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第十一話 師匠の言葉

 慌てて飛びだそうとした俺の肩を、小さな手が掴む。

 けして力が強い訳ではないが、俺には絶対振り払うことが出来ない、その手。


「どこに行くつもりですか? ハル?」

「どこって……シャルロットさんのとこですよ! 放してください!」

「何故ですか?」

「何故って……」


 思い切り顔を近づけてくるアイラ師匠。それは吐息がかかる近さ。

 師匠の顔は相変わらずの無表情。その瞳は吸い込まれるような黒。



「ハル? 君のお仕事は配達です。郵便屋さんです。と、いうことは、本来、あの可愛いメイドさんを送り届けたところでハルのお仕事は終わりです。ですがハルは親切なことに、病に侵された父君の治療まで行いました。アフターサービスもばっちりです。超優良企業です」



 だからなんだというんですか?

 それに俺、アフターサービスとか、そんな気持ちでやったんじゃねえっすよ。



「この上で更に、危険を冒してまで彼女を助ける理由が、ハルにはありますか?」



 理由。理由ですか。

 そんなもんないですよ。余計な御世話かもしれませんよ。

 確かに師匠の言う通りですよ。俺には関係ない話ですからね。

 でもですね。でもですよ?



「……シャルロットさんは、俺の顧客というだけではなく、知り合いです」

「はい」

「知り合いの女の子が困っていたら、助ける。……それだけじゃ駄目ですかね?」

「いいえ。全然。それでこそハルです。100点満点をあげましょう」



 師匠は肩から手を離す。

 そのままその小さな手で俺の胸をポンポンと軽く叩きつつ、一言。


「ハルのそういうところ、私は好きですよ? ハートは熱く、です」

「え? あ、はあ……? ありがとう、ございます?」


 そして人差し指をピッと立てて、懐かしい先生のポーズ。


「でも焦ってはいけませんよ? 戦うのなら、頭は冷たく、です」

「あ、はい。そうですね……」

「魔術師というのはいつでも冷静でなければいけません。クールに」

「クール……」


 最後にぺちんと軽くおでこを叩かれる。全然痛くない。


「魔力の回復もしないで、魔術師が戦場で何をしようというのですか」

「あ……」

「大丈夫。ここは貴族のお屋敷です。お抱えの衛兵だって少しはいるでしょう」

「そ、そうっすね」

「理解しましたか? 冷静ですか? では深呼吸です。超クールな深呼吸です」

「はい。すーっ、はーっ……」



 そうだ。そうだった。

 姫に魔力を供給して、そのまま回復せず放置してたんだ。


 こんな状態で飛び出して行っても、その賊とやらに瞬殺されただろう。

 魔力のない魔法使いなんて、ただのひ弱な一般人だからな。


 OKです師匠。冷静になりました。今の俺はクール。超クールです。

 超クールな深呼吸って言葉の意味はちょっと分かりませんでしたけど。


 俺は二人から少し離れ、右手の力を解放する。

 一気に魔力を回復する。よし。これで行ける。



「ハルキ様? わたくしにも魔力を」

「え? はい?」

「わたくしも付いていきます。ハルキ様に」

「や。でも姫? 危ないですよ? ここで隠れていたほうがいいのでは?」


 こんなんでも姫はミスリル王国の第十三王女様だ。

 その身に何かがあれば、大騒動大問題になるのは間違いない。


「ハルキ様のお役に立ちたいのです」

「いや、でも……」

「魔力を頂けなくても、勝手に付いていきます」

「…………」


 ああ、駄目だなこりゃ。こいつ、本当に宣言通りにするだろう。

 目がマジだもん。死んでも付いていくって顔に書いてあるもん。


 魔力を渡して連れてったほうがいい。そのほうが却って安心だ。

 一応姫だって、四属性魔法の中級までは修めているはずだしな。


「わかりました。でも、絶対無理はしないでくださいね?」

「わかっております。ハルキ様の足を引っ張らないように努力致します」



   ×   ×   ×



 こっそりと、忍んでいた部屋のドアを開ける。

 右へ行くべきか、それとも左へ行くべきか。


 右ならば玄関。声の聞こえたほう。

 左なら親父さんの病室。シャルロットのいる部屋。


 なんて悩むことでもない。

 賊の殲滅は俺のしたいことではない。

 シャルロットさんの身の安全さえ確保できればいいのだ。



「走りますよ? 師匠。姫」



 背中を向けたまま二人にそう声をかけ、俺は部屋を飛び出す。

 互いに身体強化の魔法をかけた俺たちは、風のような速さで廊下を駆ける。


 壁に掛けられた豪奢な絵の横を駆け抜け。

 花が飾られた大きな花瓶の横を走り抜け。



 ……そしてその背中を見つける。



「ハル?」

「わかってます! 師匠!」



 燕尾服を着た執事でもなく。エプロンドレスを着用したメイドでもない。

 王宮騎士団が好んで使う、鉄の鎧も身に纏っていない。


 親父さんの病室。そこに至る廊下。俺たちの向う先を。

 見るからに盗賊といった服装の男が、俺たちに背中を向け走っている。



 ――その手に、抜き身のダガーをぶら下げて。



「…………っ!」

「……『岩弾砲』」

「『地の理。岩の礫よ。我が手から飛び立て。岩弾砲』!」



 まっすぐに伸ばした、俺と、師匠と、姫の手。

 そこから飛び出した岩の塊が、男の背を撃つ。


 三発の魔法の直撃を背中に受け、男は悲鳴すら上げることなく地に伏す。


 ちなみに今のが俺たちの詠唱速度の差。

 無詠唱の俺。魔法名だけで使える師匠。呪文が必要な姫。

 実質のタイムラグが、俺と姫で五秒ってところか。



「……ハル」

「はい。師匠」


 泡吹いて気絶している男の横を通り過ぎる時、師匠が言う。


「彼らはただの賊ではありませんね。少なくとも盗賊ではありません」

「……と、いいますと?」


 走りながらも指を立てる師匠が可愛い。先生ポーズ可愛い。


「廊下にあった絵画、花瓶。あれらはともに高級なものですが、あの男は素通りしています。これは押し込み強盗としてはおかしな行動です。そして男は、迷わず前へと進んでいました。まるでこの廊下の先に、何らかの目的があるかのように」


