお待ちしています」


「わかりました!」


「今日は以上です。それでは良い一日を」


 先生は立ち上がって私を玄関へと手招こうとしていた。


「ちょ、ちょっと待ってください! こんな可愛い子を家にあげておいて、もう帰しちゃうんですか!」


「なにか問題が?」


「も、勿体ないじゃないですか!」


「勿体ないとは?」


 うーん。先生を納得させる理由がぜんぜん思いつかないよ…。これじゃあ絶対追い出される。

 いや待って。

 逆に先生を外に連れ出すのがいいんじゃないかな?

 おお! なんという名案!

 でもどこへ行けば、あわわ。


「あーえっとー。先生! そうだ! 桜区の自然公園にでも行きませんカァ!?」


 語尾がおかしくなったけど、咄嗟に思い付いた場所にしては良いチョイスだと自分でも感じた。


「自然公園ですか? 私と?」


「はい! 外に出て一緒に散歩でもしましょう!」


「私なんかが一緒でも構わないのでしょうか」


「先生と一緒に行きたいんですっ!」


「なるほど。ではご一緒致します」


 ……! 

 すごい簡単に成功した! あっけない! というかちょろい!?

 先生は学校と同じ暑苦しい黒のジャケットを羽織った。AIも暑さは感じるはずなのに、先生はいっつもジャケットを着ている。


「先生のジャケット姿、好きです」


「ありがとうございます。私もジャケットが好きです。私にとって、黒のジャケットは拘りやアイデンティティの一部ですね」


 よくわからないけどカッコイイから良し。


「では、参りましょうか」


 名残惜しかったけど、私たちは家を出た。


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