表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/45

プロローグ

 ――パロス公国王宮。騎士団詰め所。



 その内部に一室を与えられている男は、午後の執務中であった。



 騎士団の仕事というとどうしても、討伐や警備、訓練などが頭に浮かぶ。

 だが、末端の団員ならばともかく、男の地位、つまり騎士団小隊長ともなれば。

 それだけで済む筈もなく。それだけすればいいという訳でもなく。


 小隊の編成から訓練内容の計画立案。人事査定。

 すべきことは多岐に渡り、そしてそのどれもが疎かには出来ない。

 騎士団小隊長という中間管理職は、これで結構激務なのである。



 事実、こなしてもこなしても、彼のデスクから書類の消える日はない。



 往々にして、仕事というのは有能な人物の下に集中するものである。

 特に男の場合、「武」に傾きがちな騎士団内部において。

 珍しく「文」の才能を発揮できる、稀有な人材でもあり。


 当然、部下からの信望も上司からの信頼も厚い。

 その信用度の高さが、男に与えられる仕事の量ときれいに比例しており。


 かくして、男の業務時間は日に日に伸びていくのだ。

 愛する妻子と過ごす貴重な時間、それをどんどん食い潰して。



 ……それ故に。



 ――コン、コン。



「なんだ?」

「はっ! 失礼します。小隊長殿に面会です」


「面会……。彼か?」

「はっ!」


「通せ」

「了解しました!」



 男に与えられたささやかな特権。

 それが、執務中であっても許される、私的な面会。


 さすがにそれを家族とすれば、公私混同の謗りは免れなかったであろう。


 男の妻もそれは弁えている。

 小隊長の妻という特権を振りかざし、面会を強要し夫たる男の評判を下げる。

 そのような真似を強行する、愚かな妻ではなかった。


 だから、男の部屋を訪れたのは、愛する妻でも、五歳になる愛娘でもなく。

 男との血縁関係にはない、中肉中背というのはやや細い、一人の少年。


 身に纏う古びた黒いローブも。

 肩から下げた、手紙がパンパンに詰まった鞄も。

 この世界では比較的珍しい黒髪も、そして黒い瞳も。

 今ではすっかり顔馴染みになった、男の命の恩人たる、少年。



「こんにちは。アレクさん。お手紙の配達です」

「ああ。御苦労さん。ハルキ君。いつも助かるよ」

「これが俺の仕事ですから」



 差し出された一通の封筒。



 それが。その一通の手紙が。激務にあっても男が腐らず、日々の業務を精力的にこなす為の原動力であると、騎士団にいる人間なら皆、知っている。


 忙しい男を癒す、愛娘からの手紙。それを配達する少年は、その役割故に。執務中の男との面談が許されているのだ。騎士団全員の、暗黙の了解のもとに。


 男は少年に、来客用の椅子を勧める。茶を勧めることはない。自分同様、少年も忙しい身であることを、男はよく知っているから。


「読ませて貰ってもいいかな?」

「はい。どうぞ」

「では申し訳ないが、いつものように少し待っていてくれ」

「ごゆっくりどうぞ」


 受け取った手紙の表面。大きな字で書かれた「パパへ!」の元気な文字。

 それが、また少しだけうまくなっていると感じ、思わず笑みが零れる。

 こういうのを「親馬鹿」というのだが、それはまあ、今は置いといて。


「そういえばシルフィは、君の店の受付嬢に字を習っているらしいな」

「ええ。最近では毎日のように、郵便局に通い詰めていますよ。娘さん」

「すまんな。迷惑ではないか?」

「いえいえ。シャルも……うちの受付嬢も喜んでいますから。何故か」



 ……ここに実は、少年も男も知らない秘密がある。



 そもそもシャルロット嬢に【速達】のことを話したのが、他の誰でもない、父親宛ての手紙を配達して貰った直後の、近所に住むシルフィ嬢だったのだ。


 父親の危篤を知らせる手紙を受け取り、茫然としていたシャルロット。そんな彼女に、『だったらハルキお兄ちゃんに頼めばいいよ!』と、【速達】の噂を裏付けるような逸話を身振り手振りを交えて興奮した様子で話したシルフィ。


