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日記 ~僕が見たい世界~

作者: 弥生

 7月24日

 日記を書いてみようと思う。断じて寂しいからとか、することがないからなどではない。理由はいろいろある。

 僕の高校は今日で僕にとって1年目の夏休みに入った。直前にあった三者懇談は可もなく不可もなく、いたって普通。しかし、成績と同じように人間関係も無難にこなしているかというとそんなことは全くない。高校1年生の春、僕は初日から孤立した。完全に、もう誰も話しかけてくれないどころか目も合わせてくれないほどに。理由は簡単、最初のHRで話しすぎたのだ。たくさんの友人より1人の親友を求めていた僕はアニメ好き以外の人種をバッサリ切り捨て、そのHRでたっぷり20分ほど担任の先生に止められるまでアニメについて話し続けた。自分でも少し熱くなりすぎたとは思った。それでも僕の同類達なら理解し、共感し合い語り合えるだろうと確信していた。しかし、そうなることはなかった。なぜなら、クラス僕含めて34人の中に僕以外にアニメ好きがいなかったからだ。ゆえに僕は孤立した。それからのことは言うまでもないだろう。というわけで3カ月を1人で過ごした。だからと言って僕がうつになるとか家で暗い顔をして親に心配されるなどということもなかった。というか、僕の親は家事もしないし会話もしない。そんなことはどうでもいい。ここまで書いたのは僕が辛かったからとか文字にしてどこかにぶつけたかったとかそんな理由ではない。断じてない。たとえ毎日を1人で過ごしても。

 本題に入ろう。上記のようなことがあり、日々を1人で過ごすこととなった僕はかなりの時間をもてあますこととなった。そうした時間を、本を読んだり二次元に行く方法を考えながら過ごす中で僕は1つの疑問を感じた。数多の異世界物のアニメで言われるパラレルワールド、反転世界、二重世界。言い方はそれぞれだが大体が今自分が生活している世界と重なってもう1つの世界があるとか、違う選択をしたもう1つの世界という意味だ。これらは二次元のものだと断じている人も多いだろう。だが、なぜ現実にはないと言い切れる?魔法を使う人は機械にあこがれ、機械に頼る人は魔法にあこがれる。僕は魔法と機械は対極に存在するものだと思う。たとえば産業革命で発明されたのは魔法だったとしたら?地中から石炭や石油ではなく空中からマナが発見されていたら?そんな未来だってあり得たはずだ。だとしたら今僕たちが生活している機械の世界をまとめて魔法に変換した反転世界があるかもしれない。この世界と同じように時を刻んでいる世界があるかも知れない。であるなら、どこかにそれらの世界への道もあるはずだ。たとえば神隠し。迷信だと言われかもしれないが実際に未解決に終わった謎の失踪事件は存在している。消えた人はどこに行ったのか。それは1度消えてみないとわからない。輪廻転生という言葉がある。死んでもあの世に還った魂が何度でも生まれ変わる、というのだ。パラレルワールドや反転世界が存在しているならこの輪廻転生がそれらの世界も含めて起きている可能性もあるのではないだろうか。


まあ、僕には夏休みという検証するには十分な時間がある。すべての可能性を試した後神隠しにでもあいそうな山奥で死後の世界をのぞいてみるのもいいかもしれない。もしかしたら次の人生は魔法を自在に操っているかもしれない。それに、日記を書いたって意味ないことも分かっている。誰も読んでくれる人はいないし読ませたい人もいない。僕は1人なのだから。

 まずは、神隠しの伝承が残っている村でもまわってみようと思う。

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