五つの魂どこへ行く
光の差し込まないこの地下牢には朝が来ても夜が来てもなんの変化もみられない。
メイが時計のように決まった時間に決まった行動をとることで一日を感じられる程度だった。
「マスター、おはようございます。」
今朝も毎朝のごとくメイが少女を起こしに来る。
「ふぁ、…おはよう。」
そして二人は今日も何事もなくただ過ぎる日々をおくろうとしていた。その時だった。
王が来る以外めったに開くことのない地下の扉がギィィィィィィと嫌な音を立てて開いたかと思うと、ハイテンションで少女にそっくりな顔を持った少年がはいってきた。
「おっはよー、お二人さーん。
メイは今日も相変わらず素敵だね。リアはまた昨夜も父上のお相手かい?」
軽口と共に現れた少年をみたメイは笑顔を作り、少女は元の無表情に戻った。
「おはようございます、カイン様。素敵だなんて…ありがとうございます。しかし私のような下の者に気軽に声をおかけになるのはおやめください。
カイン様の評価が下がってしまうのは私も悲しいですから。」
メイは困ったような嬉しいような表情を浮かべそう答える。
「この地下牢なら誰も見ていないんだ。身分なんて関係ないだろう?」
しかし…とメイが困っているのをみると少年はリアもそう思うだろう?と少女に問いかけた。
「カイン兄様。誰もいないといった後に私に話しかけるとはなかなか素敵なことをなさいますね。
それと私をリアと呼ぶのはおやめください、といつも言っているではありませんか。」
「えーいいじゃん。呼ぶ名前ないと不便だし。リアのだーい好きな母様からとったんだぜ?」
少年は少女が睨んでいるのも気にせず軽口を叩いていた。
「私なんかが母様から取った名前を名乗れるわけがないでしょう。
そもそも、そんなことをしたらまたあいつになんか言われるにきまっている。」
あいつが私に名前があることを…それも母様と同じ名前だなんて、認めるわけがないのだ。と少女は誰にも聞こえない声で呟く。
「リア。お前なんか勘違いしてると思うんだけどなぁ。
それにお前だって父上に忠誠を誓って母様との関係を断てばいいだけだぞ。それと父上は別にお前のことを嫌ってないと思うぞ?」
「まあまあ、カイン様そのへんにしてください。」
少女は一人で考え込んでいた。少女の母親のことを。大悪人でかつては王妃だった今もなお尊敬している自分の母親のことを。
-少女はただ考える瞳に残る母の面影を。-
こんにちは、こんばんは、姫歌です。
今回からちょっと長めになりました。
これぐらいのほうが読みやすいですよね??
ではまた、綺麗な茜色がさすその日まで。