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その昔、うちではイモリを買っていた。(群ようこ風)

作者: 五十嵐。

飼っていたイモリの名は「ドゥイ―ゾー」、中央のイにアクセントを置き、ドゥイ―ゾーという。私はドィイちゃんと呼んでいた。


うちが好んで買ってきたペットではない。夫の仕事場の女の子が、引っ越すからもらってくれと頼まれたのだ。水槽、置き石などすべてセットでもらった。夫も息子も大喜びだった。そう、それは最初だけ。


彼らは日曜日に水をかえるくらいの世話しかしなくなった。毎日の世話は私が(やはり)することになる。例えイモリでも放ってはおけない。これも母性愛なのだろう。

別にイモリは散歩させるわけではないし、勝手にベッドに入ってくるとか、吠えたりもしないため、楽と言えば楽。ただ、餌だけが大変だった。


当時、うちの前に並ぶ店の一角にペットショップがあった。目立った動物はいないが、そこは珍しい魚(獰猛な奴)とかWAKIN(和金)、KOI(鯉)がいた。すっごい出目金もいてよくそれを見に行ったりした。餌も日本のもの。


さて、当初ドィイちゃんには、蛆の大きい版のようなものが餌だった。旦那たちはこれを買ってきて与えていた。イモリは生きていないと食べないらしい。他、ハエなど。私はこの餌を見ることが耐えられず、かといってハエを生きたまま捕まえることも難しい。調べてみたら、Earth Wormつまり、ミミズでもいいということがわかった。

それから私の夜と朝のお仕事が始まった。

夜のうちに、裏庭に水をまいておく。すると朝になるとミミズが地上近くまで上がってくる。それをシャベルで掘り起し、割り箸で取っていた。

もし、ご近所の人が(カナダ人)そんな姿の私を見たら、日本人は箸で何をしているのか、とものすごく怪しんでいただろう。

細めがお好みなのだが、そうも言っていられない。時々シャベルでミミズを真っ二つにしてしまうこともしばしばあった。当初は私もそんなのたうち回るミミズさんの姿を見て、悲鳴を上げていたが、いつしか慣れてしまい、好都合とばかりに箸でつまんでいたのだ。


ドィイちゃんはかなりのお年寄りだった。目が見えなかった。だから、いつも箸で餌のミミズをその口元に持っていってあげないと食べられなかった。でもそのミミズが太いと大変なことになる。ハブとマングースの戦いのように、ミミズがドィイちゃんの首に巻きついてしまうから。

このくらいなら大丈夫だろうと思ってあげたミミズに何度、絞殺されそうになったことか。

その度に、「負けるな」「頑張れ」と応援するが、(マジでやってました)結局は敗退しそうになり、慌てて私がミミズを引っ剥がす羽目になった。


そんな感じでかわいがっていたドィイちゃんも冬になる前に昇天してしまった。

今となっては懐かしい思い出。

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― 新着の感想 ―
[良い点] イモリ君のためにミミズを掘る作者さまの姿、そしてイモリ君とミミズの戦いの様子などが目に浮かぶようで、ほっこりしました。 [一言] 初めまして。 私も子供の頃に八匹のイモリの子を飼っていまし…
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