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召喚士は魔法使いでない  作者: ただの点
8/14

8召喚士は魔法使いでないⅡ

 人は眠ると夢を見るものだ。

 記憶を整理し、時間軸を正す。

 昔と今、未来を混同しないために行うコレは、私が思う、夢を見ることについての、意義だと思っている。

 しかし、不思議だ、夢を見ているだけで、果たして記憶の整理は、出来るものなのだろうか?覚めれば、消えてしまう夢は、私には到底"整理"しているものだとは思えない。


 故に、夢で見る映像や物語は、自身の記憶や感情をもとに作り上げた幻像であり、その中をちょっとした旅行気分で、無自覚に観光しているにすぎないのだ。

 では、いつ"整理"を行っているのか、その答えは、意識が夢へと落ちるほんの刹那、そのにあるのではないか?

 あなたは、夢に切り替わるその瞬間を、知覚できたことがあるだろうか?いや、無いはずだ。もっとも、夢を見るにも順序がある、始めは皆、視界が暗闇に、覆われることだろう、そして徐々に意識が、遠のいていく。

 しかし、そこからどうやって、夢を見るまでに至ったのかは、知り得ないはずだ。

 それもそのはず、"整理"という作業工程を、見せられても、ただ退屈なだけである、故に、人は意図してコレを、忘却することにしているのだろう。


『記憶を読む』


 その作業は極単純であり、また、労力を有する。そしてコレが、意識と夢の"間"に行われている正体である。





──っと、私は思っているがね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「今日は、ここか...」

 優しい木漏れ日が、木々を一層神秘付ける。小さな湖の畔には、双子のようにそっくりで、そんなに背の高くない木が二本並んでいる。その間には、ツギハギだらけのハンモックが、二つの木々に括り付けられ、そよ風に吹かれていた。


 ここは、ハシット平原や街をすっぽりと囲む『キテル大樹林』のどこか。少年グライスにとって思い出深い場所だ。

 鳥のさえずりが聞える。

 そちらを向くと、少年の背丈と同じ程の木の本棚が、ポツリとあり、鳥たちはその上に止まっていた。

「クルツメかぁ、そういや長いこと見てなかったなぁ」

 クルツメとは、この鳥種の魔物の名前であり、基本的に穏やかな性格をしており、害はない、羽は自然に合わせた緑い色で、ふわふわしている。因みに、彼らの爪の先が、くるりと一回転渦を巻いているのでクルツメと呼ばれている。

 

 本棚には、様々な形の背をした本が、並べられている、これらは、少年が経験した、事柄についての記憶や感情が記されている。一日ごとに本は増えていくが、中身のページや書いて有ることがデタラメであったりする。

 これらを、修正なおすのが、”彼”の役割である。姿こそ同じなれど、ここでの彼は、少年とはまた別の人格、とでも言えばいいのだろうか、似て非なるものである、と考えて欲しい。

「今日の日付分は...っと、あったあった。随分分厚いな、今日は」

 背がかっちりとかたい皮で出来ている分厚目本を取り出す。

 本を取り出す様を、興味深げに眺めていた鳥たちは、そのまま、彼に付いていく。ハンモックに彼が腰掛けると鳥たちは、同じようにハンモックの上に立とうとして、揺れるハンモックに翻弄され、後ろに前にと、コロコロ転がっている。彼は、特に気にした素振りを見せず、ただゆっくりと文字きおくを読む。

