プロローグ〈現の世〉
本作品はフィクションであり現実の、名前・団体名・地名などとは同じであっても関係ありません。
暗い、昏い部屋だった。
部屋の真ん中には、真っ白な髪をした年の頃13、4歳くらいに見える少年が大の字になって倒れていた。上には何も着ておらず、柔道着の下穿きのような簡素なズボンをはいていた。あらわになっている上半身では細身ながら限界まで密度を高められた鋼のような筋肉が皮膚と適度な皮下脂肪越しでもはっきりと顔をのぞかせていた。この年では異常と言えるレベルの鍛え方をしないとこんなことにはならない。
だが、何よりも異常だったのが少年の周囲1mほどを残して部屋の至る所…床のみでなく、壁や天井にまで大量の---<血液と肉片>---がこびり付いていることだろうか………。
否。よく目を凝らしえ見ると暗い部屋の床を這いまわり舐めるように部屋を染める闇よりなお昏い影が蠢いていた。
「₋₋₋₋₋₋ハッ₋₋はっははははははははははははははははは、あはははははははははははははははははははあはははははははあはははあーーはっは。」
そんな、悪夢のような部屋の中で少年がいきなり笑いだした。この光景を見て気でも狂ってしまったのだろうか………。
「俺から両親を奪った叔父さんと叔母さんが粉々になっちまった。その原因が5年前、母さんと父さんを喰らった【禍槌】だってどんな笑い話だよ。₋₋₋₋ハハハハハハハハははははははあはははははははははははあはははあはあははははっはははははははっははははっはははは………はぁ₋₋₋はぁ₋₋…………………………うぅ。」
否彼はとっくの昔に壊れていたのだ。
だが、完全に心が壊れているわけでも無さそうだった。
だって、心が壊れているのだったら--<涙>--を流すはずがないのだから。
◇・◇・◇・◇
2年後、彼の成長した姿がある町にあった。
「なつかしいな、この町もう何年振りだろう。父さんや母さんとの思い出が詰まった町。」
そう、この町は彼が幼き頃両親とともに暮らしていたまちだ。
決して裕福なわけではなかったが両親と一緒に家の近くにある公園で遊ぶのが好きだった。
その時に、唯一無二の親友になったあいつらと出会えた。
「っと、感傷に浸ってる場合じゃなかった。早く導子さんの所に行かないと。
幸い前使ってた部屋がまだ空いていたらしいし。」
この|導子<みちこ>さんは、すごくいい人なのだ。
困っている人には格安で部屋を貸したりしていて一部の人からは名前の導子の読み方をもじって導子様と呼ばれていたりしているのだ。
まぁ、とにかく昔の我が家に荷物を運びいれ終えたのでやすむことにした。
…………明日転入する事になっている学校の事を考えたり、昔のことを思い出しているとすぐに眠りに落ちていった・・・・・・。
あれ? 主人公の名前出てない。何でだろ??