 一瞬で屋敷の装飾品の価値を見抜く師匠の観察眼すげえ。

 そして師匠の先生ポーズは可愛かったが、発せられた言葉は穏やかではない。

 この廊下の先にあるのは……親父さんの病室だ。あの子のいる部屋だ。


「……つまり、賊の狙いはシャルロットさん?」

「あるいはこの屋敷の当主。こちらの可能性が高いかと」


 師匠のその言葉が耳に届くと同時に、俺たちは部屋の前へと到着。

 この状況で礼儀作法云々も言ってられないので、ノックなしで飛び込む。



「……ハルキさんっ!?」



 ……突入した俺の視界に映ったもの。



 ベッドに横たわったままの動かない親父さん。

 身を呈して彼を守るかのように、親父さんに覆い被さったベルベットさん。

 そんな二人の前に立ち、金属製の洗面器を抱えて立ち塞がる茶髪の少女。



 ――そして今まさに、その少女に向け刀を振り下ろそうとしている男の背中。



 考える時間はなかった。悩む時間も存在しなかった。

 魔法を使おうと判断する時間すらなかった。



「てめえなにしてやがるこんな可愛い女の子に向かって!!!」



 部屋に飛び込んだ勢いのまま。むしろそれを最大限に利用して。

 左足で大きく踏み込み、右足で男の脇腹を抉るように。


 身体強化された俺の全力の蹴り。爪先にアバラ骨を砕く感触が伝わる。

 横に「く」の字に折れるという、物理的にあり得ない姿勢で吹っ飛ぶ男。


 踏み潰された蛙のような声を上げた男が、壁にべしゃりと叩きつけられる。

 ちょっとした交通事故を思わせるほどの轟音を立てて。

 ちょっとやり過ぎたかもしれないが、ま、死にはしないだろ。



 ……男の動きが完全に止まったことを確認し、俺は彼女に向け大声で叫ぶ。



「無事ですか!? シャルロットさん!?」

「ハ、ハル、ハルキ、さぁん……」



 蒼く強張った顔で洗面器を抱き締めていたシャルロットさん。

 その足ががくがくと震え、そして、ふいに力を失う。ぺたんと座りこむ。

 緊張が解けたのだろう、ぽろぽろと涙まで零れ出した。



「全く。危ないじゃないですか。あんなヤバそうな男に立ち向かうなんて」

「うう……っ! だって。ごめんなさい。ひっく。でも、守らなきゃって……」



 ああ。そうだ。そうだよな。

 彼女は守ろうとしたのだ。大事な家族を。危険を顧みずに。


 魔法も剣の心得もない彼女が。それでも大好きな両親を守ろうとして。

 震える足で立ち上がり。金属製の洗面器だけを武器にして。


 その行いを無謀と呼ぶ者もいるだろう。

 そう断定する者のほうが多いのだろう。



 ……でも。だけど。それでも。それなら。



 俺は彼女を褒めてあげたい。褒めてあげよう。

 彼女は守ったのだから。彼女は守れたのだから。


 大事なものを。大事な人を。その命を。

 その結果は、過程はどうあれ、絶対に誇れるものだと思うから。



「でも、あなたのおかげでご両親は無事です。……よく頑張りました!」

「ふぇ、ひゃ、ひゃい……。ふ、ふぇ、ふぇええ……」



 ――紅茶色の髪を梳くようにして頭を撫でると、彼女は遂に決壊した。



 子供のように泣きじゃくる彼女の扱いに、ちょっと、困る。


 ううむ。ここは、そうだな。抱き締めても許される場面だよな。

 こう、ぎゅーっとしてもいい場面だよな。