 藁をも掴む思いで彼女が冒険者ギルドに、【速達】の二つ名をもつ少年を訪ねたのが、その日の夕方のことである。その後の顛末に関しては言うまでもない。



 つまりシャルロットからすれば、シルフィはある意味恩人である。

 シルフィの言葉があったからこそ、彼女は信じたのだ。【速達】の噂を。

 読み書きを教えることなど、その恩からすれば当然のことであった。



 ――閑話休題。



 娘からの手紙を、二枚の便箋を、読み終えた男は静かに顔を上げる。

 いつもならこのあと、返信をしたためる為に筆をとるところだ。

 その為に少年に待機してもらっているのだ。


 いつもよりも、少しだけ静かな少年。

 いつもよりも、ちょっとだけ表情が暗い少年。

 男が手紙を読み終えていることにも気づかず、静かに考え込む少年。


 そんな少年の姿をしばらく眺めて、男は一言。


「コホン。どうかしたのかね? ハルキ君」

「……え? あ、すいません。ちょっと考え事を……。返信、書けました?」

「いや、まだだ。だがその前に」


 チリンチリン、と。男は手元のベルを鳴らす。

 敬礼つきで入室してきた下っ端の団員に、茶を二杯、頼む。


「あ。えっと。アレクさん。俺、実は時間がなくて」

「まあまあ。そう言わずに。たまには付き合ってくれよ」

「あー、えー、そのー……」


 少年のその態度が、男に否定の意思を伝えてくる。

 だがしかし、男としてもここで少年を開放する訳にはいかないのだ。

 諸事情により。


 やがて長い時間を待つこともなく届けられる、熱いお茶。

 出されてしまってはもう、無碍に断ることは少年にも出来ない。


 しぶしぶ口をつける。

 一気に飲み干してしまいたいところだが、この熱さではそうもいかない。


 ちなみに少年は知らない。

 男が団員に「なるべく熱い茶にしてくれ」と小声で頼んだことを。

 時間をかけねば飲み干せない程に、熱くしたお茶を頼んだことを。



「あー、時にハルキ君。仕事は順調かね?」

「順調です。順調すぎて困るくらいです」

「ほう。だがその割には、君の顔色は優れないようだが?」

「…………」



 心当たりがない訳でも、ない。少年はそう思う。

 悩みごとで表情が曇っているということもあるのだろう。

 睡眠不足で、目の下に隈でも出来ているのかもしれない。

 なにしろここ数日、まともに寝ていない。眠れないのだ。



「悩み事があるのなら、話くらいは聞くぞ?」

「…………」



 少年は考える。男の言葉について考える。

 そしてその言葉を、少し前に、他の人に言われたことも思い出す。


 自分は悩みが顔に出やすいタイプなのかもしれない。

 だから周囲にそれを、すぐに察せられてしまうのかもしれない。

 そんなことを考える少年は、やがて、重い口を開く。



「……実は、俺の大事な人が今、大変な状況にありまして」

「大事な人?」

「はい。大事な人というか、まあ、俺の魔法の師匠なんですけど」

「君の師匠か。さぞかし立派な魔術師なのだろうな」


 男のそんな言葉を受けて。

 少年は言う。胸を張って。誇らしげに。とても誇らしげに。


「はい。俺はあの人以上に優れた魔術師を、他に知りません」

「君以上の魔術師か。想像を絶するなそれは」

「それだけじゃありません。師匠は他にも、いろんなことを教えてくれました」

「いい師匠に恵まれたのだな。ハルキ君は」


 はい、と。一瞬だけ笑顔を浮かべた少年は、再び顔を伏せる。

 その後に漏れてきた声は。辛そうというより、どこか悔しそうで。


「そんな師匠が。尊敬する師匠が、今、大変な目に会っています」

「それは……心配、だな」

「心配です。なのに俺は、そんな師匠の下に駆けつけることも出来ないのです」

「そうなのか?」


 少年の声はますます低くなっていく。