「"いつかホウジョウの、あのガリ勉メガネを、叩き壊してやるぜ"...ね。ふ...相変わらず嫌いなのな」

どこからともなく羽ペンを取り出すと、文字きおくの一文をなぞると、するすると文字が消えていき、羽ペンの先にインクのようにして溜まる。

「ま、一時的な、しのぎだけどね」

 更にページをめくる。

「"蟻ミミズはどうやったら、寄り付かなくなるのか...まったく、悩みのタネだぜ"...ね」


「.....ふむ」

再び、文字(記憶)を羽ペンに吸わせると、そのまま、そのインクで、文字を書く。

「"蟻ミミズは、面倒くさいが、タマリを、喰い荒らされるわけにも行かないし、こまめに、畑の方をみなきゃな"っと」

 書き終えると同時に、インクは丁度、無くなった。

 しかし、彼の作業はまだ終わりではない。

「あ、ここと、ここが、順番がおかしいな」


「.....銀ね...こんど本棚を漁ってみよう」


「もうちょっと、素直になればいいのにね...」


「1098歩目で...なるほど、2000歩目はこうだったのか...」


 そんな独り言を、ブツブツと呟きながら、膝の上に本を置き、作業をこなす。いつの間にか鳥たちは彼の頭の上で、昼寝を始めているが、彼が気にする様子はない。


「──よし、こんなもんだろう」

ハンモックから降りると同時に、鳥たちもパタパタと何処かへ飛んでいく、そよ風を感じながら、本棚へと本を収めると、ふと隣にの本に目が行く。

「懐かしいな...」

 その本の背は、顔が描かれた木の実や、木の葉が散りばめられており、非常に子供っぽさを感じさせる。彼は、その本を取り出すと、その場で、読み始める...


『ユシャー、見ろよコレ!すげぇだろ!』


『おぉ、ツギハギがいっぱい...グラ君、コレ何に使うの?』


『俺達がソウセツ?した、冒険者ギルド「ハシット・キテル秘密支部」に、いよいよ持って、ハンモックを設置することになったんだぜ!』


『ホンモック...?』


『ハンモックだ...とりあえず、あの双子木につけるから、ユシャはそっち持ってろよな。』


『うん!...あ、でも、コレが終わったら、約束してたクルツメの羽、一緒に集めてよぉ?』


『じゃあ、ぱっぱっと終わらせようぜ。』


「『少年とユシャの楽しげな声は、木漏れ日を浴びて、より一層眩しく輝くようだった。』『けれども、夜はやって来るもので、二人は名残惜しそうに家へと帰っていく、一度だけ振り返って見たハンモックは、風に揺れ、こちらに手を振っているように見えた。』」


「『──また明日。』」


”カタン”


本を音もなく閉じた彼は、そのまま、本棚へと戻す。


揺れるハンモックに再び腰をかけ、そのまま体を倒す。


揺れる。


揺れる。


耳をすませば、どこかで懐かしい笑い声が聞こえてくる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 夜の肌寒さとは打って変わり、少し汗ばむような気候に少年グライスは目を覚ました。


「ん~~~...ふぅ。」

 あぁ、それにしても悪夢だったな。ホウジョウの野郎が、蟻ミミズと一体化して、追い掛けて来るなんざ、悪夢以外の何物でもない。ココ最近見た夢の中でも、とびきりの悪夢だぜ──まったく...

 軽めにストレッチだけして、服を着る。胸に、掛けたままだったネックレスのせいで、変に跡がついてないかと思ったけど、案外大丈夫だった。ブーツはあのまま天日干しにするとして、ベッドの横に置いてあったつっかけを履く。そのまま部屋を出て、向かいのカアさんの部屋をノックする。

「......」

 やはり返事はないけど、一応中を覗く。山積みにされた、良く分からない本やら、書類やらが、所狭しと並べられている。

 意外にも小綺麗ではあったが、ココ最近出入りした様子はなく、ホコリが溜まっているのが、現状だ。


 そして、カアさんの姿もない。

「やっぱり、あのまま下で寝たのか」

 そのまま、扉を締めてしまおうと思ったが、せっかくなので換気をすることにした。カアさんの部屋の窓は、ガタつくことなく開き切り、新鮮な空気が、埃っぽい部屋に流れてくる。

「後で、全体的に掃除しないとな」

 そんな独り言を呟きつつ、一階へと降りる。


「カアさ~ん、起きてる―?」

 返答は無く、足音を立てながら、下へと降りるがカアさんの姿はなかった。

 おっかしいな...外にでも居るのかなぁ?

 珍しいこともあるなと、思いながら、そのまま外へと出る、すると、”パシャッパシャッ”と水を撒く音が聞こえる、あぁ、庭にいるのか。


 庭に向かうと、大きめ麦わら帽子に、白いシャツと短パンを着た、カアさんが気だるそうに、中腰になりながら、バケツでタマリに水を撒いていた。と言うか、雑ッ!

