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投げたら刺さった~ラッキーヒットで領主になった僕の成り上がり英雄譚~【Web版本編・200万PV感謝!】  作者: 塩野さち


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第339話 ルースキアとね、仲良くしたほうがいいと思うんだよね!

【ライル視点】


『アヴァロン帝国歴180年 1月10日 ハーグ皇宮 大会議室 曇り』


 正月気分も抜けきらない一月十日。

 僕は、帝国の主要メンバーを招集し、円卓を囲んでいた。

 議題は、北方の巨大国家『ルースキア帝国』との外交についてだ。


「……というわけでさ、ルースキアとね、仲良くしたほうがいいと思うんだよね!」


 僕の唐突な切り出しに、出席者たちは一瞬きょとんとしたが、すぐに真剣な表情に戻った。


「武力で国をとっても、また武力で取られるだけだからね。恨みは残るし、維持費はかかるし、いいことなんて一つもないんだ。最初から仲良くしたほうがいいに決まってるよね」


 僕が持論を展開すると、向かいに座っていたフェリクスが深く頷いた。


「それには賛成です、父上。ゼナラの件でも痛感しましたが、現地の民の心を掴まない支配は砂上の楼閣です。ましてやルースキアは大国。正面から争えば、泥沼の消耗戦になるでしょう」


 実戦を経験し、一回り成長した息子の言葉には重みがある。

 すると、その隣で分厚い資料をめくっていた青年が手を挙げた。

 アヴァロン帝国前皇帝にして、なぜか自ら『科学技術大臣』の肩書きを名乗ることを好む、リアン君だ。


「理念は素晴らしいよ。でも、具体的にはどうやるんだい、ライルさん。向こうは閉鎖的な軍事国家だ。言葉だけで扉を開くとは思えないけれど」


 リアン科学技術大臣の指摘はもっともだ。

 僕はニヤリと笑って、指を一本立てた。


「うーん、やっぱり貿易かなぁ」


 胃袋と生活の利便性を掴む。これがハーグ流の侵略……いや、平和外交の基本だ。

 僕は、隣に控えていた紳士に視線を送った。

 帝国の全てを知る男、もとい先代が残した資料を勉強中の、グレン・オルデンブルク公だ。


「それでは、我が国の貿易品目です。現在、輸出可能かつ、相手国が喉から手が出るほど欲しがるであろう品をリストアップしました」


 グレン公が、羊皮紙のリストを円卓の中央に滑らせた。

 そこには、ズラリと品目が並んでいた。


『ハーグ・アヴァロン帝国 輸出推奨品目一覧』


1.レオ自動車製 大型輸送トラック

2.レオ自動車製 四輪駆動車(軍用・民生用)

3.交換用タイヤおよびゴム製品一式

4.コンロ(家庭用・業務用)

5.給湯器システム

6.照明器具(街灯・屋内灯)

7.上質紙(事務用・出版用)

8.印刷機およびインク

9.ガラス製品(窓ガラス・食器・瓶)

10.精製塩

11.精製砂糖

12.醤油・味噌・魚醤などの調味料セット

13.インスタントラーメン(袋麺・カップ麺)

14.缶詰各種(肉・魚・果物)

15.乾燥野菜およびフリーズドライ食品

16.ハーグ産 高級ワイン

17.蒸留酒ウィスキー・ブランデー

18.医薬品

19.衛生用品(石鹸・シャンプー・洗剤)

20.化粧品セット(保湿クリーム・口紅等)

21.繊維製品(綿布・絹・タオル)

22.既製服(作業着・防寒着・下着)

23.農業用肥料および農薬

24.建材(セメント・鉄骨・断熱材)

25.自転車

26.時計(置時計・懐中時計)

27.楽器(ギター・ピアノ等)

28.玩具・ボードゲーム

29.食肉(ハーグ豚)

30.農産物ジャガイモやトウモロコシなど


「……これだけの物資を見せつけられれば、どんな堅物な皇帝でも心が揺らぐだろうね」


 リストを覗き込んだリアン君が、呆れたように、しかし感心したように呟く。

 これらは全て、この世界ではハーグ周辺でしか生産できない、あるいは品質が桁違いに高いものばかりだ。


「特に、極寒のルースキアにおいて、暖房器具と保存食、そして温かいお風呂の技術は、金塊以上の価値を持つと思われます。食肉や野菜も売れるはずです!」


 グレン公が自信満々に眼鏡を光らせる。


「よし! これなら交渉のカードは十分だね」


 僕はパンと手を叩き、立ち上がった。


「さて、それでは、ルースキア皇帝をお招きしよっか! ……いや、待てよ?」


 ふと、名案が閃いた。

 向こうに来てもらうのもいいが、百聞は一見にしかず。こちらから出向いて、直接プレゼンした方が早いんじゃないか?


「今度はこっちから行ってもいいかな? せっかくだから僕が行くよ!」


「「「はあ!?」」」


 円卓の全員が声を揃えた。


「ち、父上! 一国の皇帝が、敵対するかもしれない国へノコノコ出向くなんて!」

「そうだよライルさん! リスク管理はどうなっているんだい!?」


 フェリクスとリアン君が慌てて止めに入るが、僕の決意は固かった。


「大丈夫だって。手土産にラーメンとトラックを持っていくんだから、歓迎されるに決まってるよ~」


「そういう問題ではありません!」


 グレン公まで頭を抱えてしまった。


 こうして、アヴァロン帝国の会議は、「誰がライルを止めるか」、あるいは「どうやってライルを守るか」という議論に発展し、夜半に及ぶのであった。


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