 我が身の不甲斐無さを呪うかのように。



「……半年前の俺なら、全てを捨てて何ら迷うことなく、師匠の下に馳せ参じたでしょう。半年前なら。いえ、三ヶ月前でも、きっと。でも、今は無理です。無理なんです。俺には責任が出来てしまったから」


「責任。責任か。それは君の仕事と関係あることなのかな? それともハルキ君、君のプライベートの問題なのかな?」



 両方です、と。少年は絞り出すような声で答える。

 握り締めた拳が、小さく震えている。



「今の仕事。配達の仕事は、俺の夢です。半年前もそうでした。だから冒険者をやめて自分の店を持ちました。……でも、その時は一人だったんです。今の俺は、一人じゃありません。俺の為にいろいろ尽くしてくれて。俺の為にいろいろアイデアを出してくれて。俺の為に少しでも店を、事業を、大きくしようと、とても頑張ってくれているパートナーがいます」


 苦悩を、苦悩だけを煮詰めて抽出したような、そんな声。

 聞いている男の方が、逆に辛くなってくるような、そんな声。


「事業そのものも、大きくなってきています。今はその大事な準備段階。俺が勝手に、自分の都合だけで抜ける訳にはいかないんです。金銭だけの問題なら、こんなに悩むことはなかった。すぐ捨てられました。お金よりも大事なものを、大事なことを、師匠は俺に授けてくれました。教えてくれました。その恩に報いるのは今しかないと、そう思ってはいるんです。……でも」


 食い込んだ爪が、少年の肌を傷つける。

 心を食い破るように、少年の肌を傷つける。


「師匠は俺に言いました。『君の思うままに生きてください』と。そんな俺が夢を捨てて、自分を慕う人のことを捨てて。それで師匠の下へ駆けつけたとして、師匠は喜んでくれるでしょうか? きっと喜んではくれないと、そう思います。……そして俺は、俺を無条件で慕ってくれるあの子のことを、放置なんてできない」


 そうか、と。静かに答える男。

 そうなんです、と。静かに続ける少年。



「……そして、悩んでいるのはそれだけじゃありません」

「ほう?」

「師匠と会うということは、自分の過去とも向き合わなくてはいけないんです」

「自分の、過去」



 それは少年にとって、痛みを伴う記憶。

 痛むが、だがしかし、それだけに捨て去ることが出来ない記憶でもある。


「師匠と会うとなると、必然、もう一人の少女と会うことになりそうなんです」

「ふむ?」

「その子は、その、恥ずかしながら、昔、その、ですね。えっと……」

「好きだったのかい? その子のことが」


 ばっさりと。あっさりと。男はそう断言する。

 一瞬絶句した少年は、しぶしぶといった風情で、軽く頷く。


「好き、だったと、思います」

「好きだったと? 思います? 随分曖昧な表現じゃないか」

「結局最後まで、気持ちを伝えあうことはありませんでしたから」

「若いな。若々しい、そして苦い思い出というやつだな。それは」


 少年。十代半ば。男。二十代半ば。

 世間的には十分若手と見られる男も、少年よりは経験を重ねている。

 人生という名の経験を、だ。


「喧嘩別れで終わってしまったんですよ。俺たちは」

「なるほどな」

「だから、その、再会するのが、ちょっと、怖い、のかな?」

「怖い。そうか怖いか。今の自分の気持ちが揺れるのが」


 少年にとってそれは、心に刺さったままで抜けない小さな棘。

 忘れる時はあっても、忘れ去ることは出来そうにない、そんな小さな棘。


「もう、会うべきじゃないと、そんな風に思っていたんです」

「ふむ」

「勿論、師匠のことは心配です。だから、今回は必要なら会ってもいい。でも」

「会ってどうしたらいいか分からない。……ってとこかな? ハルキ君?」


 一度目の再会は、勢いで押し切られた。

 二度目の再会は、一体どんな形になるのだろう?

