39.修行の末
今回から本編に戻ります!
トーマたちはゲヘナの森での修業を始め、1週間ほど籠った後に街へ戻るというサイクルを1か月間繰り返していた。その成果を確かめるため、彼らはメンターの協力を得てイニツィオの冒険者ギルドの別室で魔水晶を使ってステータスを調べることにした。
まずはアルターが魔水晶に手を置くと、ステータスが表示された。
アルター
Lv:200
ATK:SS
DEF:SS
INT:B
RES:S
AGI:S
スキル:【剛力】【闘気】
「グ…アルター、お前は遂にここまで…」
メンターが感嘆の声を漏らす。アルターは
「よせよ、恥ずかしい」と言いつつも満更でもない様子だった。
「【闘気】とはどんな能力なんだ?」
トーマが尋ねると、メンターが説明する。
「【闘気】とは自分の中にある気を纏って戦うスキルだ。一騎当千と呼ばれるほど強靭な戦士になるが、使いこなすのは容易ではない。」
「それはなぜ?」
とトーマが問うと、アルターが実際に【闘気】を纏いながら答える。
「これを纏うと力がみなぎるのと同時に魔力を持っていかれる感覚がある。つまり魔力が必要なんだろう。」
「その通りだ。」
メンターも同意した。
次にリアナが魔水晶に触れると以下のステータスが表示された。
リアナ
Lv:150
ATK:A
DEF:S
INT:A
RES:S
AGI:SS
スキル:【隠密】
「スキル…スキルを覚えているよ!」
リアナは飛び跳ねながら喜びを露わにする。
「あのリアナが…この短期間で何があった?」
メンターが驚いていると、
「ただ森に籠ってモンスターを狩り続けただけよ。本当、地獄みたいな日々だったわ。」
リアナがそう言いながら遠い目をする。
そんなリアナにメンターは肩をポンと置く。
次はフィーナが魔水晶に触れる。表示されたステータスはさらに驚愕の内容だった。
フィーナ
Lv:140
ATK:B
DEF:S
INT:SSS
RES:SS
AGI:A
スキル:【魔聖】
「【魔聖】…だと!?」
メンターはこれまでで一番驚いた表情を見せる。
「もしかして…良くないものなの?」
フィーナが不安そうに尋ねる。
「いや、違う。【魔聖】は火、水、土、風の四大属性魔法だけでなく、聖属性の魔法も使えるスキルだ。」
それを聞いてリアナは満面の笑みを浮かべた。
「さすがフィーナ様!これで国も安泰ですね!」
フィーナは照れながらも喜びを感じている様子だった。
「俺ですらSSSの数値がなかったのに、フィーナの嬢ちゃんはここまで達するとは…末恐ろしいね。」
アルターも称賛を惜しまない。
そして…最後にトーマが魔水晶に手を置く。彼はみんなが喜ぶ中、落ち着いていた。まるで結果をすでに予感していたようだった。
トーマ
Lv:220
ATK:SS
DEF:SS
INT:SS
RES:SS
AGI:SS
スキル:【反転】【仲間】【不屈】【鑑定】
「か、【鑑定】だと!?」
今日何度目かの驚きの声がメンターから上がる。アルターもまた、言葉を失っていた。
トーマはすでに【鑑定】の能力を使えていたため、驚きはしなかったが、周りの驚き方に少し疑問をもった。
「【鑑定】はそんなに驚くべきことなのか?」
「トーマ…絶対【鑑定】のことは他言するなよ?」
アルターが真剣な表情で告げる。
メンターも深刻な口調で続ける。
「これが漏れたら戦争になる。特にプロセリアンド法国がこの力を知れば、君の居場所へ戦争を仕掛けてくるだろう。」
それを聞いてトーマは魔結晶の存在を思い出す。
「なるほど…魔結晶が彼らの優位性を支えているということか。」
メンターがため息をつきながら言った。
「トーマ、君の提案した通り別室で行って正解だった。全員の能力はすでにS級冒険者と言っても過言ではない…なので全員の昇級を行う!」
メンターがそう言うと全員が湧き立った。
「しかし、私ができるのはA級ライセンスまでだ。」
メンターはそういって明日までに全員のライセンスをA級にすると言って、その場は解散となった。
ギルドを出てからトーマはメンバーに声をかけた。
「明日まで自由だが…どうする?」
アルターは大きく手を挙げて答える。
「俺は酒でもかっ食らってくるぜ。」
リアナは嬉しそうに言った。
「お金もだいぶ稼げたし、食べ歩きしてくるわ! フィーナ様、行きましょう!」
リアナに誘われたフィーナは笑顔で頷き、二人で街へ繰り出していった。
「やれやれ…俺も行ってくるわ。」
アルターも笑いながら酒場へ向かった。
一人になったトーマは宿へ戻り、ベッドに腰掛けると鑑定の能力を使って自分を調べた。
トーマ
Lv:220
ATK:SS
DEF:SS
INT:SS
RES:SS
AGI:SS
スキル:【反転】Lv8、【仲間】Lv2、【不屈】Lv5、【鑑定】Lv1
「まさか…スキルにレベルがあるなんてな…。」
トーマは最後の狩りでこの力が発現したことを思い出す。その時は何が何だかわからなかったが、魔水晶に表示される数値とほとんど変わらなかったため、自分自身で魔水晶の能力が身についたのだと確信していた。
「ナラハ王国もクソみたいだったが…プロセリアンド法国も相当な曲者なんだろうな。」
トーマはこれまでスキルにレベルがあることを聞いたことがなかった。それが隠されている可能性に気づき、特にプロセリアンド法国が関わっていると推測した。
「そうなると…シリウスは思っている以上に厄介かもしれない。」
そう考えながら、トーマは久しぶりのベッドで静かに眠りについた。