 その後ろでは、ウクレレ先輩がポポロンっと、いつものように、軽やかな音色を奏でている。俺の足音にウクレレ先輩が気がついたようで、こちらに顔を向け。

”ジャカジャジャン♪”

 と、挨拶?をしてくれた。さすが先輩だぜ...。

 カアさんも、ようやくこちらに気がついたようだ。口には、いつの間にか火の付いた煙草を咥えている。

「おはよ、カアさんが朝から起きてるとか、珍しいこともあるもんだ」


「もう、昼さね」

そういって、カアさんは、空を、正確には雲を指差した。釣られて視線をやると。


「輪っかだ...」

どうやら、寝坊助は俺の方だったらしい。右手の人差し指と親指をくっつけて、輪っかみたいにしてそこから雲を覗く、うむ、やはり輪っかだな。

 照れ隠しというわけではないが、気を紛らわすために、おかしな行動をしてしまうというのは、人間誰しもあると思うのだよ、うむ。しかし、”輪の中時”...えらく寝過ごしたもんだ。

 ん...?あぁ、そうだ、本題を忘れるところだった。

「そうだ、今暇ならさ、例の奴、教えてよ。」

 指で作った輪っかから、カアさんを見据えながら、聞いてみる。


「いいよ」

 少し間を置いてカアさんはそう答えてくれた。


「何か準備するもんとかある?アレなら、持ってくるけど」


「いや、体一つアレばいい」

 そう言って、はてなマークを浮かべる俺にカアさんは手招きをした。よく分からないが、水撒きをしてるカアさんに並んで中腰になる。

「あんたまで、中腰にならなくていいさね」

そう言われたので、そのまま更に腰を落とすが、流石に尻は地面には付けない。

 これから何が始まるのかと、期待と不安が入り交じる中、カアさんは、植えているタマリの側枝そくしから、タマリを一つもぎ取ると、それを片手に持ったまま、俺の正面に、地面に胡座をかく形で腰を落とす。

 うーむ...まぁ、後で土を払えばいいし、問題ないか、と、カアさんを真似て胡座をかいて座る。

 生い茂るタマリの葉に囲まれながら、二人が胡座をかいているのは、中々に愉快だと思う。

「......」


「......」

 何故か、カアさんはこちらを見て、軽くフフッと、微笑んだ。

 そしてそのまま、二人を間を挟んだ地面に、薬指で直接なぞりながら、魔法陣の様なものを描いていく。

 ウニョウニョした、ミミズみたいな模様をぐるりと、一周描いた後に、更にその上を、薬指でなぞっていくと、カアさんの薬指の先が、ポウッと赤く揺らめいた光を灯した。


「魔法、召喚術の源...魔力。コレには、いくつか色性しょくせいがある」

 赤く光を灯した指先に見惚れていた俺に、カアさんは、諭すような口調で話す。

「一つに、アカ

 先程描いた陣に沿って、指を少し左になぞる。赤い光が燃える様に、それを追う。

「二つに、レイ

 更に、左に指をなぞると、バチッ、バチッっと不安定な光が後を追う。

「三つに、カイ

なぞる指に合わせて、子供の笑い声に似た何かが聞こえ、薄い紫色の光が見える。

「四つに、アオ

 続けて青い光が滲む、少し涼しい感じがした。

「五つに、テオ

 浅黒い茶色い光が溢れる、どこかずっしりとしている。

「そして、テン

 白く、何でもない光が浮かぶ。

「この六つが、基本の系統としてあり、私たちに流れる魔力の色は、これらから、混ざりあって出来るものだ」

 カアさんが魔法陣の上から手をどけると、6色の光は、保ったままである。

 ふと、カアさんの言葉に引っかかりを覚える。


「それって、昨日の覚醒式で、染まった色みたいなやつ?」


「いや、それとコレとはまた別のモノ」

 淡々と答えながら、先程のタマリを、俺の手のひらに勝手に置いた。いや、今おなかすいてないんだけど...