 そしてどんな結末を迎えるのだろう?

 それが。その未来が予想できないから。少年は二の足を踏むのだ。



「なあ、ハルキ君? 私の話を聞いて貰えるかな?」

「アレクさんの話ですか? はい。喜んで」



 男はカップに口をつける。

 唇を湿らせた男は、静かに語り始める。


「今の私の妻は、実は初恋の相手という訳では、ない」

「……初恋って、実らないものらしいですものね」

「らしいな。俺の初恋は、幼馴染みの女の子だったんだ」

「幼馴染み。いい響きですね」


 少年の言葉に、男は微かに苦笑を浮かべる。

 ほんのりと、苦いものも交えながら。



「私は彼女の憎からず思っていたし。彼女もきっとそうだったのだろう。自然に、大人になったら結ばれると、そんな風に考えていた。言葉にしてはいないが」


「言葉に出さずとも……というやつでしょうか? ああ。はい。そうですね。そういう感情って、きっとありますよね? どうしても、通じちゃうみたいな」



 その言葉は一般論を装っていて。

 だがしかし、それは少年の体験談でもあるということを。

 それを男は見抜いていた。


「あれは、そうだ。私が騎士団への入団を認められる、その直前のことだった。些細なことで生まれて初めての大喧嘩となった俺たちは、それきり会うことは無かった。騎士団に加入すると同時に、私は遠く離れた任地へ派遣されたので、な」


 それは男がちょうど、今、目の前にいる少年の歳のこと。

 十年前の、男にとって忘れられない出来事。


「距離と時間。これは魔法だよ、ハルキ君。言い争った直後は、もう絶対に忘れることはないだろう、無くなることはないだろうとそう感じた彼女への怒り、それは時間を重ねるにつれ、少しずつ消えていった。……ただ、怒りだけじゃなく、彼女への想い自体も、一緒に消えていってしまったのだよ」


 会えない時間が想いを深くすることもあれば。

 会えない距離が想いを薄れさすことも、世の中には確かにあるのだ。


「やがて私は、故郷であるこのパロスから遠く離れた任地で、一人の少女と恋に落ちた。それがまあ、今の妻なのだが。ああ。そのこと自体に後悔はない。彼女のおかげで私は今、とても幸せだ。その言葉に嘘はない」


 運命とは皮肉なもので、男は結婚とほぼ同時に故郷に召還される。

 昔、愛した彼女のいる場所へ、再び帰ってくることになる。


「散々悩んで、それでも思い切って訪ねた彼女の実家。……彼女も私同様、既に結婚していたよ。いい旦那に恵まれて、とても幸せだと言っていた。彼女の穏やかな顔、そして腕に抱かれた赤子が、その言葉が嘘でないという何よりの証拠だった」


 いい話だと。少年はそう思った。

 時間こそが、全てを許せる魔法なのかと、そう思った。

 だがしかし、男は続ける。



「それでも、やっぱり思ってしまうのだよ。私も、彼女も。同じように。『ああ、あのとき素直に気持ちを伝えていれば。せめて手紙のひとつでも書いておけば』と。それは今の幸せとは関係なく、ただひとつの心残りとしてね。想いが届かなかったことは、やがて忘れられる。でも、想いを伝えなかったことは、もしかしたら、一生、心に残ってしまうのかもしれない」



