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TS生贄娘は役割を遂行したい!  作者: 雲間
TS元生贄娘は婚約者を落ち着かせたい!
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 魘されなくなったことだし、ヴァルムントくんがわざわざおれのところで寝なくてもよくない? って思ったんだわ。

 移動している時に兵士さん達からの生ぬっるい視線がね! も~本当にやばくってぇ……。

 あ~はいはい、昨晩はお楽しみしたんですか~? って感じのがよぉ!

 何も言ってこないのに目線があからさますぎる!

 テントの布に遮音性が多少あるとはいえ、周囲で警護してるんだからなんもないのは分かるだろーーーっ!

 おれの護衛三人やユッタ以外の侍女さん達もちゃんと内情を分かっているはずなのに、似たような顔してるしさあ……!

 ヴァルムントくんは注意しようにも言ってこないせいで、注意できないみたいだった。

 毎度毎度、おれの羞恥心が煽られまくるのどーにかなんない?

 ともかく! 魘されなかったんだし、もう大丈夫だってヴァルムントを押し切った!

 「もう一日様子を見てから……」ってだいぶ渋られたけど押し切った!

 そう押し切ったのにぃ〜〜〜〜〜!!


「カテリーネ様……」

「また、でしょうか……?」


 別々になっての翌朝、再び魘されてたらしくってぇ……。

 結局侍女さんに呼ばれて襲来したヴァルムントくんにより、今後も同じになるのが決定してしまった。うえ〜ん。

 最初に同じ場所で寝るって言ってきた時を繰り返したのかと思ったよ!!

 けど今回のヴァルムントくんの表情はもっと険しくなってたわ!


 そして今。平原でお昼休憩中に、ルチェッテと食事をしながら嘆いていた。


「何故、わたくしは……」

「カテリーネさん……」


 わざわざおれの為に持ち運びされている折りたたみのテーブルと椅子を使っての食事で、話し相手役としてもルチェッテも一緒に食べている。

 パンに肉と野菜を挟んだサンドイッチ的なもので、一緒にスープも用意されていた。

 本音としてはもうちょい簡易なのでいい。

 村でも昼は適当に済ませたりしてたし。

 ここで言っても角が立つから言わねーけど。

 はぁとため息をつくおれに、ルチェッテが「うーん」と唸り声をあげた。


「カテリーネさんの体に異常はないのになぁ……」


 ルチェッテは医務担当として、おれの体をチェックしている。

 医学的にも魔術的にも異常は見られず、やっぱり精神的なものとしか現状は考えられないと結論が出た。

 未知の魔術的影響だったりする可能性はあるが、ルチェッテ以外の魔術師さん達も感じ取れるものがないので可能性は低いと……。

 どうして……! まだそっちの方がおれは納得できるのに!!

 しょぼしょぼしているおれを慰める為か、ルチェッテはニコッとしながら声を高くして話しかけてくる。


「自分でも意外なところが不安になってたりするかもしれないし、わたしと一緒に見つけていきましょう! それに沢山お話しして、気分もすっきりすると悪夢を見なくなるかも!」

「ルチェッテさん……。ありがとうございます」


 普段だったらキャーキャーしてくるはずのルチェッテは、魘されることについては寄り添ってくれる。

 ひ、光だ……! おれのヒロイン! おれの癒し~~~!!

 心で涙ちょちょぎれていると、ちょっぴり眉をしかめた状態のヴァルムントくんがおれに近づいてきた。

 さっき兵士さんに呼ばれて何かを確認しに行ってたっぽいから、それ関係かな?

 合わせて兵士さん達も侍女さん達もバタバタしている。


「お食事中失礼いたします」

「構いません」

「付近に不可解な痕跡を発見いたしました。念の為、距離をとりたく移動をいたします」

「分かりました、行きましょう」


 食事は後でも取れるしと、食べるのを中断して立ち上がりさっさと馬車へと移動していく。

 こういう時は素直に従うのが一番いいって言われてんだから!

 一番馬車の近くにいたゲオフさんが扉を開け、さっさと乗り込んでいく。

 座ったところでハンカチを取り出して口をふきふきした。

 こういうのは移動してからできるからね。

 お清楚ではありたいけれど、場合はちゃんと考えるのよ~。

 ルチェッテとユッタも馬車に乗り、ヴァルムントを先頭として準備できたところから出発をしていく。

 リージーさんは諸々の指示出しで乗らなかったみたいだ。

 近くで何が見つかったのか気になる~……。

 もやもやしながらも静かに待機をし、ある程度進んだところで馬車が止まった。

 外がバタバタし始めたので、中断した昼休憩を始めるみたいだ。

 カールさんから声を掛けられて馬車から降りると、兵士さん達と何かを話しながらヴァルムントが近づいてくる。


「カテリーネ様。先程ですが、魔術で広範囲を焼き払った痕跡が見つかりました」

「焼いた……?」

「はい、魔物を焼き払ったものかと思われます。大型魔物でもない以上、ここまでの規模で対応するものではありませんでした」


 普通の魔物を退治するのには考えられない威力のものだったってこと?

 それなら警戒するのも無理ないわ~。


「日が経っている痕跡ではありましたが、御身の安全を考えての移動となりました」

「わたくしの為を想っての行動に批難はいたしません。ありがとうございます」


 おれとしては、おれのせいで急に移動することになってごめんな~って謝るくらいである。

 再び準備された食事の席へと向かいながら、焼き払った人物について考えを巡らせた。

 炎の魔術師で広範囲ができそうなのって、ゲームだと地味っ子ジネーヴラか高位魔術師なブレンくらいしか考えられない。

 ……忘れてるキャラいるかもしんないけど!

 それはまぁ置いておくとして、二人とも今は皇都にいるはずだし、わざわざこんなところまでくる必要もないはずだ。

 ……おれの知らないつよつよ魔術師が動いてたりする?

 めんどくさいことが起こりそうな予感がして、おれは深いため息をついたのだった。


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