「おやつじゃないさね」


「知ってるよ...で、なんなの?」


「そうだな...その前に、魔力の特色について、少し話しておくさね。これは、すべての魔力に置いて言えることだが、魔力は、何かしらの物質に干渉する際、ソレの持つ特性や色や、性質を変化させてしまう。染めてしまう」


「それって、生きてるものでも、何でも?」

 素朴に湧いて出た疑問を投げる。


「そうさね...ただ、ソレに染まるということは、完全に主導権を握られたということ...といっても、魔力は万物が宿すもの。ソレを染めるということは、より強い魔力、あるいは相性や、素材の特性なんかもあるさね」


「で..その...主導権ってやつを、握られるとどうなるんだ?」


「......」

 無言でそのまま、新しいタバコに火を点け、咥える。紅い煙を吐き出す。

「ふぅ...体調がおかしくなったり、魔力が使えなくなったり、親和性が低いなら...死ぬ。焦げて死ぬ」


「......うわぁ」


「しかし、自身の持つ色や特色だけで、相手を染めるのは中々時間がかかるし、直接触れないといけない。そこで、”魔法”が生まれたさね」


「.....?」

 良くわからないな、つまりどういうことだ?

 と、難解な顔をしていると、カアさんは説明を続ける。


「....簡単に言うと、過程がちがうのさ」


「過程?」


「魔法は、圧縮・放出→干渉→支配→作用等を半自動で行える」

 そう言いつつ、分かりやすく言葉と共に、図式を書く。

「これでも、だいぶ過程は省略してるが、まぁ、それはこの際いい。つまり、魔法はこうやって...自分の色のルールに引き込む、って言えばいいのさね?」

 カアさんは言葉に合わせて、手を前に出し自身の胸元へぐっと引く。


「そうやって引き込んだものを、今度は、魔力の性質が作用する。まぁ、術式によりけりだが。さて、一つ問題を出そうか...そうだな」

 そういって、少し考え再び口を開いた。

「例えば、赤の性質は火だ。作用させてやると、燃える。しかし、全員にそれが出来るかと言えば、ノーだ。では、出来ない人間はどうやって、火を、赤を使っている?」


「えっ...火って、普通に『熱石ネッセキ』とかを、葉っぱとかに擦れば...付くだろ。熱石同士で擦れば、水かけるまで、結構長いこと燃えるし」


「正解、作用させられない人間は、そうやって、自然から、生まれた物が宿す魔力を利用する。しかし、コレは、一定の作用しか、起こさない物で『固色こしょく』という。出力も低い。熱石の場合は、擦り付けることによって、赤で干渉、支配、作用をひとりでに行い、燃える」


「へぇ~」

 知らなかったなぁ...結構身近にあるもんだな、魔力って。

「あぁ、一つ忘れていた。『個色』を使っても、作用しないものがあるのは分かるな?」


「えぇっと...さっきの熱石なら、水に使っても、作用? は、しないな」


「そうだ、何故かは分かるか?」


「何でって、火は水かけると消えるし...それが、何でって言われると...だめだ、分かんねぇ」


「答えを出そうか。火は赤から、水は青の魔力から成している。で、赤は青の性質に、作用が非常に弱く、逆に、支配されやすい。コレを、『反色はんしょく』という。もし仮に、赤が圧倒的に青を凌駕する出力を持っているなら...燃えはしないが、蒸発する。これは、他の反色関係でも、同じ結果になる。因みに、6色の色性しょくせいの中でテオが最も、他の色との反食値が高い」


「へぇ、そういう仕組みになってたのか...魔力すごいな...」

 ところで、このタマリは、いつまで持たされるのだろうか。


「で、肝心の召喚術の方は──まぁ、これは追々説明するさね」

 そう言って区切ると今度は、俺の顔をじっと見つめて。

「そのタマリを持ったまま、さっき書いた魔法陣に手の甲を向けて」

 言われたままに、未だ、光が灯っている魔法陣の上に、手の甲を向ける。すると、赤の方から左回りに順番に、点滅していく、その点滅が一周すると、完全に光は消えた。しかし、手にはやはり、何の変化も見られない、タマリがあるだけだ。

「そのままソレを潰すさね...あぁ、全部じゃなくて、半分くらいで」

 危うく、まるごと潰しそうになったが、加減を調節する。


"ドゥルリ"


 そんな、生暖かい感触が手のひらに広がっていく、ううぇ、気持ち悪い。

 タマリから、ボタボタと滲み出る液体は、黒いヘドロのように粘つく。これが、さっき言ってた、魔力による、性質の変化なのだろうか、触れたものを、ヘドロに変える性質なんて、百害あって一利無しじゃないか。