 むしろそうするのが普通だよな。

 では、失礼して……。


「……ハル。良かったですね。可愛いメイドさんが無事で」

「ひゃい! あ、はい! そうですね! シャルロットさんも! ご家族も!」

「そうですね。ハルのおかげで可愛いメイドさんは無事でしたね。いいことです」

「……ええ。はいそうですね」


 なんだろう? 微妙な刺を感じる。

 俺、何か師匠のご機嫌を損ねるような行為を働いただろうか?


「ハルキ様? 差し出がましいようですが、その子の面倒はわたくしが」

「へ? ああ。いいですよ姫。姫の手を煩わすほどのことじゃ……」

「いえいえ。わたくしはハルキ様のしもべですから。ええ。はい」

「……あ、そ、そう? じゃあ、頼みます。姫」


 なんだろう? 微妙な違和感がある。

 姫ってこんなに面倒見よかったっけ? ああ、普段はまともなんだっけか。



 ああ……。俺の涙目メイド抱き枕さんが姫の手に渡ってしまった……。

 せめてもう少しだけ、あのサラサラの髪の感触だけでも楽しみたかった……。



 ――いやまあ、それはともかく。



「しっかし、師匠。どういうことなんでしょうね? これ。この騒ぎは」

「……貴族社会ではよくあること、だと思いますよ。ハル」

「そういうものですか?」

「そういうものです。きっとそろそろ、騒動の源が」



 ――その師匠の発言を遮るようにして、音を立てて扉が開かれた。



 やばい! また賊か! と。

 即座に身構え、魔法放つべく突き出した右手を……ゆっくり下ろす。

 部屋に入るでもなく、扉を開けて登場した人物の顔を知っていたからだ。


 一目で作りのいいと分かる上等な服……は、今は多少、乱れていたけれども。

 妙に偉そうでいけすかない感じの顔……は、今は目が血走っていたけれども。



 ――そして今は、右手に、抜き身の剣を握ってはいたけれども。



 それを確認して、俺はもう一度、右手を上げる羽目になったけれども。

 その人は旧知の……ってほどでもない。でも、顔見知りの人物ではあった。



「アルバートさん、この騒動は……。アンタ、まさか」

「うるさい!」



 その端的な返答の内容よりも、その声で。

 憎しみに黒く染まったその声で。


 俺は自分の出した答えが正解であったことを知る。

 この騒動の。そして親父さんに毒を盛った人物の。その名前を、知る。



「お前らが来なければ全部うまくいったんだ! あと少しだった! あと少しでそのクソ親父は死んだんだよ! 余計なことしやがって! 一体何なんだよお前らは! 俺の邪魔ばかりしやがって!」



 言いやがった。

 そんなクソみたいなことを言い切りやがったよこの男は。


 シャルロットさんの目の前で。

 命をかけて両親を守ろうとしたこの少女の前で。


 ふざけんなよ?

 ふざけてんじゃねえぞテメエ!?



「おい! 若旦那! もう駄目だ! 逃げ出すぞ! 早く来い!」

「ぐ……があああああっっ!」



 部屋の外。廊下から響くその声。その声を合図として。


 最後に獣のような唸り声を上げ、憎しみに濁った目で俺を睨みつけたアルバートは、剣を投げ捨て部屋の外へと走り出す。頭に血が上ったままの俺は、その背中を追いかける前に、俺の行動指針たる人物へと声をかけた。



