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JK3

 7月19日 今日も晴れてた! 気温27℃


 先生の日記見たけどよくわからなかった。

 欲求とか自己満足とか、無意識とか行動とか。

 私、人間だしバカだしなーんもわかんない!!

 最初はあんまり良い感じじゃなかったみたいだけど、最後は良い機会?って書いてた!

 先生も乗り気になってくれた! 


 でも、私、先生のことよく知らなかったのかも。

 私が感じたことや見たことは先生の全部じゃなかった。

 先生が考えていることを頑張ってわかろうと思ったけど、難しかった……。

 

 もっと日記を読めば先生のことがわかるのかな?

 先生のこと、もっと知りたいです。


 明日は夏休み前最後の登校日だけど交換日記は続けたいです。

 夏休みの間も会って日記を書いて欲しいです。



◆ ◆ ◆


「はい、先生。一生懸命日記書きました!」


「あとで読ませていただきます」


「今読んで欲しいですっ!」


 職員室はあんまり好きじゃない。

 でも先生と一対一で話せる場所。


 今日は前期の終業式だから午前中で終わった。


 私は職員室でお昼ご飯を食べている先生のところに、お弁当を持って突撃した。

 先生は少しびっくりしてたけど、一緒に食べることを許してくれました。


「自分の日記を読まれるのは羞恥心を感じませんか」


「しゅーちしん?」


「……読ませていただきます」


 先生は難しい言葉を使う。検索すれば私でもすぐわかるけど、大体私には関係ないことだったりする。

 もしかしたら私が理解できてないだけかもしれないけど。


 先生はじっくりと私の書いた日記を見てた。

 先生なら数秒で読み終わるはずなのに1分くらい黙って見てた。


「先生?」


「すいません、少し考え事をしていました。明日から夏休みに入るわけですが、どのようにして日記を交換するのですか?」


「私が先生の家に行って交換します!」


 先生は高校の隣のアパートでどこの部屋かは私でも簡単にわかった。

 だって『小暮』ってアパートの部屋に書いてあるんだもん。


「そこまでしたいのであれば、まぁいいでしょう。その行動力を勉強に向けられれば成績はグンとあがると思いますが……」


「がんばりますっ!」


 笑顔だけは自信がある! これで大体誤魔化せる! 勉強はしたくないから!


「はぁ。では佐藤マリンさん、何点か質問してもいいですか?」


 ???

 なんだろう? 私は無言で頷いた。


「日記には『先生のこと、もっと知りたいです』とあります。私は日記を書き続けます。しかし今の佐藤マリンさんでは単純に文章の意味を理解するだけでも困難でしょう。私のことを知りたければ理解力を高め知識を蓄える必要があります。そこで交換日記を続ける条件として、この夏休み中に私が出す課題をやり続けてください。それができなければ、日記は書きません。約束してくれますか?」


 うっ。確かに先生をわかるためにはもっと勉強しなきゃいけない。

 でもでも夏休み中に先生と会えるし、わかるためなら……!


「や、約束します!」


 頑張るしかないよぉぉぉ。


「二点目です。佐藤マリンさんは『AIは人間であるか』という命題をご存知でしょうか」


「あ、知ってる! 小学校とか中学校でやった!」


 難しかったけど、こういうお話する授業はちゃんと参加してたもん。


「では、これについてどう思いますか」


「人間だと思います!!!!」


「どうしてですか」


「私がそう思うからです!!!!!!」


 これで何人もの同級生を論破したのは私の数少ない偉業!


「そうですか……。では質問は以上です。そして最初の課題を与えます。何故AIを人間と思うか、今日の日記と一緒に書いてきてください」


「え、だから私がそう……」


「300字以上で書いてきてください。『私がそう思うから』という突拍子のないものは禁止です」


 む、難しい。300字なんて多すぎるよ……。何書けばいいのか全然わかんない。


「しかし論理的でなくても構いません。佐藤マリンさんの考えや感情を書いてくれればいいです。もちろん、検索して他の人の意見を参考にしても良いです。模写はダメですが同感は問題ありません。書いてみると300字は非常に少なく感じると思います」


 考え……感情……。とにかく思ったこと書きまくれってことなのかな。


「そう硬くならなくてもいいです。思ったことを素直に書いてきてください。あなたが昼食を取っている間に、私は今日の分の日記を書きます。明日、13時に私の部屋へ訪れてください」


 私がお弁当を突いている間に鉛筆を走らせていた先生は、少し笑っていて可愛く見えた。


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