「もういい」

 そんな事を考えていると、カアさんから、ストップがかかる。

 タマリを持ったまま、魔法陣の上から手をどけるとそこには──。



ーーー




「黒」「赤」「黄」

 この三色が、魔法陣の内側へ収まっていた。

 黒はまんべんなく広がり、赤はその中心に一点ポツリ、黄は赤から伸びるように、三方向に柱のように伸びていた、カアさんは、しばらくソレを見つめて、眉を潜めていたが...しばらくすると。


レツ...か...」


「裂...?」

 つぶやいた言葉を拾う。


「......コレだけはっきり色が別れてる、混ざり合わないのは『裂』の特徴さね」

 カアさんは、その模様を、興味深そうに見ながら続ける。

「ただ...境界の『黒』に、日の『黄』が出るのは初めて見た...ふぅ、とりあえず、コレで、第一段階終了」

 ここで、俺はすっと手を挙げる。

「?」


「ごめんカアさん、正直良くわかんない。つまり、俺の魔力は召喚術向きなの?それともダメだった?」

 単刀直入に聞くことにした。カアさんの事だ、全部が終わった後に”魔法使いのが向いてるさね”。とかいい出しかねないからな、先に聞けるなら聞いて、ダメージを減らしておこうじゃないか、うん。


「そっちは問題ないと思う、因みに、『裂』の色は...切り離す事、支配に特化した性質だ」

 よく分からないが、一先ず大丈夫そうだ。


「そっか、ならなんでもいいや、ところでコレ、いつまで持ってればいい?」


「ソレは今から、あんたが食べるさね」


「まじかよ」


ーーー




 ☆簡単!タマリ料理のコーナー!☆


 ①まず手始めに、ドゥルドゥルで、ぐでんぐでんになったタマリを綺麗な水につけます。


 ②10分ほど放置した後に、タマリの色が元に戻らないからと言って、洗剤で洗おうとしないでください、危険です。


 ③取り出した後、興味本位に灰汁を舐めないようにしてください、魔力の干渉により、凄まじい酸味と、思わず舌が痙攣するほどの、渋みがあります。


 ④今度は鍋に水を入れ、沸騰させたら、タマリを入れ加熱しましょう。約30分です。時間が立つまで暇だからと言って、未だ、口の中に感じる③をうがいで薄めようとしないでください。口に水を含む度に、先程の酸味と渋味が、今度は口いっぱいに広がります。危険です。


 ⑤三十分、タマリを加熱した後は取り出し、丸いボウルに入れ適当な芋類と一緒にマッシュしましょう。

 この時、「お前にもこの苦しみを味あわせてやるッッ!!」っと錯乱して、嫌いな蟻ミミズを一緒にマッシュしようとしないでください、蟻ミミズは毒を微量ながらも含むため、食用ではありません。危険です。

 ※蟻ミミズに痛覚はありません。


 ⑥マッシュした後は、塩や『カカ』などで味付けしましょう。これらがない場合は、諦めて、素材本来の味を楽しみましょう、決して、この二つ以外の調味料を使わないでください、爆発します。

 ※『カカ』とは 香辛料の一種であり、非常にフルーティーな香りがし、喉の奥がじんわりと暖かくなるような辛味がある。


 ⑦お皿に盛り付けたら、完成です。もし爆発してしまった場合でも、味自体に変化はないので、難癖を付けて、残そうとしないでください、赤い髪の怖いお姉さんに、無理やり口に押し込まれます。危険です。


 ⑧食べ終わったら、後片付けはきちんとしましょう。

 それでは、お疲れ様でした。


 調理した人・食べた人=グライス


 食べさせた人=カア


 一言コメント


 グ「あまりの不味さに、三時間ぐらい気絶した」


 カ「流石に、蟻ミミズはやめさせた」



物騒な話のモルモットにされている先輩だが、我関せずと、ポポポロン♪っと音色だけ奏でている。


...しかし、魔力の支配が有効な場合、あのウクレレ草をすっぽりと覆ったとすると、360度どこからでも、魔法を打ち込める、人を支配したのなら、無論、体の内側からでも...そして、さっきのような制限がなくなって、火球を撃った後からでも、魔力を込められるし、方向も自在、水の入った水槽みたいなもんさね

まぁ、すっぽり覆わなくても、空間を支配しつつソレを一本適当に伸ばしてやれば、似たようなことは出来るさね


人間の五感、四肢に関するスキルはあくまで補助的で、固定地味た効果しか無く、上級者はこれらのスキルを外している。

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