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最弱スキル【反転】で無双する異世界冒険譚  作者: いわたん
第三章 強くなるために
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55.決勝前夜


準決勝第2試合の後、

医務室に運ばれたアルターをトーマは無表情で見ていた。


「アルター…」


フィーナが心配そうに呟く。


「だいじょうぶかな…。」


「大丈夫だろ。死んでないんだから。」


トーマはフィーナにそう言い放つ。


「アンタってやつは…。」


リアナはそんなトーマの言葉に呆れ気味に言う。

そんなリアナを無視して、トーマはアルターとバニングの戦闘を振り返っていた。


(バニング…やはり規格外か。アルターでもあっさりと…。)

(あれで【獣化】を使っていない…強すぎるだろ。)


トーマは拳を握りしめる。


(だが…俺には勝算がある。ヤツ(ノルン)がくれた…【反転】の新たな可能性の力。それを使えば…。)


そう考えているうちにアルターが目を覚ます。


「「アルター!」」


フィーナとリアナが心配して駆け寄る。


「大丈夫か?」


「ああ…なんとかな。」


アルターは苦笑しながら答える。


「バニング…あいつは化け物だな。俺じゃ歯が立たなかった…。」


がっくりとうなだれるアルターだが、顔を上げるとトーマを見る。


「トーマ…お前ならやれるか?」


「…わからん。」


トーマは正直に答える。


「だが…やるしかない。」


「そうか…」


アルターは頷く。


「なら、一つだけ言っておく。」


アルターは真剣な表情でトーマを見つめる。


「バニングは…まだ本気じゃなかった。【獣化】…そして、さらに不穏な力を感じた。」


「不穏な力…?」


「ああ。俺にもわからないが…あいつが本当に本気を出した時、何かが起こる。それだけは確かだ。」


アルターの言葉にトーマは頷く。


「…わかった。気をつける。」


「頼むぞ、トーマ。お前とは闘えなくなったが、俺はお前を信じてる。」


そう言ってトーマを激励しようとするアルターに


「言われなくても俺は勝つつもりだ。」


トーマは冷たく言い放つ。


「だから…お前の仇は取ってやる。バニングを倒してな。」


その言葉にアルターは笑った。


「ああ…頼んだぞ。」



その夜、宿屋の一室。

トーマは一人、ベッドに腰掛けていた。

明日の決勝のことを考えると、冷静な分析が頭を支配する。


(バニング…あの男に俺は勝てるのか?)


窓の外を見ると、満月が夜空に輝いていた。


(まずは…自分の状態を確認しておくか。)


トーマは【鑑定】で自分のステータスを確認する。


――トーマ Lv 222

ATK:SS DEF:SS INT:SS RES:SS AGI:SS

スキル:【反転】LvG1【英雄】Lv1 【鑑定】Lv5


(レベル222…レベルが大幅に上がった。あの意識を失ってる間に、確かに何かが変わった。)


トーマは【英雄】のスキルについても考える。


(【英雄】…どうやら【仲間】と【不屈】が合体したスキルらしい。つまり、味方の能力向上と、ピンチの際に力を引き出す能力が統合されたものか。)


(だが、これもまだ完全には理解できていない。実戦でどこまで使えるかは未知数だ。)


次に、【反転】の変化について思考を巡らせる。


(今まで【反転】は、視認したものの状態を反転させる能力だった。でも…シェド戦で変わった。)


トーマは自分の手のひらを見つめる。


(シェドの攻撃が当たらなかった。影に隠れていても、投影の後ろにいても…俺を狙う意思そのものを感知して、反転させた。)


(つまり…【反転】LvG1は、視覚に頼らず『感覚で把握したもの』を反転させることができる。敵意や攻撃の意図を感知し、それを【反転】する。)


トーマは拳を握りしめる。


(だが…まだ完全には使いこなせていない。集中力が必要だし、長時間の維持は難しい。)


(それに…バニングのような規格外の相手に通用するかどうかは未知数だ。アイツは【剛力】【不屈】【獣化】、そして得体の知れない【??】まで持っている。)


(特に…【獣化】。アルターですら使わせることができなかった。それほどの化け物が相手だ。)


トーマは窓の外の月を見上げる。


(それでも…俺は勝たなければならない。この世界で生き残るために。)


トーマは深呼吸をする。


(明日は…全てを懸ける。)


窓の外では、満月が静かに輝き続けていた。

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