 その言葉は、少年の心を抉った。

 男の体験談として語られるその話には、妙な説得力があった。

 思わず男に、そこに未来の自分を重ねてしまう程に。


「後悔……してるんですか? アレクさん」

「ああ。結果云々よりも、伝えなかったという事実に、ね」

「それは、みんな、同じように後悔するものなんでしょうか?」

「どうだろう? 私がそうだっただけで、ハルキ君。君は違うのかもしれない」


 でもな、と。男は続ける。

 後輩を導くような声で。先輩らしい態度で。表情で。



「ハルキ君。私は思うのだよ。君が抱えている気持ち。それが怒りなのか好意なのかは分からない。でも、君はそれを伝えるべきなんじゃないかな、と。だって君は配達人なんだろう? 人と人の気持ちを繋ぐのが、それが君の仕事なんだろう? そんな君が、誰かとの繋がりを簡単に切ってしまって、それでいいのかい? 後悔はしないと、そう誓えるかい? ……私には、そうは思えないんだよ」



『俺は手紙を運んでいるんじゃない。書いた人の気持ちを運んでいるんだ!』



 それは少年の父親が、事あるごとに口にしていた言葉。

 今の少年の、行動指針にもなっているその言葉。


 ああ。そうか、と。

 そこが自分の原点だったのだな、と。

 ならば何も、何も悩むことはなかったのだ、と。


 少年はそう思う。

 目の前の男と、そして父に感謝の念を抱きつつ。



「……ありがとうございます。アレクさん」

「いや。柄にもなく語ってしまったな。少しは役に立てたのならいいのだが」


 男は明るく笑う。

 少年も釣られて、ようやく笑顔を浮かべることが出来た。


「それにしても、随分親切に、いろいろ語ってくれたものですねえ?」

「うん? ああ、そうそう。それに関しても、ひとつ」

「はい?」

「君は仕事が、仕事のパートナーが心配だと、そうも言っていたようだが」


 男はデスクの上に出しっぱなしだった手紙を取り上げる。

 その二枚の便箋を、少年に差し出しつつ続ける。



「君が思うよりもね。君の周りの人は君を見ている。そして君を思っている。君を助けたいと、そう願っている。君の側にいる人はね、ハルキ君? 君が考えているよりもずっとずっと優しくて、とてもとても頼りになる人ばかりのようだぞ?」



 少年の目に映ったその文字。その文章。


 一枚は、拙いながらも元気がいい、微笑ましくなるような字で。

 もう一枚は、その性格を表すような、素直で、そして几帳面な字で。


 それを読んで。その二枚の手紙を読んで。

 少年は思うのだ。少しだけ、目を潤ませながら。



 ――この世界は、俺が思っていたよりも、ずっとずっと、俺に、優しい。





『パパへ!

 きょくちょーさんが、げんきありません!

 きのうもショボンとしてました!

 きょうもショボンとしています!

 おなかがすいたワンちゃんみたいなかおをしています!


 パパがげんきにしてあげてください! おねがいね!



                     シルフィより』



『パロス騎士団 アレク小隊長様


 当局の局長が、何か悩みを抱えている様子です。

 残念ながら、わたしには相談してくれません。

 愚痴をこぼして貰えることもありません。


 どうやら、わたしには話せない悩みのようです。

 ならば、わたしから無理に聞き出すこともできません。

 ちょっと寂しく思いますが、それなら仕方ありません。


 そこで、アレク小隊長様にお願いがあります。

 さりげなく、局長の悩みを聞きだしては貰えませんか?


 できることならば。

 その背中をそっと押してあげてください。


 そして一言だけ、局長にお伝えください。


 わたしは局長がどんな判断を下そうと。

 その全てを全面的に受け入れます。


 だってわたしは。

 シャルロット・ロベールは。

 局長に一生ついていくと、そう心に決めていますから、と。

  


 以上、大変厚かましいお願いではございますが、

 局長のことを、何卒、宜しくお願い致します。



       【ヤマミズ郵便局】局員 シャルロット・ロベール』



 

第三章、『囚われの姫君編』、開始です。

宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