「師匠」

「はい。なんですか?」


「家族は大事なものですよね?」

「はい。大事なものです」


「お互い守り合うものですよね?」

「はい。守り合うものです」


「師匠」

「はい」


「俺、怒ってもいいですか? これ、配達人の仕事じゃないですけど」

「はい。存分に。私も今、髪の毛が逆立つほど激怒しています」



 いつもと変わらない無表情。いつもと変わらない奇麗な長い黒髪。

 でもその手が。師匠の小さなその手が。握り締めたその手が震えている。



「いきますよ? ハル。ついてきなさい」

「了解しました!」

「お待ちください! ハルキ様! わたくしも!」


 師匠と二人、飛び出そうとしたタイミングでの、姫の声。

 そうだ。こっちには姫もいた。【聖級】の称号を持つ彼女が。


 師匠と姫。そして俺。

 なんか今なら、一国の軍隊とも戦えるような、そんな気がする。が。


「……姫はこちらで、待機してもらえますか?」

「何故ですかハルキ様? お邪魔にはならないと思いますが」

「そういう意味じゃないです。姫には、シャルロットさんたちを……」

「……あ」


 そう。そうなのだ。

 屋敷中の賊、その全てを倒したという確認が取れていない。


 新手が来るかもしれない。

 何が起こるか、正確な予想は誰も出来ない。


 だとしたら。だからこそ。必要なのだ。

 ここで彼女たち家族を守る人物が。


「姫ですから、安心して任せられます。お願いできますか?」

「……はい。ハルキ様の願いとあらば。このわたくしの、命をかけて」



 姫は優雅に一礼し、そして俺たちに改めて、身体強化の魔法をかける。

 そして最後に。優しい笑顔で。一言だけ。



「ハルキ様。ご武運を」



   ×   ×   ×



 病室での、若干のタイムラグ。

 そのロスは、幸いにして致命的とまではならなかった。


「ハル! あれを!」


 玄関を飛び出した俺たち。師匠が指さすそれ。中型の馬車。

 その荷台に何やら革袋などを積み込んでいる二人の男。


 ああ、そうか。行きがけの駄賃というやつか。

 あの貴族様はもう、この屋敷には戻れねえもんな。


 一人は茶色いフード付きマントを纏い。

 もう一人は軽装鎧で、帯剣。


 剣士と魔術師のコンビか。


「おい! まてお前ら!」

「ちっ!」


 舌打ちした剣士が荷台に乗り込む。荷台の中から手斧を投げつけてくる。

 フード付きがこちらを見る。睨んでくる。右手が伸びる。

 一瞬だけ判断に迷う。こちらから魔法を撃つべきか。防御するべきか。



「……『地の理。岩の礫よ。我が手から飛び立て。岩弾砲』」

「……『土障壁』!」



 魔術師の放つ地属性魔法。

 剣士が投げつけてきた斧。


 それを俺の呼び出した土の壁が防ぐ。

 地属性中級魔法。『土障壁』。


 読んで字の如く、土で防壁を作る魔法。

 無詠唱で作成可能。魔法名を叫んだのはただの癖だ。



「よし! いけっ! ハイヤッ!」



 そんな声が壁の向こう側から聞こえる。

 ちっ。一瞬の時間稼ぎか今の一撃、いや二撃は。


 土で出来た壁を回りこむ。走りだした馬車を視界に収める。

 その速度は予想以上で、すでに屋敷の門を抜け街道へと飛び出している。


 どうする? 走って追うか?

 身体強化された俺なら、あるいは馬車に追いつくことも……。



「……ハル」



 その声は、本来の師匠のいる位置より、だいぶ高くから聞こえた。

 振り向いた俺の目に映ったのは、え、え、え? う、馬ぁ!?


 間近で見る、嘶く馬に驚愕する俺。そんな俺を叱責する声。

 それが頭上から聞こえる。騎乗して俺を見下ろしているのは。



「し、し、師匠!?」

「賊が残していったものです。追うのでしょう? なら、早く」



 やだ。馬に乗った師匠凛々しい! 抱かれてもいい! むしろ抱いて!

 さすが俺の中の「抱かれたい女」ランク一位をリリス様と争う師匠!



 俺は馬に飛び乗る。師匠の後ろに。何故なら俺は乗馬が出来ないから。

 やべえ格好悪い。すいません師匠。こんな不肖の弟子で。見捨てないでね!



「いいですか? しっかり掴まってください。いきますよ」

「はいっ! 了解です!」



 素敵師匠の操る馬が、猛スピードで走りだす。

 屋敷を飛び出した俺たちは、遠くを走る馬車を追う。


 すげえ! すげえ揺れる!

 乗馬ってこんなに大変だったのかよ振り落とされそうお尻も痛い!



「……ハル?」

「は、はいっ!? なんでしょう!?」



 そんな揺れにも負けず、いつもどおりの師匠の声。

 話さないほうがいいと思いますけど? 舌噛みますよ?



「ひとつ、訊きたいことがあります」

「な、なんですか!? 急ぎですか!? 急ぎじゃないならあとで……」



「……ハルは今後も、【速達】を続けるつもりですか?」



 ぽつんと。小さな声で。

 師匠はそんな、不要不急としか思えない質問を投げかけてくる。


 その意図は分からない。

 今、この状況で話さなくてはいけないこととも思えない。


 だけど。その言葉に。その声に。

 師匠の真剣さを感じて、俺は正直に答える。



「続けますよ。俺はこの世界の郵便事情を変えたいと思っていますから」

「……そう、ですか。ならば、ハル。君に命じます」



「あの馬車。あの中にいる者たちを、徹底的に叩きのめしなさい。全力で」



 ――俺たちの乗る馬は、馬車への距離を少しずつ、少しずつ詰めていく――。

 

 

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